秋葉の湧水で、流しそうめん!
2015/08/05
滋賀県高島市、NPO法人「結びめ」から、夏の楽しみ「流しそうめん」をご案内します。数年前から、山里の小さな集落「中野」(高島市安曇川町中野)のみなさんと、集落に湧き出るの「秋葉の水」を利用した、「秋葉の湧水で、流しそうめん!」というイベントを開催しています。今年2015年は8月23日(土)に開催予定。誰でも当日参加OKのイベントですので、お近くの方はぜひお越しください!(この記事の最後にチラシがあります)
「中野」は、琵琶湖の西岸にある高島市の中でも、市街地と山村の中ほどにある、安曇川沿いの小さな集落です。背後には比良山系からつらなる山々があり、その麓を水源とする清らかな湧水に恵まれています。
「流しそうめん」イベントを始めるきっかけは、昔から集落の人々に親しまれてきた、冷たくておいしい「秋葉の水」や、美しい水で作られた新鮮なお野菜、おいしいお米を、地域外の人にも知ってもらいたいという、みなさんの想いからでした。
また、過疎化する中で夏の行事(夏祭りや地蔵盆など)が失われていたことから、集落の子どもたちの夏の楽しみにもなればと、子どもたちにもスタッフになってもらい、一緒に楽しんでいます。現在は集落のみなさんと「おいしい水と食のむら※中野推進協議会」を立ち上げ、「流しそうめん」の他にも様々な集落の魅力を発信しています。 「秋葉の湧水で、流しそうめん!」は、できる限り「中野で採れたもの」や「中野の人の手作り」にこだわっています。
まず、流しそうめんを流す“スライダー”は、集落内の竹を伐って、毎年手作りしています。生きた竹は長く放置しておくとカビが生えるため、直前に作ることが必要です。いつもイベントの1週間前の暑い時期に、子どもたちと男性のみなさんが、汗をかきながらがんばっています。
メニューはできる限り、中野で採れたものを使って手作りします。(“そうめん”はお寺や各家庭で、なかなか食卓に上らない贈答品を提供いただくのですが…)“そうめんつゆ”は「秋葉の水」を使ってベテランのお母さんたちが作っています。“薬味”には、中野で採れた茗荷と青ジソとネギを準備します。
サイドメニューとして毎年準備するのは、“夏野菜のてんぷら” “フライドポテト” “かき氷” “ジュース”など。“てんぷら”の野菜や、“フライドポテト”のジャガイモはもちろん中野産。てんぷらの衣は、中野のお米の米粉とお隣の集落で作られている卵で作ります。米粉の衣はサクサクで好評です。
“かき氷”の氷は、「秋葉の水」の氷をたくさん準備します。大きな冷凍庫をお持ちの方にお借りして作らせていただいています。“かき氷”のシロップも、できるだけ地域産の果物などを利用して、若い主婦のみなさんが手作りします。手作りのシロップは果実もたっぷりでとても豪華。毎年、大人気です。“ジュース”は昨年まで市販品を購入していたのですが、今年から手作りに挑戦します。“赤しそジュース”を手作りするために、2~3軒で赤しそを育てることを始めました。
準備から運営まで集落のみなさんと協力して行うイベントは、苦労もあるけど、すごく楽しいです。前向きに実践する人々こそが、何よりも「中野」の資源であり、魅力だと思っています。おいしい水とこだわりのメニュー、魅力的な人々に会いに来てみませんか?
ここからは少し、「秋葉の水」の歴史について記します。現在、「秋葉の水」は、誰もが自由に利用できるように、水汲み場が整備されています(上写真)。しかし、このように整備されたのは11年前の2004年で、それまでは水源地にコンクリートのフタがかけられ、誰も利用することができませんでした。
「秋葉の水」の歴史を遡ると、集落に水道が整備されていなかった昭和30年代前半までは、住民の生活を支える、なくてはならない水でした。その後も40年足らずの期間、集落の水道水の水源として、ここから各戸へ水道が引かれていました。平成の時代を迎え、使用水量が増え、新たな水道の水源地が求められるまでは、住民の生活に不可欠な水として利用されていました。
1998年に水道の水源地としての役目を終えますが、その後、水源地にはコンクリートのフタがかけられ、湧き出る水は側溝へと流れ出るだけとなっていたそうです。このような状態で数年の月日が流れました。
しかし集落の人々には、依然として、この貴重な湧き水をかつてのように汲み取りたいという願いがあったのです。この願いを受けて2004年8月、塞がれた水源を復元し、現在のような「秋葉の水」が整備されました。1960年の上水道整備により、目にする機会が無くなってから、実に44年ぶりに、住民が湧水に親しむことができるようになったのです。
「秋葉の水」の整備には、かつて水を汲んでいた高齢者から、今を生きる子どもたちまで、世代を超えて、集落の人々の絆を深めたいという願いが込められています。そして、この永遠の湧水を子孫に受け継いでいくことは、「中野」というコミュニティを受け継いでいくことでもあります。
現在「秋葉の水」は、大きく発信されているわけではありませんが、そのおいしさに、都市部から水を汲みに訪れる人が絶えません。また、「おいしい水」のある所で暮らしたいと、自然と寄り添った暮らしを求める若者が、移住するきっかけにもなっています。
「中野」には数組の若い家族が移住しており、「流しそうめん」や地域の発信は、彼らが中心になって行っています。「秋葉の水」の整備は、「中野」を未来につなぐきっかけであり、私達はその土壌の上で、活動しています。集落の人々の想いと実行が、そこに人を呼び寄せ、未来をつくっていきます。
2015年8月23日(土)「秋葉の湧水で、流しそうめん!」の詳細については、下記ページをご覧ください!
https://www.facebook.com/events/511371759016500/