地域のチカラを学びに、学びのチカラを地域に2 〜「島おこし実践塾」の昨年度の振り返りと今年度の開催案内〜
今年も対馬市では、対馬を学びの“フィールドキャンパス 対馬学舎”と位置付け、域大学と地域が連携して学び合う“域学連携”事業を展開します。
今年も現場で活動する学生を募集します。〆切は7月28日まで!
大学で学んだことを現場で実践したい!
地域社会の現場で求められる考え方やスキルを学びたい!
地域創生に自分も貢献したい!
そんな熱い学生のご応募をお待ちしています。
今年度は、学生のニーズに応じて、具体的なプログラムは3つあります。
ちなみに、私たちMITは、地域と大学のそれぞれのニーズをマッチングさせたプログラムづくりや現地指導・コーディネートを行っています。
今日は、地域づくりの入門編である「島おこし実践塾」について紹介します。学びの舞台は、対馬市上県町志多留・伊奈・田ノ浜地区です。
ここは、伝統的な村落景観とツシマヤマネコを頂点とする豊かな里地里山の生態系を今に留め、山と里と海の暮らしが一体となった農山漁村集落です。志多留地区には、私たちの事務所があります。MIT専務理事であり、島おこし協働隊1期生の川口幹子が惚れ込んで、住み着いた場所でもあります。
志多留地区の海側
志多留地区の集落側、奥に里山が広がる
自然資源は豊かですが、人口減少によって限界集落化し、コミュニティや貴重な生態系の維持が困難になっています。
日本が直面する地域の課題の多くが既に顕在化しているため、今後の日本の地域社会のあり方を考え、課題解決策を検討し、実行するためのモデルとなる場所です。しかも、ぎゅっとコンパクトに地区やその周りの自然環境(里地里山・里海がある)が歩ける範囲にまとまっているなので、自分の足で好きなように回れます。
島おこし実践塾は、5泊6日(今年は4泊5日)のプログラムで、「地域づくり」とは何かを考える機会です。いくつかの各論的なテーマを設定して、午前中に座学、午後に実習、その後グループワークをします。
今年は、川口幹子が熱い想いを持って、5年間の経験をふまえて、これだ!と思えるプログラムを企画しましたので、お楽しみに!
集落や自ら手がける田んぼについて熱く語る川口
昨年のテーマは大きく3つ。
1)里地・里山:農村集落に根付く伝統的な知恵や生物多様性を活かした地域づくり
農村で受け継がれた伝統的な知恵や自然と共生する伝統的な農法、それによってもたらされる防災力などについて。和歌山大学の養父先生と地元有機農業の実践者 神宮さんから学び、農村・農業の維持と生物多様性保全のあり方について考えました。
みんなでパリます。※耕すことを対馬では、“パル”と良います。
巨大バーナーで火入れする神宮さん
平地が少ない対馬では、山の斜面で焼き畑(木庭作)をやって食料を確保していました。その体験をしました。斜面で農業なんて、とっても大変!
2) 里海:島の暮らしを支えてきた豊かな海を後世に残していくために
嵐が来るたびに押し寄せてくる大量の漂流・漂着ゴミ。漂流・漂着ゴミの問題に取り組む国際NGO JEANの小島さんからお話を伺い、ゴミ対策や海洋環境保全について考えました。
グループワークでは、拾ってきた漂着ゴミと自分のつながりを考えました。
実習では実際に漂着ゴミを拾い、地域に貢献しました。
3) 「まつり」がつなぐ地域の誇り
この地域は、少子高齢化や若者の流出により、地域の祭りを継続することができなくなっているのですが、実践塾参加者に力を貸してもらい、新たな「楽しみの場」として、地域住民が集う夏祭りを実施しました。
講師は、対馬が誇る地域づくりのカリスマ的リーダーである佐須響心会の杉村会長から、地域の主体性の育て方、地域の理解や協力の得かた、チームワークの作り方などのノウハウを学びました。
実際に地域の若者を束ねる杉村さんの言葉は重みがあります
軽トラ2台で特設ステージ。地区の代表者から開会の挨拶
佐須響心会の太鼓披露。太鼓の音が心に響きます。
実践塾メンバーの集合写真
グループワーク:地域おこしの第一歩 地域にある資源を「見つける」
グループワークは、班に分かれて行動します。地域に根付く伝統的な知恵、技能、風習等について、地域の方に聞き取りをし、それらを記録することで、伝統知の継承や応用の意義、重要性について考えました。
地域住民への聞き取り調査を通じ、それらを拾い上げ、どのように継承していくか、現代でどう活かせるかをディスカッションし、最終日に発表します。
自然資源(食材)を見つけて、食べてみる!水路にいたウナギは釣りそこなった!
地域の方から伝統的な文化や風習、知恵等について聞き書きしています
前回は、全国9の大学から11名の学生と1名の島外の高校生、島内3つの高校から9名の生徒が参加しました。大学のない対馬では、地元の高校生が大学生と交流する機会がほとんどありません。大学生と兄弟のように親しくなれるのも実践塾の魅力の一つです。
実践塾で最も好評なのは、民泊さんとの交流です。限界集落には、ホテルや民宿はありませんので、宿泊場所は、地元の方のお家。もちろん、法的な営業許可を得ています。
田舎のおじいちゃん・おばあちゃんができた
今年で6年目を迎えました。実践塾を経験した参加者が、対馬市の島おこし協働隊や外部集落支援員になったり、研究やインターンで何度も来島したり、対馬のために都会で事業や交流会を企画してくれる人達が現れたり・・・。
いきなり大きな成果は見られることは少ないかもしれないけど、ボディーブローのようにじわじわと波及効果が現れているのは事実。
継続は力なり!
【平成29年度島おこし実践塾の募集を開始しました!】
今年度は、第6回目となります。
原点に立ち戻り、「生物多様性保全とくらし」に焦点を絞って、地域創生の課題や現状を学びます。
生物多様性保全の現場を学びたい!
農林漁業振興に携わりたい!
地方でソーシャル・ビジネスを起業したい!
そういった熱意ある人の参加をお待ちしています。
年齢や大学や地域を超えて、真剣に語り合える仲間が集いますので、是非ふるってご参加ください。
対馬市島おこし実践塾の募集要項等については、こちらから
その他、教育、医療/福祉/交通、環境、ソーシャル・ビジネスなど個別具体的なテーマでの学生実習(中長期間)も開催しています。学生実習にあわせての参加も歓迎します。学生実習の詳細については以下URLをご参照ください。
http://fieldcampus.city.tsushima.nagasaki.jp/student/cat/cat1/post_1.html