さて、今回は私たちの新しい生活環境についてご紹介します。
岡村島ってどんなところ?
岡村島は瀬戸内海にある小さな島。漁業と柑橘の栽培で栄えた島ですが、高齢化が進み、現在人口は約300人。10分ほどあれば車で島を一周できるくらいの広さです。
島内にはスーパーがひとつ。出張診療所がひとつ。小学校と中学校がひとつずつあります(ちなみに小学生は3人だそうです)。
アクセスは今治の港からはフェリーで1時間。本州側には橋が繋がっていて、小一時間で広島県呉市に出ることができます。つまり、日々の生活に関わる最低限の所用は島内で済ませることができ、まとまった買い物などをする必要があるときは少し車を走らせればいいということ。島暮らしにしては便利です。
この島の高齢化現象は土佐町よりもさらに進んでいます。空き家が増え、朽ちて屋根が陥没している家が何軒も見られます。かといって、移住対策を進めてきたわけでもなく、どんどん人口が減っていきます。
数年前に初めて協力隊の採用があり、さらに今年私たちを含めて3組の協力隊世帯が越してきました。若い世帯が急に増えることとなり、これから島がどうなっていくのか始まったばかりです。
私たちの新居
私たちが住む家は港から歩いて3分ほどのところにある、大きな古い平屋。パートナーが地域おこし協力隊に任命されるにあたり、役場から住まいを提供して頂けました。
私たちが住むことになったのはこちら。
屋根裏物置つきの母屋と、二階建ての離れ、三室のみかん蔵と、かなり大きな家です。
10年ほど住んでいる人はおらず、家の中には荷物がたくさん残っていたり、ちょっとした補修が必要な箇所がいくつか見受けられます。住むには問題ない程度なので、住みながらこれから少しずつ片付けや補修をしていくつもりです。
家の中には古い立派な調度品がたくさんありました。羽釜、振り子時計、かご、黒電話……
台所は土間づくりです。写ってませんが、傍らには井戸があります。
二階の物置。荷物があるので片付けをしなくては。そしてなんと立派な箪笥。嫁入り道具でしょうか。
みかん蔵。収穫した柑橘を保存しておくところ。何段もコンテナを収納できるようになっていて、高いところははしごで昇降します。
釣竿や刈り払い機など、いますぐ島暮らしを満喫できそうなグッズまで揃っていました。
ちなみに、ここに入居が決まる前に他に2軒のおうちを見せて頂きましたが、どこも土間造りで、どこも居住空間にひけをとらないほどの立派な物置がありました。みかんのコンテナや木箱、調度品をしまいこむようです。島の人は立地上、皆物持ちがいいようです。
あとおもしろいなぁと思ったのは、土間の中にある「ツバメの巣跡」。
どうしてその風習が生まれたのかはわかりませんが、かつてこの地域では人家の土間にツバメが巣を作るのが普通だったようです。そして、玄関が閉まっていてもツバメが行き来できるように、扉の上に通り道の穴があったようです。
昔はツバメが家に巣を作るのは縁起がいいと言われていたみたいです。
写真中央あたり、梁に白く巣の跡がある
あと、こちらのおうちの家主さん、山手にみかん畑を所有しておられ、その一部を使ってもいいと提案してくださいました。みかん栽培に関して知識がないので、これから勉強しながら挑戦してみようと思います。
家の近所の畑も借りることができました。まずは草の処理から始めなくては。
豊かな食材
島のおばあちゃんたちの持ち寄りパーティーに参加させてもらいました。
島ではどうやって食材を手に入れればいいのかな?と思っていました。島内のスーパーでは地産の野菜は出ていませんでした。島の人たちは家庭菜園で自己調達している様子です。
しかし野菜の流通ルート、ありました。朝市です。毎週月曜日と水曜日の朝7時から、港でおばあちゃんたちのグループが野菜や柑橘や花、ときにはお赤飯を売り出していました。
安い。一袋100円なんかで売っています。そしてとても美味しい。お花もきれい。場所が変わると花の彩りも変わるんだなぁと実感します。
魚はどうなのだろう? 市場では魚が出ておらず、スーパーにも出ていない。
島の人に聞いてみると、島の漁師さんに直接電話をして、そのとき獲れた魚を売ってもらうシステムだそうです。
あと柑橘類。市場でも販売はしていますが、近所の柑橘農家さんからたくさん頂きました。サラダやパスタなど料理に入れたり、お茶やお酒に入れたりと毎日活用法を考えています。が、しばらくストックがなくなることはなさそう。
自慢の海
家から歩いて1分で漁港に出ます。天気のいい日には海藻が干してあります。砂浜には歩いて5分くらい。小さなプライベートビーチです。
ここまで散歩するのがお気に入りです。夏はもっと気持ちいいだろうなぁ。
海にいると無心になれます。あてのない考え事をしていても、なんだか心が晴れやかになってきます。
しばらくは家の片付け作業が続きそうだし、海を眺めながら、これから先のことをゆっくり考えようかなぁと思います。