自然の息遣いを肌で感じる、満ち足りた生活を選択する
2017/03/31
- 執筆者 千葉 明日香
- 所 属京都移住コンシェルジュ
どんな地域を訪れても、そこにしかない暮らし、そこでしか会えない人、そこでしか味わえない食があります。その土地へまた行きたい、そこに移り住みたいと思わせるのは、そういった「そこにしかない魅力」が人を惹きつけるからだと思います。
都会から遠く離れ、自然の厳しさや優しさを肌で感じながら暮らすことができる場所、笑顔で迎えてくれる地域の人や元気な若者がいる場所が、京都府の「丹後」地域にはあります。
丹後半島から臨む日本海
もうひとつの京都「海の京都」の顔をもつ丹後地域
日本海に面し、近年、「海の京都」として注目されている丹後地域は、宮津(みやづ)市、京丹後市、伊根(いね)町、与謝野(よさの)町の4つの市町からなり、約10万人が暮らしています。日本三景のひとつ「天橋立」や、海岸線に約230軒もの舟屋が軒を連ねる伊根町の舟屋群が観光地として有名です。
丹後地域までは、京都駅から鉄道やバス等の公共交通を利用して約2時間半。2016年に京都縦貫自動車道が開通したことで、車でも京都市から約2時間で行けるようになりました。
宮津市|日本三景としても有名な天橋立(写真提供:海の京都DMO)
伊根町|舟屋群(伊根町伊根浦伝統的建造物群保存地区)
宮津市|京都丹後鉄道にゆられながら、由良川橋梁を通過。
宮津市|伊勢神宮のふるさと眞名井(まない)神社
丹後の〝特別なあたりまえ〟の暮らし
丹後半島では、地殻変動により形作られた雄大な自然と、四季折々の息遣いを肌で感じられます。山々に囲まれた丹後半島では、栄養を含んだ豊かな水が肥沃な大地を育み、お米や野菜や果物といった農作物を実らせ、海へ流れて日本海の美味しい魚介類を育てます。
丹後地域では、綺麗な水や土や空気といった自然の恩恵を身近に感じることができますが、昔からそこに暮らす人の多くは、それがいかに「特別なこと」であるか気づいていません。それが昔から続く「あたりまえ」の生活だからです。
その「あたりまえ」の生活が特別なことだと気づかせてくれるのは、都会や他の地域からやって来る人たちです。丹後地域に移り住んで初めてその魅力を知り、または知ったからこそ移り住む人たちが数多くいて、その素晴らしさを伝えてくれます。「あたりまえ」の暮らしは、この土地だからこそ、この土地の営みがあるからこそできる「特別な」暮らしなのです。
京丹後市|溶岩が固まって地肌が剥き出しになった岩など、雄大な自然が広がる。
京丹後市|浜詰(はまづめ)漁港
食のすばらしさや自然との距離感がもたらす心が満ち足りた生活
丹後地域の生活では、水や農作物や魚介類といった家族が日々口にするものが美味しく、安心感があります。また、それらの食材を口にすることにより、すばらしい食を生み出すありのままの自然を身近に感じる事ができます。
もちろん、都会のような経済的な豊かさはあまり感じられないかもしれません。有名なお店や最新設備の揃った映画館や大型ショッピングセンターもありませんし、公共交通機関も都会ほどには発達していないため、移動は基本的に車を利用します。
ですが、理想とする生活を送るために何を優先させたいかを考えた結果、都会にはないこの土地ならではの暮らしを選んで都会から移り住み、その暮らしを楽しんでいる人がたくさんいるのです。
宮津市|上世屋(かみせや)地域での田植え
京丹後市|夏の田んぼの風景
宮津市|上世屋地域での稲刈り
宮津市|上世屋地域の雪景色
生活から職場まで流れるように働く暮らし
丹後地域には、農業や漁業だけでなく、2020年に創業300年を迎える地場産業の丹後ちりめん(織物業)や金属加工部品の製造業、観光資源を活かした観光業などの産業もあります。移住先を考える上で、「仕事」は非常に重要ですが、都会ほど選択肢が多いとは言えませんし、給与も高いとは言えません。
田舎とはいえ、企業などに勤めている方が多いのですが、実はあまり知られていない都会にはないような働き方もあります。例えば、農業や漁業は、生活と仕事の距離が非常に近いので、お昼には家に帰って家族と一緒に食事をしたり、仕事の合間に家事を済ませることもあります。
また、丹後ちりめんの生産者や酒蔵の蔵元で、都会からUターンした方が家業を引き継ぎながら新たな事業を始めている例もありますし、農家民宿やゲストハウス、古民家カフェや農家レストランの経営など、Iターンして自分のやりたいことを生業にするという働き方を選ぶ人も少なくありません。そうした方は、自分のやりたいことを地域の中で実現させながら、仕事とプライベートの充実した暮らしを送っています。
このように、固定概念に捉われない多様な働き方や、田舎ならではの仕事があるのも丹後地域のひとつの魅力です。
丹後ちりめん(写真提供:海の京都DMO)
京丹後市|イタリアから丹後へUターン。ピザ屋「uRashiMa」の藤原さん夫妻
宮津市|ゲストハウス「ハチハウス」オーナーの寺尾さん
宮津市|寿司屋「なみじ」の岸本さん夫妻
丹後の人口は減っても、丹後で〝おもしろがる〟人口を増やせば〝おもしろいまち〟になる
丹後地域では、今、UターンやIターンで移り住んできた若者を中心に、さまざまなイベント企画や活動が行われています。
昔から、「丹後には何もないから都会へ行って就職したらええ」といった言葉が日常的に使われ、そうして出て行った若者の多くは地元へ帰ることを諦めています。しかしながら、そうした中でも、地元へ帰ってきたり、丹後に魅力を感じて移り住んできたり、たまたま仕事で丹後へ赴任してきた人が、「何もないなら楽しみをつくればいい!」というマインドを持って活動している例が意外にも多く、年間を通じて、自分達が楽しむためのイベントが、大小問わず開催されています。
丹後でじわじわと認知度を高めている手作りのイベント「mixひとびとtango」(通称ミクタン(※1))の実行委員長を務める市瀬拓哉(いちのせたくや)さんは、「人口は減っても、丹後で〝おもしろがる〟人口を増やせば、〝おもしろいまち〟になる」と語ります。その市瀬さんも、丹後の食と人に魅了されて丹後へIターンをし、今では9年続くこの活動の実行委員長を務めています。
丹後は人と人のつながりが強く、そのつながりによってできあがるコミュニティがあります。そういったコミュニティで様々なアイデアが生まれ、それを皆で一緒になって実現していこうとする流れもあります。
例えば、閉校した小学校を活用して絵本展をしてみよう! というアイデアからイベントが生まれることや、地元出身の大学生が先生役になって、自分の勉強していることについて地域の人に講義をする企画が実現することもあります。他にも、日本酒の酒蔵での一夜限りのイベントで約600人が集まることもあります。
こうして自身の持つ技術や知恵を持ち寄り、何かおもしろいことを企てている人が、また新たに人を呼び、丹後で〝おもしろがる〟人が増えているのです。
mix ひとびと tango2016|(※1)今年で9回目を迎える丹後全体で同時多発に開催される体験型交流イベント【次回は2017年5月19~23日開催予定】
地域の大人達が本気で丹後を楽しむイベント「丹後.coi」
〝ふるさと〟が〝ふるさと〟であり続けるために
丹後という土地に暮らす人や丹後を離れて暮らす人、これから丹後に移り住む人にとって、また未来の世代にとって、〝ふるさと〟が〝ふるさと〟であり続けるためには、まずは自分たちが「丹後を楽しむ」 ことから始め、そんな大人の背中を見て育った地域の子ども達が「丹後が私のふるさとでよかった」と誇りに思えるまちになれば、世代を超えて、ふるさとを大切にする想いが受け継がれていくように思います。
京丹後市|海から見る朝日
京都へUターンしたい方・移住したい方はこちらまで
私たち京都移住コンシェルジュは、「京都にUターンしたい」「自然豊かなところで暮らしたい」そういった方々の想いをカタチにするため、移住相談から現地案内、地域定着に至るまで伴走支援しています。首都圏や関西での移住に関するセミナー、田舎暮らしを体験し、空き家を巡るツアーの開催や、個別相談など、移住に関わる様々な活動を行っています。
自給自足を目指す方から、半農半Xや農家民宿開業などの暮らしを希望する方、都会と同じようにサラリーマンをしながら自然豊かなところで子育てしたい方まで。いろんな暮らし方ができるのが京都の魅力です。今まで知らなかった京都での暮らしの可能性を探ってみたい方は、ぜひ窓口にお越しください。
※こちらの相談窓口は、京都府の移住促進事業による補助を受けて運営しています。無料でご相談いただけますので、まずはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
※遠隔地にお住いの方向けに、電話相談も実施しています。お気軽にお問い合わせください。
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