柳川暮らしが楽しすぎて困ります ~柳川・大川フェア@中野の巻~

2017/06/19

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執筆者 阿部昭彦
所 属NPO KATARO PROJECT

 福岡県の最南部、佐賀県と熊本県に挟まれ、有明海に面した柳川市からこんにちは。地域おこし人アベアキヒコです。
 元柳川市地域おこし協力隊、最近では「NPO団体KATARO PROJECT」の代表(と言ってもメンバーは私一人)としても活動しています。

 

地域おこし人アベアキヒコ

 

 地域おこし協力隊として2014年7月1日から柳川市に来て2年と9ヶ月が経ち、2017年3月末日をもって、協力隊を卒業いたしました。自分としてはそれなりにがんばってきたつもりはあるけれど、実際のところはどうだったんだろう??卒業を目の前にして、やたらと不安な気持ちが……。
 ということで、自分の足跡をしっかり見直してみよう。まず、協力隊になって最初に自分から仕掛けたと言える「柳川フェア」を振り返るぞ!

 

有明海苔

 

柳川フェア

 

 記念すべき第1回は2014年10月1日(水)〜10月6日(月)の6日間で開催。同じく柳川市地域おこし協力隊の坂田隊員と一緒に企画運営しました。
 坂田隊員のミッションが移住促進なので、柳川市出身の江口晋太朗さんをお呼びして「多拠点居住と地域の未来」というトークセッションも開催。江口さんと坂田隊員の発信力もあって、大勢の方にお越しいただきました。

 

多拠点居住と地域の未来

 

 私は農政課配属ということで、柳川の生鮮野菜や特産品を東京の方にお届けすることがメインでしたが、このときに市の担当課職員から「あなたがやろうとしていることは駅前でティッシュ配りをするのと同じだ」と言われたのを明快に覚えています。
 おそらく彼が言いたかったのは、そんなことをしても、効果はないということだと思うのですが、ちょっと検証してみましょう。

 

生鮮野菜や特産品を東京の方にお届け

 

 グーグル先生に聞いたところ(笑)、駅前のティッシュ配りの転換率(ティッシュを渡した人の中で実際にアクションを起こす確率)は4%だそうです。けっこう高いですね。
 しかしながら、みなさんも経験がおありだと思いますが、なかなか手にとってくれる人の数は少ないもの。仮に20人に1人がティッシュを受け取ったと考えましょう。

 

マツコの知らない世界

 

 今回で12回を迎えた柳川フェアでは、毎回必ず買い物をしてくれる固定ファンが少なく見積もっても20名はいらっしゃいます。
 これをティッシュ配りにあてはめると、20人がアクションを起こすためには、500人がティッシュを受け取らなくてはならず、500人がティッシュを手にとるためには、10000人に対して声をかける計算になります。

 

10000人のティッシュ配り

 

 20人のお客さんに来てもらうのは、つまり10000人に声かけしてティッシュ配りをしたのと同じことという計算。これって効率的なのかどうかよく分かりませんね。でも、大事なのはこの20人のお客さんは、毎回必ず買ってくれるということ。つまり10000人のティッシュ配りが何度も繰り返されているっていうこと。
 そして、こういう方の口コミで新しくお客さんが買いにくるということも起きています。そう考えると、駅前のティッシュ配りよりはよかったのではないかと思うのは、手前味噌な考えでしょうか?

 

ぎっくり腰

 

 12回を重ねる中ではいろいろな出来事がありました。2015年7月の第4回からは、お隣の大川市地域おこし協力隊とのコラボ開催となり、名称も「柳川・大川フェア」となりました。地域おこし協力隊の強みは、こういう広域連携がしやすいところですね。
 日頃の不摂生がたたってぎっくり腰になり、激痛をこらえながら野菜を売っていたときも。このとき、交通網が非常に発達した東京は、実は「歩く街」だということを身にしみて実感しました。

 

肥後グリーン」というメロン

 

 柳川フェアで気付いたのは、東京では良いものと認められれば価格が高くても購入してもらえるということ。これまでに扱った生鮮食品でもっとも高かったのは「肥後グリーン」というメロン。
 熊本の震災で被害を受けた道の駅通潤橋さんを応援するイベントとして開催したときのものですが、弱気な私は少し安めに、それでも1玉2600円という値段をつけさせていただいたのですが、これが簡単に完売してしまいました。
 柳川産のあまおうも1パック850円〜900円くらいで販売しますが、こちらもあっという間に売れて行きます。2パック以上のまとめ買いも多く、一度購入された方が「美味しかったから知り合いにも食べさせてあげたくて」とリピートすることも少なくありません。

 

あまおう」とミニトマト

 

 また、店頭に「赤いもの」があるとお客さんが足を止めてくれますが、それがなくなると途端に客足が鈍ります。特に人気だったのはイチゴ「あまおう」とミニトマト。しかし、人気があるため売れるときも赤いものから出て行くので、どうしてもフェアの後半はお客さんにアピールできる商品が店頭から姿を消してしまい、苦戦を強いられます。
 フェアの規模が大きければ、追加発注してもペイするのでしょうが、個人レベルで開催している規模ではなかなかそれが難しく、大きな課題として残りました。

 

農家さん手作りの味噌や漬物

 

 また、価格よりも安全・安心を求めるお客さんが多いことも明らかになりました。農家さん手作りの味噌や漬物は、余計なものが入っていない無添加ですよと声をかけると、とても反応がよく、いつも売れ行きが好調でした。
 特に味噌は、一度買った方はかなりの確率でリピート購入してくださいます。会場に冷蔵設備がないため、夏場は味噌の販売ができないのですが、「今日はお味噌はないの?」と残念な表情をお見せになることも多く、やはり本物はすごいなあと農家さんのお仕事に感動しました。

 

この充実感は得られなかった

 

 自分が食べて美味しいものだけにこだわって東京のみなさんに紹介してきましたが、それを受け入れていただけたことはとても嬉しくて、本当にやってよかったなと思っています。駅前でティッシュ配りをしても、この充実感は得られなかったはず(笑)。
 また、リピートされるお客さんも少なくないことから、自己満足だけではなく、地域のみなさんのためにも少しは役立っていたと言っていいのかな。

 

開催して来られた柳川フェア

 

 往復の旅費を地域おこし協力隊活動費から支出できたのでこれまで開催して来られた柳川フェア。協力隊卒業後は、正直申し上げて開催は容易ではありません。しかし、12回を重ねることで地域に根を張り始めたところで止めるのは実にもったいないではありませんか!
 今後も引き続き、みなさんにいいものをお届けするために現在、あれこれと工夫をしています。何かよいアドバイスがあれば、ぜひ教えてください!

 

地域おこし人アベアキヒコ
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