広島県江田島で竹を楽しみまっしょい!!
- 執筆者 小林恵子
- 所 属えん(縁)もたけ(竹)なわ
2022/08/01
広島県江田島市からは小林です。
江田島は、広島湾に浮かぶ島です。広島からフェリーで30分。呉市から橋でもつながっている島です。
瀬戸内の島々の景色が美しい、海に山に自然に恵まれた、穏やかな島です。
私は、そんな広島県江田島で、竹細工同好会「竹の会」を昨年末から楽しんでおります。
私事ながら、「竹」のご縁が広がり、春から江田島に引っ越しました。
「竹の会」も、「江田島」もとても魅力あふれています。そんな日々をお伝えさせていただけましたらうれしく思っております。
私事ながら、私の竹への思いです。
岡山市の実家は竹の子農家です。兼業農家として、竹の子や葡萄、桃など祖父母や父は作り出荷していました。
今から15年前、ずっと農業をしていた当時80歳の祖母の認知症が深まりました。
祖母は、認知症が深まってから、何度も
「やぶ(竹藪)を荒らしたらおえん(良くない)」
と言っていました(岡山弁です)。
認知症になって言ったことをすぐに忘れるから何度も何度も言うのだと思い、私は祖母のことを怒ったりしていました。認知症の祖母に、荒れた竹藪に、私はなんて厄介なことばかりなのかと思いました。
今から思うと、祖母はこれまで守ってきた山を守ることの大切さを何度も何度も私に教えてくれていました。
私は管理の行き届かない竹藪のことを調べました。生命力の強い竹藪が増えひろがることで、森の生態系を壊し、全国的な社会問題となっていることを知ります。
認知症になったからこそ、祖母は理性より「本能」、これからの人のために、本当に大切なことをしっかり私に教えてくれたように思えます。
祖母が認知症になったから祖母と関わる機会は増え、先人の自然と共に生きる知恵の奥深さ、すばらしさを学びました。
祖母のその思いを大切に、私は、「~えん(縁)もたけ(竹)なわ~」と称して、祖母と竹製品を「はたき」や「竹ペン」「青竹踏み」など作り販売をしたり、「竹ビーズ」のアクセサリー作りのワークショップを楽しんだりしておりました。
竹を通して、人とひと、人と竹、人と森などのご縁がつながりました。「竹」のおかげで祖母ともお仲間とも楽しい時間を過ごすことができました。
厄介者だと思えていた「竹」は、だんだん私には「お宝」になりました。
祖母は、山のこと、自然のこと、地域のこと、生老病死、たくさんのことを私に教えてくれました。
5年前に祖母は90歳で、穏やかな大往生を遂げました。
その後も、私は祖母の「竹藪を守りたい」強い思いを元に、伝承を受け継ぎ伝えていくこと大切さを思い、引き続き、竹や、竹細工を楽しんでおります。
私は、夫の転勤で、3年前に広島県に引っ越しました。
私の「竹」への思いを汲み取ってくださり、広島県呉市や江田島で竹のイベントをさせていただける機会にめぐまれました。
~えん(縁)もたけ(竹)なわ~なだけあります。
広島は、夫の転勤で慣れない場所ではありましたが、竹が素晴らしいご縁をつないでくれました。
「竹」のおかげで、新しい場所でも楽しく過ごさせていただいております。
そんななか、昨年11月終わりに、大分の竹細工職人・松本裕和(まっぽん)さんが江田島にワークショップにお越しくださいました。
まっぽんさんは、ふんだんにある竹を活用する人がお一人でも増えることを願い、さまざまな場所で竹の魅力、竹の活用について伝えておられる「竹の伝道師」です。
思いが広がりますよう、投稿させていただきますこと、快く承諾くださっています。
●松本さんのホームページ https://plus-chiku.jimdosite.com/
コンセプト 〜プラスチックからプラス竹へ 暮らしに竹をプラス〜
放置竹林による害が問題となり、邪魔者扱いされている竹ですが、プラスチック製品が普及する以前は、暮らしで使う日用品の多くは竹を使って作られていたといいます。
竹製品を再び暮らしの中へ。そんな思いで取り組まれています。
私自身、実家が管理の行き届かない竹藪に困っていましたが、今では竹はさまざまな可能性があり地域の宝だと思っています。認知症になった祖母とのかかわりの中で感じました。
お一人でも多くの方に竹の魅力を知っていただき、活用されることを私自身も願っています。
竹を使うことで人が山に入り、竹藪も守られます。竹は日常の中でさまざまに活用ができます。
松本さんの思いは、私も大いに賛同、共感する思いです。
私が、江田島で、
「竹ひご作りを教えてもらいたい」
と何人かから言われることがあったこともあり、松本さんに江田島にお越しいただき、竹ひご作りを教えていただきました。
その後は、有志が同好会として、竹かごを作ったり、お箸やスプーン、バターナイフなどのカトラリー作りなどに取り組んでおります。
廃校になった中学校の校長室を竹で使わせていただけることになりました。
竹を置く場所ができ、道具も置いたままで使うことができます。場所ができたことは、とてもありがたいことです。
会の年間計画も立てました。作品展などがあると励みになります。
竹林の保護を目指していることもあり、助成金の申請の検討も江田島の方にアドバイスいただきました。今年度中の予定は、講師をおよびすることや必要な道具をそろえることなど、会費などから工面することで、費用もなんとかできそうでありました。
この度、はじめて助成金のことを考える機会をいただきました。
今ある範囲内でやることを考えるばかりではなく、まず夢をえがくことの大切さを学びました。
やりたいこと、夢を大きく描き、それに向かってアイテムを揃えて行けばよいのだと言うことを学びました。
今は、会が立ち上がったばかりであることもあり、基本を大事に取り組んでおります。
竹ひご作りに取り組み、四ツ目編みという籠作りに取り組んでおります。
一回編み方を覚えると、大きいかご、小さい籠、細長いもの、正方形のもの、いろいろアレンジがききます。
それができるようになると、六つ目編みという籠に挑戦をする予定でおります。
話は変わりますが、江田島には、真竹(まだけ)、淡竹(はちく)、黒竹(くろちく)、篠竹(しのだけ)、孟宗竹(もうそうだけ)、暖竹(ダンチク)、雲南省の竹などと、いろいろな竹があります。
使い道が分かることで、より活用しやすくなることと思われます。
以下は、日本三大竹と言われるものです。それぞれに適した使い方があります。
●真竹(まだけ)
竹ひご作りに適しています。竹の子も美味しくいただけます。竹の子の皮も柔らかく、おにぎりを包むときなどに使えます(抗菌作用があります)。
●淡竹(はちく)
こりこり美味しい竹の子がいただけます。竹ひごなどの竹細工にも使えますが、表面が粉をふいたようになります。
●孟宗竹(もうそうだけ)
一般に出回っている竹の子は孟宗竹の竹の子です。食用のために中国から輸入されたものが、日本に増え広がったと言われています。繊維が固く、青竹踏み、お箸、農具などに向いています。祖母は、ブドウ作りの棚に使っていました。
江田島の竹を使って、今後どのようなものが作られていくのかワクワクしております。
思った以上に竹の会にご希望くださる方がおられ、嬉しい悲鳴です。お一人お一人の気持ちを大事に、一歩一歩着実に取り組んでまいります。
竹を通してたくさんのご縁、楽しみ、学びが広がり続けております。改めて竹に感謝の日々です。
これからも、大往生を遂げました祖母の「竹林を守りたい思い」をたいせつにして実践してまいります。
長文お読みくださり、ありがとうございます。今後も、どうぞよろしくお願いいたします。