円坐から学ぶ生命的な場の作り方〜いなか求人フェス〜
- 執筆者 吉尾洋一
- 所 属一般社団法人いなかパイプ
2017/08/17
構成:幾つかの要素を組み立てて一つのものにこしらえること。
また、その組み立て。
非構成:構成がないこと。
いなかパイプでは「非構成」場作りを社内でも取り入れています。
目的を持たずに円になって坐る「円坐」という場を一年間、月に一回大阪に行って学ぶクラスが先日終了しました。
そのクラスで一年通して発見したことは・・・自分というものがヘンテコな人間だ!ということでした。まぁ、それは前々から自覚してましたが。。
でも、円坐は自分と他人が対等の土俵に並んで存在できるということが面白く、日常の中では起こらないような色々なことが起こります。
そんな円坐で更に分かったのは、他の人も同じようにヘンテコであり、そのヘンテコな方が自然なんだなぁということでした。
ヘンテコが自然なのにそのヘンテコな自分をどうにか社会に合わせようとしているのが今の世の中で起こっていることなのかもしれません。円坐をすると副産物としてそんなことを目の当たりにします。
目的を持たない円坐、非構成をどうやって仕事に応用させて行くか、というのがこれからの課題ですが、円坐や非構成を体験するほど今の社会が必要としている手応えを感じます。
おそらくそれは現代の社会構造のほとんどが構成的に機能していて円坐や非構成は目的を持たないという性質からか、参加している人の人間性が浮き彫りになるのをたくさん見るからです。
さらけ出してもオッケーだし、隠そうとしてもその行為も明らかになる。そんな人間臭い?場面を円坐ではよく目にします。
自分が円坐に興味を持って学び始めたのはそんな円坐の非構成的な性質が今の構成的な社会では、補完的に求められていると感じたからですがそれを分かりやすく言葉にするのがいつも難しいんです。。
例えば会社一つとっても、目的がない会社はほとんどありません。
利益を上げなければいけない、生産性、効率性を高めなければいけないとどの会社も目的を持っています。その見方はその目的を達成するという視点だけからみると真っ当ですが、そのために不必要な無駄を無くすという落とし穴があります。
おそらく、その無駄の中には人間性やその人の個性が含まれていて、それは一人ひとりが人として存在するときにはなくてはならないものです。
本来人間はみんなヘンテコで、企業の目的を達成する為に生まれていません。それをいかにも企業や社会に合わせて生きることが真っ当であるかのように振る舞いそんな社会の中でみんな生きているように僕には見えますがみなさんはどう感じますか?
そんな仕組みを目の当たりにすると構成し過ぎる世の中が本来の在るべき人の自然の状態から遠ざけているんだなぁと実感しています。
構成的な世の中で起こっている実態(個人的視点です)
「そんな現代社会にちょっと物申したい!」
として企画したイベントが先日大阪で求開催した「いなか求人フェス」です。
これまでのよくある求人イベントでは、求人情報を持っている企業側がプレゼンテーションや情報を伝え、求める人はその情報について受け手になるという構造を持ってしまいがちです。
一歩話が進んだとしても、その構造では企業が求める「役割」が両者を繋ぐ共通言語になり、「人間性」は二の次になってしまいます。大げさなことを言ってしまえば、企業としてはある仕事をこなせる「役割」であれば誰でもいいから来てほしいとなることもあります。
しかし、求人を出しているのも「人」。求めているのも「人」。
実際に一人ひとりの人生を味わってその人の立場に立ってみると「役割」以上の何かがその人の人生の軸になっていることがほとんどだと思います。
そんなやり取りを一人ひとり深めて話し合うなど一日のイベントでできることではないかもしれませんが、そのバランスを取りながら何処まで繋がりが生まれるかが今回のいなか求人フェスの挑戦だったように思います。
いなか求人フェスは、新しい試みで主催者側もポイントを伝え切れず参加者で溢れかえるほどのイベントにはなりませんでした。
でも、それはそれで参加した一人ひとりの印象が残るくらいの密度で開催できてイベントの趣旨と初回ということを考えると適正な人数だったかもしれません。
今回のイベントでは求人情報を伝えるということだけでなく人が出会うということに重きを置いていました。その方法として、円になってなんでも聞きたいこと、話したいことを共有出来る場
(円坐を応用した場)をイベントの柱にしました。
今回は求人する側と求人を探しに来た側以外にそれぞれの話の場で聞き手になる人にも各話の場に入ってもらいました。
僕もその聞き手の一人として参加しましたが、話を聴く聴き方一つで場の空気が全く変わってきます。
特に今回のようなイベントでは放っておけば、話は情報のやり取りだけで終わってしまいます。それはそれで必要なやり取りだったりもしますが、今回の意図とは少しズレてしまいます。
3セッションの小グループの話合いでしたが、最後は聞き手できてくれたフェンスワークスの田中聡さんのアイデアで一つの大きな円になりました。
大人数になると当然これまでの少人数の簡単に話せていた場ではなくみんな沈黙したり、慎重に質問や答えを言ったり、更にみんなが真剣に聞いているので場に少し緊張感が生まれます。しかし、一つひとつの言葉をみんなで味わうような良い影響も出てきます。
その場の中で、
「人と繋がりさえすれば、求人内容も関係なく、その人の場所に行きたくなる」
という言葉が出てきて、全体がその流れに乗っていきました。
従来の求人イベントからすると元も子もないような内容ですが、今回のイベントはまさにそれを目指したイベントだなぁと個人的に思いました。
やってみた結果、参加者からはこういうイベントを待っていたというような声もいただき好感触でした。
一方で、求人情報を出す出店者側は、情報を一度にたくさんの人に伝えるというこれまでのよくあるイベントではなかったので、戸惑いも少しあったと思います。
構成、非構成のイベントどちらがいいということではなく、
「構成には目的を達成させる効率的に物事を生産する創造力があり」
「非構成の場には無駄があり、その隙間には人間力が存在出来るゆとりがある」
ということははっきり見えてきました。
この二つのバランスに人が社会の中で生きるヒントがあるのかもしれません。
いなかパイプはこの二つのパイプ役になれるのか、という挑戦をしているのかもしれません。
「人と自然」「西洋と東洋」「意図とあるがまま」「個と多」「構成と非構成」
僕自身は言葉が変わっても、昔からこの対極の間を行ったり来たりすることを何処に行っても出逢って、生きるテーマのようになっているなぁと感じることがあります。今またそんな経験を繰り返していることに色んな想いが浮かんできます。
なんでいつでもこの面白いテーマに出逢うのか自分でもわかりませんが、人生って楽しいなぁと感じる今日この頃です。