種子島のお祭りと言えば
2016/09/05
- 執筆者 小原宙子
- 所 属鹿児島県西之表市地域おこし協力隊
種子島のお祭りと言えば、
イメージ写真
鉄砲祭(西之表市)!よらーいきー祭(中種子町)!ロケット祭(南種子町)!という、花火も盛大にあがる3大お祭りがあるのですが、種子島では地域のお祭りも大切にされています。
地域のお祭りの中でも大切にされているもののひとつが、六月燈(ろくがつどう、ロッガッドー)。鹿児島県ではなじみのあるお祭りなんですね、私はこちらに来て初めて知りました。秋の願成就というお祭りと対になっているような、初夏のお祭りです。
ウィキペディアによると、
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島津光久が鹿児島城下の新昌院(現鹿児島市新照院町)の上山寺の観音堂を再建した折、旧暦6月18日に沿道に灯籠をつけさせたので、檀家でもこれにならって灯籠を寄進したのが始まりといわれている。
また、「六月ノオツメアゲ」と呼ばれる牛馬の疫病祓いや害虫駆除を祈る風習があり、こ うした民間行事が洗練されて六月灯になったという説もある。
発祥の地とされる鹿児島市新照院町では、町内会が公民館近くの駐車場を借りて毎年7月末頃に六月灯を開催している。町内の個人宅数件に廃仏毀釈の際に持ち出された石仏が残っているが、上山寺にゆかりがあるか はっきりしていない公民館裏手にも石仏が祭られているが、これは上山寺とは無関係であり昭和30年代に建立されたものであるが寄進者は不明である
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とのこと。
種子島の場合は、地域の神社さんのお祭りのひとつとして、行われることが多いよう。また、地域によって由来もことなるようです。六月燈(灯)の読んで字の通り、旧暦の六月に燈篭を神社の境内に灯します。
立山校区も清和神社さんにて、神官さんによる祝詞奏上と役員さんによる玉串奉奠(ほうてん)がおこなわれました。祝詞をきいていると、六月の禊、大祓のような意味合いがあるのかなぁと思いました。私も玉ぐしを奉納させていただきました。きもちすっきり。
その後は、区長さんの挨拶から飲み方(種子島は飲み会ではなく、飲み方といいます)に突入です!他の行事と異なり、立山の六月燈は野外調理スタイル☆炭から火をおこし、鉄板や金網をあたためれば、あとは焼きそばや串焼き、漁師さんのつくるイカ焼きなど、夏のごちそうが揃います。
校区の人たちが顔を合わせて、夜が更けるまで飲んだり話したり食べたり。楽しい時間にはすばらしい立役者の方たちが準備してくださっている、おかげさまがあります。
役員さんの男衆の皆さんが、朝から草刈り機片手に神社さんをきれいに外の場を整えてくださって、今年は役員さんに女性の方がいらっしゃったので、女衆の皆さんが神社さんの中をきれいにしてくださり。
休憩中にはソテツの葉っぱで虫取りかごの編み方を教わったり…(笑)手裏剣を教わったり…!ソテツの木は南国らしいだけでなく、昔から子どもたちの遊び相手でもあったよう。ちなみに虫取りかごでとるのはクワガタやカブトムシだったとか。小さいものは特に、けっこうたくさんいますよ~。
脱線?
午後からはお母さんたちの出番。高齢者の見守りなどが言われて久しい昨今。特に市街地から離れており(とはいっても車で20分くらい)、高齢化率の高い、大字と言われる地域では、地域内でのケアがとっても大切になってきます。
そんな中、市が委託した地域の社会福祉協議会の中で任命された、地域の頼れる女性たちがいます。それが「支え合い推進員」の皆さんです。
立山は校区の中にある各地域ごとに支え合い推進員さんが任命されており、高齢者の方への声掛けや見守りを兼ねて、地域のおじいちゃんおばあちゃんの集まりへの連絡や、会があれば移動の手助けなどを行っています。それぞれの地域に、会へ参加する高齢者の方の人数などにもよって、複数の方が任命されているため、負担を軽減したり、役員さん同士の声掛けも日常と一緒にあります。
今年からは2名増えた10名体制で、お料理上手な人たちもまた加わったところ。今回はこの支え合い推進員のお母さんたちが焼きそばの準備をしてくださいました。大人数の準備なので、野菜もたくさん!おむすびも何種類か用意したり…。
差し入れがあった、夏の旬の味覚!特産品のダクマ(川えび)もきれいな色に煮あがりました。
この川エビ、大物は手がとっても長くて川で会うとびっくりします。後ろにひゅっと逃げるダクマをつかまえる川遊びも夏の楽しみ。お盆に帰省された人たちや市街地の方たちも、立山のきれいな水の流れる川に遊びながら夕飯もとっています。
今回は、さっとゆでてから、一匹ずつアクをとってやるとクサミが消えてその後の味のしみこみもいいことを教わりました。
クーラーのきいた公民館の外では漁師さんたちがイカ焼きをはじめ炭などのかまの準備を進めてくださっています。炭火焼きのイカはぷりっとして去年来たばかりの時にいただいたときも、とっても美味しかったもの。お父さんたちのビールや焼酎のアテとしてはもちろん、子どもたちも大好きです。
設営の準備もすすみ、朝建てた竹に渡したロープに燈篭もかけられていきます。みんなで集まって炭をうちわであおいで炭おこし。鉄板があたたまればいよいよ焼きそばや焼き物も開始です。
やってきたおじいちゃんやおばあちゃんたちも腰かけて、美味しそうに食べてらっしゃいました。子どもたちもお参りをしたり。地域の若いお母さんやお嫁さんたちも酢の物や、佃煮、ミルク杏仁の差し入れをしてくださるかたも。
みなさんの手作りで今年も六月燈に火がともりました。集まれば皆さんテキパキ、スムーズに。でも笑顔やお話もありながら。とっても素敵なことだと思います。この六月燈という大きな行事をひとつ終えて、また今年の立山暮らしがはじまったなぁというかんじも。
いなかへ移住を考えられる方にとって、いなかでなにができるかな?と一緒に、いなかになにができるかな(なにがかえせるかな)??という視点があるともしかしてスムーズに行くこともあるのかなぁという気がしました。
いなかはお家でとれたお野菜だったり、ちょっとお話をききにうかがったときにもいただくおやつだったり、ともするといただくものが多くなりがち。そんなとき、こうした行事や準備に参加してみたり、協力してみることも、もしかしたらそんないただいているものにかえせるものになるのかな?とちらっと思った2回目の六月燈でした。