地域の資源を活用した染物と、岩泉ヨーグルト工場まつりと。
2016/07/15
- 執筆者 逢見祥平
- 所 属岩泉の明日の林業をつくる会
木の色を使って服を染める
前回は森林コンダクターの仕事ということで、様々な形で森林活用を進めていることをお伝えしました。建材、畑わさび、樹液・・・ 今回はそこに新たに染色事業が加わりましたのでご紹介したいと思います。
みなさんは、木の色を思い浮かべてくださいと言われたら、どんな色を思い浮かべますか?茶色?葉っぱの緑色?いえいえ、木ってもっとカラフルなのです。赤やピンクや黄色・・・鮮やかな色を持っていたりします。
サクラの木であれば、赤やピンクの色を持っていますし、キハダという木はその名のとおり黄色い樹皮で、古来より染物に利用されてきました。
このように木は色を持っているので、昔はとても多くの人が木を染料として使っていました。もちろん、昔は人工染料はありませんので、服を染めるには草や木を使って染めるしかなかったわけです。
この木のような天然の染料で染めたものは、人工染料と比べてすごく自然な風合いで、根強い人気のナチュラル系ファッションとの相性も抜群です。
このように今も根強い人気のある草木染めですが、すごく難しいです。同じサクラで染めても、うすい茶色、濃い茶色、赤ワイン色、薄いピンク色など色が一定しません。煮出したときの温度・時間・部位・媒染液の種類によっても出来上がりの色が全然違ってくるのです。染物はとても奥が深いのです。
キハダで麻のシャツを染めてみた
岩泉町には木材関連の企業がたくさんあります。そのなかでも岩泉中の木材が集まるチップ工場は圧巻です。
年間で5万立米ほどの木材が集まり、トイレットペーパーやティッシュなどの紙用のチップに加工されています。
ナラ・クリ・サクラ・クルミ・ホウノキ・ハンノキ・エンジュ・トチノキ・オノオレカンバなど樹種に関係なく集まってくるので、この木が欲しいという依頼があれば、個別に販売してくれるようです。
そんな大量の木材が集まるチップ工場でキハダの木を発見したので、許可をもらい、樹皮をはがしてみました。
まだ乾燥して樹皮が硬くなっていないので、手でも簡単にはがすことができました。樹皮の外側は普通の木に見えるのですが、内側はすごい黄色!!これはいい色ができそうです。
このキハダの樹皮を使ってシャツを染めてみます。使うシャツは麻100%のシャツです。人口繊維が入っていると染まりにくいので、100%天然繊維のものを選ぶのがコツです。まずは、キハダの樹皮を細かくしたものを、鍋で40分ほど煮ます。
その後、あらかじめ中性洗剤で洗ったシャツを鍋の中に入れ、再び40分ほど煮ます。あまり強火で煮ると繊維が傷みますので、弱火で行うのがおススメです。このような感じでだんだんと黄色く染まってきます。
次に、バケツなどを用意し、お湯を入れ、焼きミョウバンを5グラム程度入れよくかき混ぜます。(媒染液)
媒染液の中に、煮出したシャツを入れ、20分ほど媒染させます。この媒染を行うことにより、繊維に色を定着させることができます。(他にバケツを用意するのが面倒であれば、煮出し鍋にそのまま焼きミョウバンを入れることもできます。)
20分したら取り出し、水洗いします。しっかりと媒染すれば、洗っても色が落ちずに綺麗に染まっているはずです。
洗ったばっかりなのでしわくちゃですが、綺麗に黄色い色が出ました。今回は麻でしたが、次回は綿とか絹でやってみたいと思います。あとウールもいいですね。動物性たんぱく質の方が染まりやすいので、おそらくもっと濃い黄色が出ると思います。
岩泉ヨーグルト工場まつりで岩泉を食べ尽くす。
岩泉の木を使った染物のお話をしましたが、話は変わって、6月に行われた、第二回岩泉ヨーグルト工場まつりに参加してきたので、ご紹介したいと思います。
今日6月25日、岩泉では第二回岩泉ヨーグルト工場まつり」が開催されました。
以前は、岩泉と言えば、龍泉洞!!でしたが、近年は、岩泉と言えばヨーグルト!!というほどヨーグルトが有名になっています。岩泉ホールディングス株式会社という第三セクターが製造しているヨーグルトのもちもちの触感が人気で、今では首都圏のスーパー銭湯などでも販売されています。
今回の岩泉ヨーグルト工場まつりは、そんな岩泉ヨーグルトだけではなく、岩泉を代表する食べ物が勢ぞろいするお祭りということもあり、あいにくの天気でしたが、大勢の人が来ていました。
会場に到着すると、すぐに飲むヨーグルトの配布がアナウンスされました。
何!?先着300名様だと?急げ!!ということで早速列に並びます。回転が早いので2分くらいで、飲むヨーグルトゲット!!
岩泉に来てから大好きなのでしょっちゅう飲んでいますが、何回飲んでもおいしい。首都圏で販売されているのは、龍のマークではなく、牛のマークになっていますが、中身は一緒です。見かけたら飲んでみてください。
次は、龍泉洞黒豚ファームのブースに行ってみます。岩泉は短角「牛」が有名ですが、黒豚もブランドになっているようで気になっていました。
さっそく黒豚のフランクフルトを注文します。香ばしくておいしいですね。
次に、最近注目を集めている、小本浜の「鮭ん坊」をいただきます。去年イベントで、優勝し、岩手県知事賞に輝いたということで、注目していたのですが、ついに食べられる日がやってきました。
「鮭ん坊」は昨年開催された「いわての浜料理選手権」で、優勝した創作料理で、岩泉の小本浜チームが、復興の後押しをするため試行錯誤を繰り返して作りだしたものです。
揚げ上がりました。いただきます!!お好みでわさび醤油をつけることができます。もちろんわさび好きなので、つけてもらいました。
食感がいいです。そして特製のわさび醤油の味が鮭にあいますね。晩御飯のおかずに欲しいです。結構しっかり身があって食べ応えがあります。
岩泉の小本浜でとれる鮭と依然ご紹介した森林の中で育てる畑わさびのコラボレーション。岩泉の資源がうまく融合されていて、これから岩泉を代表するグルメになりそうです。
次は短角牛の串焼きをいただきます。岩泉町は、短角牛で有名なのですが、なかなか地元でも食べることができなかったので、ずっと楽しみにしていました。
ちなみに、岩泉の山の上に行くと山が開拓されていて、ゴールデンウィークを過ぎたころに短角牛の放牧がはじまるので、山道を走ると短角牛に会えたりします。
いつもこの赤い車が道の駅の傍に止まっていて、なんだろうと思っていたのですが、やっと活躍しているところを見ることができました。
焼きたてアツアツの串焼き。
あまり加工せずガッツリ肉だけというのが潔いですね。こういうシンプルなのがあると嬉しいですね。おいしくて楽しいだけではなく、地域の資源を見つめなおすよい機会になりました。