2拠点生活の始まり
- 執筆者 天野治美
- 所 属株式会社FPI 地方創生事業部 おむすビーズ
2018/06/08
はじめまして。DIYと素もぐりが趣味の、ハルといいます。冒頭の写真は島根県の日本海に浮かぶ島の海の中で、昨年の夏、タコをつかまえた時のものです(笑)
人はそれぞれですが、ひょっとしたらいい年をした女性がタコをつかまえて狂喜してるって少し変わっているかも知れませんが、どうかしばしお付き合い下さい。※ちなみに年齢は今年で46歳になります。
はじめましてということで、最初に自分の生い立ちについて書きたいと思います。
故郷は愛知県。横浜、東京都三宅島を経由し大阪で10数年暮らし、6年前に通勤圏内の奈良に居を移し暮らし始めました。現在は、大阪豊中市:一次産業支援、地域振興事業「おむすビーズ」に在職しています。
生まれ故郷の愛知県では祖父母が農家だったこともあり両親の共働きも手伝ってか、物心ついた幼少期の私のおもり役は必然的に野山、お祖父さんの農業、林業といった生業の世界に広がる田畑という記憶があります。
いつもお祖父さんは農作業を始める前に、
「ここにワシの上着を掛けておくから、この上着の見えるところに居なさい」
と言い残し、果樹の手入れや日々の農作業に山の中へと消えていきました。
考えると保育所へもまだ上がらない子供を山合いに残し半日帰ってこないって(笑)
残された私の周りに人影はなくぽつねんと過ごした訳ですが、不思議なことに私の記憶のどこを探しても全く寂しさや不安といった感情は見当たらないのです。
おもり役の小さな虫や草木、土や水といったそこにあるシンプルな素材の心地よさ、今でも思い出されるのは、こんこんと地面から湧く透き通った水や、水にさらさらと踊る砂、肌に触れる風や心地の良いお日さんのきらめきや温かさです。
まだ言葉も知らない頃に、やんわりと見守られ誰にも邪魔されず自然と繋がる感覚を貰いとても幸せな時間を過ごしていたんじゃないかなぁと思います。
成長し学校に上がっても時折祖父母の田畑へ出かけたり、幼馴染みと川などで泳び、虫を追いかけ遊んでいたものですが、大人になるにつれ「自然の中でふつうに過ごす」という事がだんだんと少なくなり、進学を機に実家を出て横浜という副都心での生活が始まると、野山からは完全に離れた生活を送ることになりました。
横浜に自然が無いという意味ではないのですが、自然をそれほど求めないという感覚と言うのでしょうか、その頃の関心ごとは自分の田舎に無い「都会というもの」を知りたい。という、好奇心の様なものに心を奪われていた気がします。
電車が一時間に何本も走っている、乗客も朝などは身動きが取れないほどの多さ。街を歩けば朝まで煌々とネオンが輝き、知らない人たちで埋め尽くされた交差点.。。。とにかく今までののんびりとした実家暮らしとの環境の違いに驚き、そのパワーに圧倒され、のまれ揉まれながら色んな人と出会い、若い若い青春時代を過ごしました。
当初は黒ずくめのスーツ企業戦士たちに驚いたりも。。
それから20年過ぎた今、何が自分に合った暮らしなんだろう?と過ぎた時代を振りかえりつつ、自分の原点はどう転んでも、故郷にあった「自然の中でふつうに過ごす」ことなんじゃないか?という感覚が徐々に高まって来ました。
いっぺんに、と言うより、徐々に、という感覚がぴったりなのですが、街の暮らしが嫌いなわけでもなく、様々な人に出会う機会も多く、多様性も有り、効率化された都市の生活環境のそれはそれでむしろ快適かも知れないと思います。
けれど、幼いころの感覚に導かれる様な、自分に合った場所でくらす方が幸せなんじゃないだろうか?。。。そんな漫然とした気持ちがライフスタイルを具体的に変え、子育てがひと段落した数年前、都会暮らしに区切りをつけ田舎の2拠点生活をはじめました。
それは、大阪市内の会社に勤めながら極力無理のない形、通勤圏内の奈良と出張ベースの隠岐の島に住居を置き、実験的にくらすこと、というものです。
奈良へ移住し手始めに休日は畑と空き家のDIYを、そして昨年仕事を通してご縁のあった隠岐の島で海や山の探索をしたりと2地域の拠点を楽しみつつ行き来しながらくらしています。
奈良で地道に行っている空き家の改修と畑の趣味。時には人が訪ねてきたり
隠岐の島。美しく豊かな日本海の海
海外から湾内に漂着物が流れ着き、時には海のゴミの撤去作業をお手伝い。。地元の漁師さんと海の生態調査にも出かけます。写真最後はモンゴイカの卵
今や交通網が発達し、時間的、距離的制約が薄くなりつつある時代です。社会の常識も随分と変化し、まだまだ制約も大きいですが、それでも随分と選択肢が増えたとも言えます。
私の場合は、自然が好きだったり、泳ぐことや作物を育てる事が好きだったり、食べる事が好きだったり(これが一番大きいかもですが。。)、地域の自然や資源が豊かな場所に惹かれる理由はいくつも有って、ご縁の有った海無し県(奈良県)と、海に囲まれた隠岐の島のふたつの地域が今の人生の居場所となっています。。
今年は更に地域や人と深く繋がり、関わりながら、自分らしく行こうと思います。