柳川暮らしが楽しすぎて困ります ~移住フェアの巻~

2017/04/12

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執筆者 阿部昭彦
所 属NPO KATARO PROJECT

 福岡県の最南部、佐賀県と熊本県に挟まれ、有明海に面した柳川市からこんにちは。地域おこし人アベアキヒコです。
 元柳川市地域おこし協力隊、最近では「NPO団体KATARO PROJECT」の代表(と言ってもメンバーは私一人)としても活動しています。

 

JOIN

 

 2017年1月15日(日)東京ビッグサイトで開催された「JOIN 移住・交流&地域おこしフェア」に柳川市の担当として参加してきました。
 JOIN(一般社団法人 移住・交流推進機構)と総務省が主催のイベントで、全国から約450もの団体が、東京ビッグサイトに集結。移住・交流相談のほかに、地域おこし協力隊募集ブースやトークイベントもあり、実にスケールの大きな移住フェアでした。

 私も移住者代表として柳川市のブースに参加し、市の移住担当職員さんと一緒に相談に乗りました。他のブースでも、私と同じ地域おこし協力隊がブースを盛り上げていました。
 しかし、残念ながら来場者が少なく、会場を歩いている人のほとんどがブース出展者という状況で、費用対効果としては問題の残る結果となりました。

 

少ない来場者

 

 その少ない来場者を自分のブースに呼び込むべく、特産品のプレゼントで興味をひく姿が多く見られました。
 福岡県のブースでは「あまおう」を配って、ブースへの誘導をしていて、我が柳川でも「むつごろうラーメン」「うなぎラーメン」を武器に呼び込みをしました。酒あり、菓子あり、ゆるキャラグッズあり、様々なものが会場全体で配られています。

 

本気で移住者

 

ちょっと待って。本気で移住者を探したいの?

 

 経験者として言わせてもらえば、移住はそれまでの生活を離れた新しい生活へのチャレンジです。当然のことながらリスクも伴い、生半可な気持ちでは移住を決断することはありません。「あまおうが美味しいから柳川に移住したい!」などという人が果たしているでしょうか? あまおうを栽培する農家になりたくて移住する人なら話は分かりますが。

 モノで釣ってブースに誘導し、ひと通りの説明をしてアンケートに回答してもらう。そうやって手に入れたアンケートの枚数が、フェアでの移住相談者数となり、実績として地元に報告されていく。このような中から本当に移住者が得られるでしょうか?

 

移住者にも様々

 

 移住者にも様々あって、軽い気持ちで「田舎暮らしってちょっと面白そうだよね」という人もいれば、「柳川に移住して船頭になりたい」と強い意志を持っている人もいます。今回の東京ビッグサイトという会場は、何かのついでにふらりと立ち寄るという立地ではないので、前者のような軽いノリで来場する人はほとんど期待できません。

 こうした人たちをターゲットにするならば、たとえば昨年、福岡県の移住フェアを開催した渋谷・ヒカリエなどがいいでしょう。後者のようにターゲットを絞っている人であれば、東京ビッグサイトでもいいかもしれませんが、このような人たちは事前にそこそこ情報を持っていて、より具体的な相談をするためにブースに来ると想定できます。
 ということは特産品などで釣らなくても、最初から訪問するブースは決めているということになります。

 

ブースの配置

 

 また、ブースの配置は、北海道から沖縄まで地域ごとにまとめられていたのですが、地域ではなく業種で移住先を選びたい人には、少々使いづらい面があったかもしれません。就農のための受け入れ体制が整っていれば地域はこだわらないという相談に乗れるところがないからです。自分が移住相談をしに来たつもりになって見てみると「コンシェルジュ」が会場にいてほしいなと感じました。
 多くの特産品がばらまかれるこの会場は「移住フェア」というよりも、むしろ「お国自慢フェア」の様相だったと言えるのではないでしょうか。

 

何を求めて移住するのか

 

 そもそも私たちのような移住者は何を求めて移住するのか。その根本のところまで踏み込んで移住に取り組んでいる地域が果たしてどれだけあるのか。今回のフェアだけでなく、私自身の3年間の移住経験を通しても、それをしっかりと感じられたことはほとんどありません。
 もともと移住というのは、自分の中からわき上がってくる「移住したい」という思いが抑えられなくなったからする自分本位のものなのかもしれません。だから一度、移住を決意したら、誰が止めても移住せずにはいられない。
 そして、その移住を決意する理由も、ひとり一人異なって千差万別だとすれば、誰にでも広くアピールできるような内容ではなく、ターゲットをしっかりと絞り込んで、1対1の関係性が作れるような移住プランを提案する方がいいのではないでしょうか。

 

ブースに来た人

 

 ブースに来た人から「○○をしたい」と相談を受け、それに対して「もちろんできますよ」とか「それはちょっと難しいですね」などと受け身で対応するレベルではなく、「私たちの地域では○○の人を徹底的に応援します」というような攻めの移住促進が今、必要なのかもしれません。
 「ここでもいいか」ではなく「ここしかない」と思ってもらえるような移住プランを、ぜひ担当職員さんにはお願いしたいところですね。

 また、これは甘えだとお叱りを受けるかもしれませんが、こういう補助金が利用できますとか、こういう優遇措置がありますという話よりも、親身になって自分の移住に寄り添ってくれるかどうかの方が大事です。何かあったときに相談ができるメンターの存在が、移住が成功するかどうかの大きなポイントではないかと私は考えています。
 自分のような移住経験者が、柳川での新しい移住希望者のメンターになれたら、本当にうれしい限りです。

 

大規模な移住フェア

 

 今回のような大規模な移住フェアも、そろそろ見飽きられてきたようです。スケールメリットも大切ですが、しっかりと「とがった情報発信」をすることが、移住者ゲットの近道であるような気がしてなりません。
 私のような移住者のみなさん、どう思いますか?

 

地域おこし人アベアキヒコ
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