実りの秋 文化の秋
- 執筆者 小林恵子
- 所 属おばあちゃん文庫
2015/11/24
秋となり、竹藪の整備の時期がやってきました!この時期に、竹やぶの整備をしっかりすると、来春のタケノコがとれます。こうもり傘が広げられるくらいの間隔で、竹を伐っていくと、タケノコの生えやすい環境になります。力仕事でもあり、なかなかたいへんな作業ではあります。
私事ではありますが、11月8日に、第1回おかやまマラソンに参加をさせていただきました。岡山市初のシティマラソン。14000人のランナーが走りました。私はフルマラソンに参加をし、なんとか無事に完走することができました。
というのも、42.195キロ、切れ目なく沿道に応援がおられ、力強い声援をいただき続けました。30キロ地点の最大の難所と言われていた「岡南(こうなん)大橋」(アップダウンが大きい)では、特に応援が多く、「がんばれ~!!」「あと少しじゃ~」に何とか乗り切ることができました。たくさんのボランティアさんたちの、疲れをみせないさわやかな笑顔にも感動しました。沿道では岡山を代表する、吉備団子、大手饅頭、キムラヤの焼き菓子、カバヤの飴、小豆島ラーメンなどが用意されていて、さまざまな岡山を代表する企業のおもてなしもありました。
岡山を盛り上げていこうと考えている方がこれだけたくさんいらっしゃることに胸を熱くしました。私も、微力ながらも、竹藪を活用しながらも、岡山を盛り上げていこうと、決意も新たになりました。
フルマラソンを制限時間の6時間以内での完走者が8割以上という好成績!!(途切れのない応援のためかと思われます)。完走者には、岡山を代表する「備前焼」と、「倉敷組紐(真田紐)」でできたメダルを頂け、メダルのことも、地元の話題となりました。多くの力で盛り上げたマラソン自体の評価も高かったそうです。各地からも多くおいでになっていました。ぜひとも来年お待ちしております。
私のいなかでの取組は、岡山市で、竹藪を活かして認知症の人の『居場所』と『出番』と『役割』づくりに取り組んでいます。11月は、竹ビーズのアクセサリー作りのワークショップをさせていただける機会に恵まれました。
喜んでもらえることがうれしい祖母、竹ビーズ磨きに何か月も精を出しておりました。89歳。1分以内に同じことを言う祖母ですが、竹製品を作っているときには、いきいきとしております。
お元気で、笑顔が素敵なおばあちゃん達の町。料亭などの料理に添えてある「つまもの」の葉っぱを出荷している「葉っぱビジネス」の町。徳島県上勝町に4年前にインターンシップに行かせていただける機会に恵まれました。当時の祖母たちは、認知症の症状もあり、できないことが増え、分からなくなることからの不安も強く、「生きとっても仕方がねえ」「年をとったらええことはねえ」が口癖の毎日でした。鬱鬱としており、一緒にいるだけで気がめいるような日々でした。そんななか、私は、『そうだ葉っぱを売ろう』の本に出会いました。葉っぱの仕事を通して、今が幸せ、毎日楽しい、とおばあちゃんたちが言っていることに目からうろこでした。
研修を通して、お元気の秘訣は、それぞれに「居場所」と「出番」と「役割」があることだと学びました。その中で、人と人、人と自然、人と社会、人とお金などのさまざまのつながりがありました。
「そうだ竹藪がある!!!」
うちには祖母たちの憂慮する竹藪が山もりあります。活用することで、祖母たちが元気にならないか、自然も守られないかと、~えん(縁)もたけ(竹)なわ~竹藪を活かして、認知症の人の「居場所」と「出番」と「役割」づくりに取り組んでいます。
88歳。なかなかできる作業に限りがありますので、はたきを作ったり、竹ビーズ、竹ペン、竹炭、青竹踏みなどを作ったりしております。コツコツと販売をしたり、ワークショップをさせていただき続け、ついに売上1万円以上になりました!!
たった??と思われるかと思いますが、年金生活で、お金は出ていくばかり。89歳の認知症の祖母には、本当に大きな喜びとなっております。何より、人様に喜んでいただけ、人様のお役に立てているということがうれしいのだと思います。もう、「歳をとったら、ええことはねえ」は聞かれなくなりました。地元にふんだんにある、「竹」に感謝の日々です。
ワークショップでは、森と人とがつながり、放置竹林のことを知っていただく機会と考え、興味を持っていただけるよう、お話をさせていただいています。
まず、竹に親しんでいただけることが、竹の活用につながっていくと考えています。できれば、子どものうちから、竹に親しんでもらえる機会を作ってもらいたく、ワークショップにも取り組んでいます(もちろん、大人もです)
今後は、
☆年末の大掃除に向けて、はたき作りのワークショップ
☆来年の干支の「さる」の竹の置物(おもちゃ)作り
☆竹返し(たけがえし)選手権を企画しております
竹返しは、竹の棒で遊ぶ、昔遊びです
また、私事ながら、父が岡山市でブドウを40年間作り続けています。定年までは兼業農家、定年後は、専業でブドウや野菜を作っています。今は「翠峰」というブドウを作っております。
ここ数年、十分食べられるブドウも捨てておりました。販路がないからです。これまでは市場に出荷していました。市場は、規格にあったものを出荷するとすべて買い取ってもらえるシテムですが、規格から外れた、形のよくないものなどは出荷できないです。高度経済成長のころは、嗜好品を買う余裕がでてきて、市場でもブドウは高値で売れたと聞いています。今では海外の安い製品におされ、おどろくような安価な価格で売買をされています。
ここ数年は、父は作ったブドウを、配り歩いたり、大量に捨てたりしていました。販路が限られているのが現状です。若手の方は、ネットを駆使して販売しておられる方も多くおられますが、父を含む高齢農家さんは、パソコンが苦手、ネットができない、農繁期に、ネットを学ぶ余裕がないなどで、なかなかネット販売に結びついておられない方もおられます。
昨年 フェイスブックで、父の作るブドウの声をかけさせていただいたところ、お友達が父の作るブドウを買ってくださいました。そのつながりで、「来年もよろしくね」と言ってくれる友人がおりました。お友達がお友達に声かけてくださったりもしました。今年は、リピーターの方々、リピーターの方々が声をかけてくださった方々が、お買い上げくださり、ほぼ完売できました。父がこだわりを持って作ってきたブドウを捨てることなく人様の元へお届けすることができました!!
直接、お届けする方とのやりとりとりは、顔の見える関係でした。ダイレクトに感謝が父に伝わることは、大きな励みとなっていました。しんどいから、来年はやめる。とのことでしたが、「来年もよろしく!!」の声に、来年もがんばるそうです。お互いが喜べる、人とのご縁のありがたさを痛感した秋でした。
父のブドウの販売を少し手伝うようになり、農家さんのご苦労が身に染みました。シーズンは特に、休みなしの作業。多大な時間や労力にみあう価格なのかどうなのか。お店にならんでいるものは、あまりにも安すぎないか。安いものばかりに目がいっていた日々でしたが、農家さんのご苦労を思うと、これまで、正当な価格で買わせていただくべきではなかったのではないのか。農家さんを応援できるようなことはできないか。などなど、いろいろなことを考えました
どんどん農業をやめる御高齢の農家さんが、地元でも増えております。山は荒れ、竹藪が広がり続けています。竹の生命力は強く、いわゆる放置竹林となり、山や森の生態系を壊します。農業は山を守ることにもつながります。父を含む、高齢農家の生きがいにつながればと感じています。
話がそれてしまいましたが、岡山は、マラソンもあり、ブドウや桃の果樹もあり、その他おいしいものもあり、竹藪もあります。ますます自然も人の生活も活き活きとなりますよう、
~えん(縁)もたけ(竹)なわ~
な日々を目指してまいります!!長文をお読みいただきまして、ありがとうございます。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。