終わったぞ、確定申告。地方暮らしの懐事情(独身版)
2016/04/15
全国の個人事業主のみなさん! 年度末の修羅場「確定申告」が終わりましたね!
これまでの「いなかマガジン」は、自分や友人たちのかかわっている岩手での活動や岩手の魅力を中心に書いてきましたが、「今年こそ移住に踏み切りたい!」というみなさんに有意義な情報を、と考えた時に、それはやはりおカネにまつわることでは……、と思うに至り、今回は、釜石に移り住んで1年ちょっとのわたしの生活の懐事情を、おもに支出を中心にお伝えしたいとおもいます。なんのことはない、確定申告のために、自分自身の収入と支出の整理を迫られたので、そのついでの執筆ですが、地方移住を検討している方のお役に立てばうれしいです。
わたしの収入
まず、わたしの現在の働き方の形態を説明しておくと、現在の身分は釜石市の復興支援員組織である「釜石リージョナルコーディネーター協議会」(釜援隊)のメンバーです。地元でも、市の臨時職員と勘違いされることも少なくないのですが、わたしたちは全員、個人事業主で、釜石市と契約を結んで仕事をしているという形です。月に21日以上働けば、固定額の報酬がもらえるという契約なので、社会経験が長いベテランも20代も、同じ報酬で働いている、というわけです。
個人事業主であることのメリットとしては、本来の釜援隊としての業務に支障のない範囲で、べつの仕事を受けることができるという点です。わたしの場合は、前職が新聞記者ということで、原稿執筆のお仕事を頂いたり、あとは自治体などに声をかけてもらい講演やパネルディスカッションに出させてもらうことがあるので、その際に謝礼をいただきます。つまり収入源は月によって異なりますが、おおまかには
・釜援隊の報酬 = 70%
・執筆や講演の謝礼 = 25%
・その他 = 5%
――といったところです。
付け加えると、釜援隊であることの経済的なメリットとしては
・自動車の貸与 =税金や自賠責などの自己負担がない
・仮設住宅に無償で住める
――という2つがあります。
被災地である釜石市は物件不足でアパートの賃料も上がっているので、車と住宅だけで、月7~8万円程度のサポートをしてもらっていることになります。ありがたい話です。一方で、5年間という任期が終わり、こういったサポートがなくなったら、この地域で生計を立てていくのはなかなか厳しい、という現実の裏返しでもありますが……。
わたしの生活
いよいよ本題の支出についてですが、前提として、私の現在の生活は、
・仮設住宅(2K)暮らし
・単身(というか独身)、ペットなし
・自炊が基本
・飲み会は月に3~5回
・喫煙、ギャンブルはしない
・無趣味
――といったところです。
<税金・年金等>会社を辞めた。のしかかる税金、年金……(汗)
赤線を引いていない「通信費」の7~9月が安いのは、入力漏れです。赤線は本当の支出です
2014年8月末で前職を辞めた、つまり、2015年は前職メインの収入で課税されているので、税金などの負担はかなり大きくなっています。明細等で確認したところ
国民年金 15590 × 12 =187080
国民健康保険 41900 × 1 = 41900
36000 × 8 =288000
市県民税 52000 × 4 =208000
724980 円
を収めている計算になります。
会社員をしていると、厚生年金等々は天引きなので、明細はもらっているとはいえ、月々の金額をあまり意識せずに生きていられましたが、転職直後に、市や国からそれぞれ税金や年金の金額を伝える郵便物が届き、血の気が引いたことを思い出します。税金などは毎月の徴収ではなく1年を数期にわけて徴収されるので、単純に月々の金額は出せませんが、年間納めている額を12で割ると、約6万円。いまの生活で圧倒的に大きなウエイトを占めるのはやはり、税金や社会保障のたぐいです。確定申告をしたところ、経費をさっぴいたわたしの所得(会社員で言うところの「手取り」にあたるものですかね)は300万円に届かないのに、税金や社会保障関係で72万円余りも納めているというこの驚愕の事実。ある程度の収入のある会社員から個人事業主になる方は覚悟しておいてください。
<食費・交際費>どこまで抑えられるかはあなた次第
釜石市はまちなかに飲み屋街がいくつか(2つ)あり、さらにお店が点在しています。有名なところでは、被災して現在は仮設のプレハブ2階建てに店が軒を連ねる「飲ん兵衛横丁」です。自治体に飲み屋が1軒2軒といった、まごうことなき「田舎町」ではありません。なので家飲みや職場で調理しての飲み会もたまにありますが、飲食店で飲むことのほうが一般的です。必然的に1回の飲み会で、東京基準金額 -(マイナス)1割 程度のお金はかかります。さらに、まちなかから自車で20分程度のところに住んでいるわたしにとってなによりの痛手は、1回4000円ほどの運転代行代です。お酒を飲まない人やまちなかで住宅を確保しようという人にはあまり関係ないかもしれませんが、お酒好きな人には頭の片隅に置いてほしい情報です。
ふだんの食事は、基本は3食自炊です。「食費」という分類の中でも「食材費」という部分がこれに当たりますが、月々8000円~18000円ほど。「田舎暮らし」というと、「たくさん野菜がもらえて野菜を買う必要がない」とか「魚は買ったことがない」というような話を、地域おこし協力隊の方などから聞くことがありますが、これは住む場所や就く仕事、地域とのかかわり具合によってまったく違ってくるので要注意。
わたしの場合は、森林組合の組合員さんなどから、わかめやめかぶをシーズンに2,3回(量は大量)、山菜も2,3回、お米を2キロくらい、頂くことがありますが、海藻だけでは残念ながら生きていけないので、なかなか5000円以内に抑えることは難しいのではないかと思います。
<衣類>
一方で、地方に暮らすとおのずと抑えられるのが、衣類や化粧品などにかかるお金。ぶっちゃけ、おしゃれをしていく場所がない、そして高い洋服を買う場所もない。上の表でも数千円の月もあれば3万円近い月もあります。東京出張があると、ついつい出張先で財布のひもがゆるんでしまうので要注意です(笑) 私自身が支出をおさえられているは、衣類のほか、都会に住んでいた時は週1程度通っていたマッサージ、あとは1人飲みの飲み代でしょうか。
とはいえ、支出をおさえようとするあまり、過度に禁欲的になってしまうと、田舎暮らしがたのしめなくなってしまいますので、毎月の支出を把握しながら、使うところは使う、抑えるところは抑える、というメリハリが必要ですね。