仕込みの季節が巡ってきました。
- 執筆者 田村佐和子
- 所 属B&B gnamognamo
2023/06/02
イタリアは日本と同じく四季があります。各季節、それぞれ仕込む物の一番良いタイミングを逃すまいと見守っています。
春から初夏は通常気候もよく乾燥した日が続くので、瓶詰めして日光に当てて発酵させたり、乾燥して混ぜたりとせっせと仕込んでいます。
野草も元気よく繁ってきて、庭や家周辺の草刈りが毎週大変です。1週間で1周してまた始めた場所から草刈りを始めます。
花のシロップ
ヨーロッパでは、春に咲く花エルダーフラワー。日本でもエルダーフラワーの人気が上がっていて、育て始めている方も多いようです。
標高の高いこの森では、季節が少し遅れてやってくるので開花時期が遅く、まだまだ五分咲き。
それでも雨に降られる前に収穫しなければ花粉が落ちてしまい、黄金色で香り高いシロップが仕込めなくなって花の時期が過ぎてしまいますから、お天道様と花の様子を見ながら過ごす日々です。
同じ木でも陽の当たる枝では満開、陰は蕾と咲き具合が違うので、満開の花房を探して籠に必要な分だけ収穫します。
小さな花が集まった満開のエルダーフラワーの花房
ゆっくりと時間を楽しみながら仕込む
収穫した花房は花粉が落ちないように少し花を揺らし、小さな虫がついていないか確認しながら収穫を勧めていきます。
収穫したてのエルダーフラワーは爽やかですっきりとした香りがします
新鮮なエルダーフラワーの香りを閉じ込めるように、レモンのスライスと交互に瓶詰めして水を加え混ぜて、香りが移った水を漉して、砂糖と合わせてシロップにします。
これをドルチェにしたり、これから実りゆく果物を漬けたり、炭酸水で割ったりして楽しみます。
見た目美しいこの瓶の中を、残念ながら木棒でわしわしとかき混ぜます
黄金のシロップ
白い花の花粉とレモンで黄金色のシロップが完成! 煮沸消毒した瓶に入れて冷蔵保存です。
塩をひとつまみ混ぜると 畑仕事や草刈り時にピッタリの経口保水ドリンクにも良さそうです
バーベキューにとっておきのハーブソルト
数十種類とあちこちに生えるハ−ブも新芽がたくさん出て、整えなければジャングルと化して大変なことになってしまいます。
柔らかい新芽がたくさんのローズマリー
その時切り落としたハ−ブを使った便利なハーブソルトの仕込みもこの時期に行います。
ローズマリーとセージ、そしてにんにくをたっぷりと刻みます。それを海塩と合わせて日光に当てて乾燥させます。
バーベキューのお肉にまぶして焼くと、とても美味しいですよ。
花びらのチンキ
私の定番のチンキは、薔薇・カレンデュラ・西洋オトギリソウで作ります。
花のチンキを使って、化粧水・保湿クリーム・薬用クリームなどを作っています。
庭には薔薇がたくさん植えてあり、この時期は満開
作り方は簡単。虫などがいないか確認して、花びらを煮沸消毒した瓶に入れてアルコールに沈めます。
毎日1回1ヶ月程混ぜます。それを濾して出来上がり。冷蔵保存です。
化粧水は、米麹を使った麹水も加えます。しっとりします。男性にもおすすめ。
米麹を醸す
麹を自宅で醸すようになって5年。味噌や醤油、味醂、麹調味料も仕込んでいます。
初春に殆どの仕込みを終えてしまいますが、常備している塩麹各種や手作り化粧水に使ったり、甘酒を犬組、猫組にも与えて家族みんなで腸活!しています。
イタリア産のお米を醸しています。麹蓋は夫がイタリア産糸杉で作ってくれました。糸杉は、トスカーナの景色の中に必ずある細くとんがった杉です。
どこへ行っても日本人ですね。疲れたら味噌汁、海鮮バーベキューの魚には醤油をかけたくなります。
九州の田舎で暮らしていた祖母は、なんでも自分で仕込んでいました。そうして昔のお母さんたちは、家族の健康や家計を守っていたんですよね。
「そんな風に歳を重ねたい」
イタリアの田舎で暮らして10年以上、色んなものを作るようになりそういう気持ちが益々強く湧いています。
イタリアへ行こうと思ったのも、祖母の影響です。
毎年、九州麦味噌、大豆の米味噌、ひよこ豆の米味噌など約5種類の味噌を仕込んでいます。
毎年この季節が来るとこれ!という自家製のものを作る習慣が出来てから、金銭面ではなく、生活がとても豊かになったと感じています。
花の都と言われるフィレンツェは現在観光客で溢れていて、日本人観光客も段々と増えてきました。
期間限定ではありますが、gnamognamoでは今回紹介したエルダーフラワーシロップもハーブソルトも味わって頂けます。
また、花の開花や野草、ハーブ、果物とタイミングが合う滞在では一緒に仕込むWS、そしてお持ち帰りも可能です!
イタリアまでは遠いので、まずは是非気軽にHPに遊びに来てください。
暮らすように滞在する宿gnamognamo