柳川暮らしが楽しすぎて困ります ~あべべ失敗の背景の巻1~

2017/07/21

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執筆者 阿部昭彦
所 属NPO KATARO PROJECT

 福岡県の最南部、佐賀県と熊本県に挟まれ、有明海に面した柳川市からこんにちは。地域おこし人アベアキヒコです。元柳川市地域おこし協力隊、最近では「NPO団体KATARO PROJECT」の代表(と言ってもメンバーは私一人)としても活動しています。

 

有明海

 

アベアキヒコ

 

 地域おこし協力隊として約3年間活動してきましたが、毎日とても楽しくてやりがいもあり、東京を離れて柳川に移住して大正解! これからも柳川にずっといたいと願っていますが、正直に申し上げて、協力隊としては失敗もたくさんありました。
 地域おこし協力隊は安倍政権の重点政策の一つとして推進されており、現在4000名を超える隊員が全国で活動中ですが、若い隊員のみなさんが今後、気持ちよく活動していく上で、先輩隊員として失敗の本質を紐解くことが役立つと考え、自分の恥をさらしてみようかと思います。(←ドMですな)

 

生計を立てるスキル

 

1.生計を立てるスキルがあると有利

 
 東日本大地震と福島原発事故が大きなきっかけとなって、もともとからあった東京脱出願望を実現したわけですが、その際、「地域おこし協力隊」という制度はとても大きな魅力でした。渡りに船とばかりに飛びついたわけですが、前職(学校の教員)とはまったく異なる仕事なので勝手のわからないことばかり。
 しかも、地域おこし協力隊は移住のための制度だと最初は知らず、とにかく目の前のミッションをクリアすることしか考えていなかったので、3年後には自分で稼がなくてはいけないと気付いた時は、さてどうしよう?と本気で悩みました。
 ミッションであるグリーンツーリズム推進として農家民泊型修学旅行の誘致を市と二人三脚で進めて、その受け入れ中間支援団体として市から委託事業を受けることで定住しようと勝手に想定していましたが、市にはそのつもりがないということが分かり、ここでもショック!
 
 商店街の空き店舗リノベーションによる居場所作りも進めましたが、これはもともと収益事業としては成立しない性格のものなので、生計を立てるための収入源とするにはあまりにも貧弱でした。
 もし私が何か手に職を持っていれば、それを使って生計を立てることもできたはずですが、教員というまったくつぶしの効かないスキルしかなく、結局、今の時点でもしっかりと生計を支えるだけの収入源を確保できていません。
 地域おこし協力隊となる人は、即戦力として活動でき、なおかつ任期終了後もそれを生計の手段とできるようなスキルを持っていることが大きな条件であるように思います。私のように思いだけで隊員になると、後々かなり苦労することが危惧されます。地域おこし協力隊は、あくまでも定住のための手段です。行政から与えられるミッションの向こう側に、しっかりと自分の定住が見えるかどうかをしっかり確認してから応募することを強くお勧めします。

 

行政職員は大事なサポーター

 

2.行政職員は大事なサポーター

 
 柳川市の場合、地域おこし協力隊は市の嘱託職員として、雇用契約を結んで活動しています。デスクは市役所の担当課に置かれ、基本的には他の職員さんと同様の勤務時間です。(私が採用された時は、週5日、8:30~17:00の勤務。現在は改定されて、原則週4日でシフト申告制になっています。)
 そのような環境で、着任当初やる気に燃えていた私は「こんなことをやったらどうか」という提案をいくつも行政サイドに投げたわけですが、とにかく反応が鈍い。どうしても「やれない理由」が先に出てきてしまうし、一つの物事を進めるために踏まなければならないステップ(書類や根回しなど)が多くて、とにかく時間がかかる。正直な感想としては

「おいおい、こっちはたった3年しかないんだよ。何を悠長なことを言っているんだよ!」

って感じ。せっかちな性格で、展開が早くフットワーク軽く動きたい私としては、向こうを向いている人にこちらを向いてもらうために手間と時間をかけるのは無駄だと切り捨て、とにかくこちらを向いている人だけを相手にして物事を進めました。
 結果的に、行政サイドと組むのではなく、こちらの発した情報をキャッチできるアンテナを持った市民の方々と協力することが中心となったわけですが、今になって思えば、非常に浅はかな判断だったと反省しています。(先日開催した「あべべ協力隊卒業式」のコメントでも、この点について「切り捨てすぎだから」と手厳しい指摘をいただきました)
 
 まず、行政サイドがフットワークよく動けないのは、自分の企画そのものがまだまだ甘かったから。行政サイドが「これならできる」というスキームをきちんと組み立てられなかった自分がいけなかったわけです。自分の不勉強・未熟を棚に上げて、相手のせいにした私はなんと愚かだったことか。
 これから協力隊として活動を始める皆さんは、できれば最初の段階で、行政サイドの方法論をしっかりと学んで、うまく手を取り合って物事を進めるための地盤固めをしてください。
 行政サイドが納得できる形で自分のやりたいことを企画できれば、これ以上ないほど強いバックアップが得られます。逆に、行政サイドの皆さんには、協力隊員は行政的な物事の進め方を知らないことを十分に理解していただき、必要なアドバイスやサポートをいただければ、効果的な地域活動に結び付けられるはずです。

 

効果的な地域活動

 

 まだまだ恥の上塗りは続きますが、とりあえず今回はこの辺で。ぜひ「あべべ失敗の背景の巻②」をお楽しみに。

 

地域おこし人アベアキヒコ
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