種子島は移住者がたくさん!?御牧の甑島移住記念の日
2016/07/29
- 執筆者 小原宙子
- 所 属鹿児島県西之表市地域おこし協力隊
御牧地域の甑島移住130周年記念におじゃましてきました。
私のいる立山校区(小学校区)は、立山・御牧・芦野・植松・野木・高山と6つの地域が集まってできています。
縄文時代の遺跡があり、ずーっと昔から人が住んでいた一方で、源氏と平氏といった武士の歴史や、開拓団など他の島からの移住者を受け入れてきた、種子島は移住者の島でもあります。現在は、ロケットなどお仕事関係のほか、サーフィン移住の方も。
わたしもこちらに来る前、東京で開かれていたアイランダーなどに参加していたのですが、移住者ベースなところのある種子島は他の離島より、移住者にオープンという話をきいていました。西之表市はたしかに、今回の甑島や与論島、徳之島、桜島などなど移住者の方の地域というのが多くあります。
御牧地域は、甑島から来た方たちが開かれた場所。お殿様の牧だったことから「おまき」と名がついたとか。それだけ気候など生育条件が良い地域だったことがうかがえます。
種子島もちろん海にも近いですよー(ここから行くと絶壁ですが!)。今は馬や牛ではなく、美味しい安納芋やオウギ(サトウキビ)が育てられていますよ。
そんな御牧での甑島移住130周年記念は和やかに行われました。
雨のお天気の中でも、地域のみなさんや出身者の方が顔を合わせ、笑顔で声をかけあっていました。会場になった御牧公民館の壇上には「甑島移住130周年記念」の文字がかけられ、甑島ゆかりのカノコユリもきれいに活けられていました。
このカノコユリ、御牧をはじめ、種子島のいろいろな場所で咲いている様子を見ることができます。
ピンクに点のついたかわいらしい百合が、真っ白な鉄砲百合などと並んで梅雨の中ごろくらいから?姿を見せていました。このカノコユリ、種子島では本当に気軽に見ることができるのですが、実はwikipedeiaによると絶滅危惧種(絶滅危惧Ⅱ類 VU)らしいのです!2007年8月レッドリストで、以前の環境省レッドデータブックでは絶滅危惧IB類(EN)とのこと。こうきくと、なんだか貴重なような…!私は種子島に来てはじめてカノコユリをみました。(種子島のカノコユリは甑島のものより小さいようなのですが、移住者の多い種子島ならではなのか、こうした文化や言葉、食べ物・習慣などの混ざり合った感じ:種子島ナイズされた感じはちょくちょく感じることができます。)
甑島列島の方は、飢饉の際にこのカノコユリの鱗茎を食べて飢えをしのいだそうです。お腹をふくらますためだけではなく、滋養強壮、利尿、咳止め、解熱、消炎などの薬効も期待できるそう。もしかして、だから甑島から移住の際、種子島にも持ち込まれたのでしょうか。
その他にも移住してから人をたすけてきたものがあるようです。
高齢者の方の中には、入ってきてまず仏壇に向かう方も。公民館の一角に鎮座された、男の人の手のひらほどの大きさのお仏像さんは、なんと甑島から移住の際にお連れしたそう。以降今日まで、真宗の檀家さんたちが順番でお家にあずかり、守ってきたそうです。こうしたハレの日には、皆さんの集まるところにお顔を見せていらっしゃるんですね。
「ご先祖様たちが大事につないでくださって、今があるということだからの。」
甑島からやってきてたぶん御牧の人たちをずっと守っていらっしゃるお仏像さんの前で、おばあちゃんがさらっと言われたことは、とっても大切なことでした。
130年(!)という月日もさることながら、移住記念は、ここまでつないでくださった御牧のご先祖さまたちへの感謝が自然につながれているということも感じられました。
乾杯の発声のあとも、おいしいごはんや差し入れの魚の煮付けなどを美味しくつまみながら、あちらこちらで談笑の声がきかれました。
離島の多い!鹿児島県。種子島と同じく甑島もそのひとつ。でも島ひとつの種子島と違い、甑島さんは上・中・下甑の3つの島で成り立っているそう。以前甑島に行ったおばあさんは、ちょうど島と島ををつなぐ橋の建設中に旅行されたそうで、次回はぜひ実際に島にかかった橋を見てみたいとおっしゃっていました。
また、甑つながりで招待のあった西之表市の別地域の市議さんが得意のハーモニカを披露!すると手拍子の合い中から、歌もきこえてきて、みんなでの合唱となりました。
その後も、市議さんが青い山脈など、曲の出だしを吹くと、地域のおじいさんが手拍子と共にいろいろな歌をどんどん歌い出し、まわりの人達も驚いていました。とっても楽しそうな様子に、地域の高齢者の会でも歌を歌えるといいねといった声もきこえてきました。
立山校区もご多聞にもれず高齢化率の高いところ。西之表市では一番とも言われます。一方で、お話をしていると、70歳はまだまだ若い!など、都心部の人たちがきいたら元気になりそうな先輩の名言や、教わることもたくさんあります。
ご先祖さまからのバトンをつないで、それぞれの年代を生きることを楽しみながら、ぜひぜひ、皆さんお元気で、135周年、140周年その先とつなげていってください!