地域おこし協力隊が婦人会で教わっていること

 四国でもやっと梅雨入りしました。あまりに遅くて、このまま夏になっちゃうんじゃないかなんて話をしたり。田舎ではお天気の話は挨拶がわりです。

 

空

 

 私の活動している地域では婦人会という地元のおかあさん方の集まりがあって、地域おこし協力隊としてこの町にやってきたときから、受け入れ団体とは別にとてもお世話になっています。

 

交流の場だった婦人会

 

 婦人会はこの町に住んでいる女性の集まりで公民館に集まって料理や手芸をしたり、体育祭を開いて、昭和の頃から活動が続いている。お嫁に来たばかりだと、知り合いもいない状態だったから婦人会は町内の人と関われる貴重な機会だったようです。
 メンバーも今よりたくさんいて、体育祭というのもバレーボール大会をしていたというから驚き。今は小学校でもクラスに10人いるかいないかで、これまでみたいに野球やサッカーができるほどの子どももいないというのに、町内のご婦人だけでバレーボール大会が開催されていたなんて。「昔はよぉけおったんやけどなーー(昔はたくさんいたんだけれどね)」と言われるのもうなずけます。

 

今でも続く恒例行事

 

 婦人会で焼肉のたれとそうめんつゆを作るのは恒例行事。毎年、暑くなる前に作っているのでてっきり夏によく食べるそうめんに合わせて作っているんだなと思っていたのですが、焼肉のたれに入れる玉ねぎとにんにく、しょうがの収穫時期なんだとか!ここで育った野菜を使って焼肉のたれを手作りできるなんてめっちゃ楽しい!と始めて参加した2年前に感動しました。

 

婦人会

 

 この町だけなんだと思っていたら、徳島で活動している他の地域おこし協力隊もこの時期に地元のお母さんたちと焼肉のたれを作っているというようです。これは徳島の伝統行事なんでしょうか?それとも田舎あるある??

 

タレ

 

 今まで都会で暮らしていたときはネットでレシピを検索したり、本やSNSで見たものを作ることが多かった私にとって、みんなでわいわい料理をするということが全くなかった。作り方のコツや、アレンジの仕方なんかも全部レシピに載っていることから学んで、失敗したときなんかは「〇〇 失敗 原因」なんて入れて検索する。都会で暮らしていたときなら、旬の玉ねぎとにんにくが手に入っても1人で作っていたと思います。

 

 公民館の調理室でわいわいと「うちではこうしてるよー」とか、「おとうさんあれが好きやけんーこうしてる」とか、「孫が来た時にはこうやってー」なんて会話をしながら、てきぱきと進められていく。売られているものではないのに町内のみんなで同じ味を共有して、それを家庭でアレンジしたのをまた婦人会で話しして広がっていくというのはおもしろい。郷土料理ってこうして出来ていったのかもしれないなー。

 

住んでいる町を大切にする姿

 

  昔と比べて人数の少なくなった婦人会の活動は、主催となって公民館の大ホールを使って敬老会をしたり、資源回収や防災訓練での炊き出し、四国巡礼のお遍路さんにお接待(お遍路さんに食べ物や飲み物を渡す四国の文化)など奉仕活動を活発に行われています。
 田舎は子どもや若い人が減ったとかお店がなくなったとか、さびしい方に目が行きがちですが、自分たちが住んでいる町のために変わらず活動されていることもたくさんある。

 もし地域おこし協力隊としてではなくて、ただ単にこの町に移住してきただけなら付き合いしなきゃいけないのってめんどくさいなーと思っていたかもしれません。でも便利な都会と違って、田舎はどんな人でも暮らせるように整えられているわけではないから、地域のことをよく知っている人に生活の知恵を聞いたり、行事についての情報を共有したりできるのは、慣れない田舎暮らしの助けにもなる。

 

 そして、地域活動に参加していると住んでいる町って自分たちで大切にして次の世代につなげていくものなんだなーと気づかされます。田舎暮らしの方が地域を大切にしているとまでは思いませんが、文化を伝えていくだけではなく、草刈りや溝さらい(用水路の掃除)なんかも自分たちで行なうことは地域への愛着にも繋がっているのかもしれません。

 寄り合いやらなんとか会やらたくさんあって、たしかにそれって続けなきゃいけないこと??って思うような慣習もあるけれど、地元の人たちと関わることで田舎暮らしの大切な部分に触れられました。

 

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