人との縁は何がきっかけになるかわからない
2014/08/15
- 執筆者 松岡人代
- 所 属四万十農業協同組合
こんにちは。ちょっとさかのぼって、6月のことをお話します。
主に建物内部でめまいや立ちくらみが起こったり。早起きは得意で、目は覚めているのに身体が動かなかったり。ざっくり言ってしまえば「自律神経のバランスが崩れている」というだけなのですが。自分の身体が自分でコントロールできないことが。あまりにしんどくて。何が「大丈夫」で、何が「大丈夫じゃない」かも、はっきりわからない状態で過ごしていました。そんないっぱいいっぱいの時期に出会った素敵な女性について、書かせていただきます。
今は当時に比べたら、随分よくなりました。早起きは出来るし、身体も動きます。建物内部は、場所や体調によってすごく差があるけれど。それでも以前に比べたら、ずっと。
6月14日。「外」なら、息苦しくならない。と。目指したのは、高知市の池公園で毎週土曜日開催されている「オーガニックマーケット」。うろうろしていると見覚えのあるジャムを発見。
黒潮町で開催されている「海辺の日曜市」で、委託販売中に何回か買ったことがあったものの。デザインの可愛さに、ついお土産としてプレゼントしていたので。まだ一度も自分で食べたことがなかったこともあり。偶然の出会いに、感動。
嬉しさのあまり。他のお客さんたちに便乗して。生姜とか。にんじんとか。さつまいもとか。その他いろいろジャムの試食をさせて貰いました。野菜や果物、素材そのものの味から私が単純に想像していたより。ずっと、深く、面白く、楽しい味。(褒め言葉です!) 複雑だけど、基礎にあるのは、ちゃんと素材の味。だからこそ食べて安心できるのかも。
元々、お買い物。迷いだしたら時間がかかるタイプ。美味しいものばかりなら尚更。長居している間に、こうして出店するようになったきっかけを話してくれました。
「家では食べきれない量の野菜とか作って、結果捨てて。アホちゃうん、って思ってたんですよ。笑」
「でも。畑は、何かを植えないとだめになっていくって気付いて。でもやっぱり、捨てるのはもったいない。それなら、つくったものを活かしたいなーって」
特別なことはしていない。と。まるでふつうのことのように、語ってくれた今までの流れ。
お茶農家だからお茶を売りたいと思った。
家でとれる野菜たちを捨てたくないと思ったから、ジャムをつくった。
自分が納得いかない味になったジャムは売りたくない。だから、ジャムを練りこんだお菓子をつくった。
いちいち表記を見なくても、賞味期限がわかるように。種類がわかるように、の工夫。デザインを統一することで、「ギフト」として成立させた。ジャムの蓋を包む紙部分に、好きな文字を印字するサービスをはじめた。など。(後に、滋賀へのお土産に。私もこんなお願いをしました)
それから。彼女自身が発症した「化学物質過敏症」についても少し話を。
以前、娘さんがこの病気を発症したから、家族で高知県に移住してきた、という方と少し話したことがある程度の私。この病気についてしっかり聞くのは、初めて。人によって程度の差はあるものの、農薬、香料、保存料…様々な化学物質に身体が反応し、様々な症状が出る。とのこと。
「だから、自分が大丈夫なものしか使わない」
きっぱり言い切られた言葉に感じた、ジャムの美味しさの原点。安心・安全は、当たり前であって欲しい。と。販売するには「ストーリー」が必要。とか。デザインには統一感が必要。とか。ぶれない芯が必要。とか。研修や仕事で聞いたこと、実感したことのお手本みたいな世界がここにある!と。驚いたのも、事実。
でも。他のひと、が、大丈夫なものが。彼女にとっては、異物。だけどそれをひっくるめた上で、方法を模索している。そんな話を聞いたから、私も今の体調を話すことができたのだと思います。
「しんどかったでしょう。後ろの椅子座っていいよー」
という言葉に甘えて。休憩しつつ。彼女とお客さんのやりとりを眺めたり、遊びに来たという友達と話したり。マーケット終了後に再度合流して、お茶しに連れて行ってもらったり。帰りの車の中で。なんで連れてきてくれたんですか?と。きいたときの返事。
「しんどそうだったから。…でも、私がこの店行きたかったっていうのもある。笑。あと、自分が県外にいて、しんどかったとき。話せるひとが欲しかったから」
その言葉を聞いて。体調ひっくるめて今の私の思うこと、考えることは。県外の友達に話したり、手紙を書いたりしても。まるっと伝わることではない。それは、地域性とか、今までの経過とか、所属している場所とか。いろいろひっくるめてのことだから。そして。職場の友達が聞いてくれない、とか、だめとか。そういうことでもない。でも、いろんなこと、今いちばんわかってくれるひとがいたらほっとすること。が。伝わった。という感覚に包まれたのでした。
「他のみんなが適応できるからって、自分もできると思うな!笑」は。名言。思わず笑ってしまったし。そらそうや、と。すとんと腑に落ちて。それは、何でもチャレンジ。新しいことに挑戦。を否定するものではないし。制限とか。限界とか。自分に駄目出し、ということでもない。「他のひとはできるのに、なんで自分はできないのか」を悩む暇があったら。できることを探すほうがずっといい。
ひととの縁や出会いは、本当にどこにあるか、わからないものです。それは「とかい」も「いなか」も関係ないと思います。みなさんも、自分の直感。大事にして。今!とか。これ!と、思ったら。飛び乗ってみてください。
旬にあわせて変わるジャムの種類や、色の美しさ。種類豊富なお茶やお菓子。味だけでなく、目でも楽しめます。茶々香さんのHPはこちら。 オーガニックマーケットは、毎月第2・第4土曜日出店です。(8月は第3土曜日も出店) 詳しいスケジュールは、HPのブログからどうぞ。
最後になりましたが、今回、高知県西部に大雨をもたらした台風。私は、台風前に帰省していますがJA職員さんも、浸水等で被害を受けた町の後片付けに駆け回っていると聞きました。この記事を読んでくださった方が、行くこと、ものを買うこと、知ること、話すこと…など、何かできる範囲で、支援してくだされば幸いです。