地域のチカラを学びに、学びのチカラを地域に 2017
大学生の皆さん、地方創生の最前線・課題先進地である対馬で熱い夏を過ごしませんか?
今年も対馬市は域学連携事業を進めています。島おこし実践塾と学生実習について7/28まで募集しています。
島おこし実践塾について
総務省の地域おこしの実践塾のモデルとなっている元祖「島おこし実践塾」。今年度は、第6回目となります。(去年の様子はこちら)
今年は、企画者であるMITの川口幹子が、これまでの経験をふまえつつも原点に立ち戻り、「生物多様性保全とくらし」に焦点を絞ったプログラムにしています。(川口幹子の島おこし実践塾にかける想いはこちら)
今年の実践塾の特徴は、地方創生の様々な課題に対して生物多様性や生態系保全という切り口から取り組んでいる実践者たちが講師となっている点です。
MITの川口幹子は北海道大学でアイナメの進化生態学の研究で博士号をとり、その後、地域おこし協力隊として対馬に移り住み、「生物多様性保全と地域づくり」をライフワークに農業や民泊の推進等に取り組んでいます。
対馬市の神宮周作さんは、琉球大学でヤマネコやネズミの研究で修士号をとり、ツマアカスズメバチ対策やツシマウラボシシジミの保全等市役所の立場で取り組んでいます。
同市の前田剛さんは、域学連携事業の仕掛人であり、環境省のアクティブ・レンチャーとしてイリオモテヤマネコとツシマヤマネコの保全に関わっています。佐護ヤマネコ稲作研究会の立ち上げ・運営にも尽力されています。
島おこし協働隊で今年から対馬に移住してきた山本武能さんは、京都大学で博士をとり、植物の分類を専門にしていて、対馬の植物の希少種の現状分析を踏まえ、保全業務に取組んでいます。
東京大学で博士号を取得した銭本 慧さんは海のエキスパートで、対馬で合同会社フラットアワーを設立し、持続可能な水産業の実現のために、高品質高 付加価値の魚介類販売、ブルーツーリズム、ESD、研究コーディネート等に取り組んでいます。
講師もすごいのですが、フィールドもまなびの場所として最適(川口、私信)。舞台となる志多留・田ノ浜・伊奈地区は、国の鳥獣保護区にも指定されており、ヤマネコの生息密度も高い場所です。豊かな森に囲まれた里地には集落と田んぼがあります。そして、すぐそばに海が広がり、磯場もあります。
この地域は、限界集落であると同時に、様々な環境問題にも直面しています。
耕作放棄地が増えることによって、里地里山の生態系が劣化し、水田の涵養や防災対策も脆弱になり、地区の土砂災害のリスクも高まっています。
健全な生態系がなくなってしまうことで、昔から享受してきた自然の恵み(山菜やはちみつ等)も少なくなっています。シカ・イノシシが増えており、生態系への被害も深刻で、人家のすぐそばまでくるので危険です。
海に目を向けると、防潮堤ができるまでは白い砂浜で、天然のはまぐり等がとれた場所や、磯焼けが深刻な磯。海岸には至る所に漂着ゴミがあり、マイクロプラスチックが生物濃縮されて人にも影響があるかもしれない・・・などなど。
地方創生がらみでは、人口減少が進み、地方行政に財力がなくなったときに、インフラをどう維持させるのか?グリーンインフラによって、自然の恵みを享受する環境を取り戻すことが必要ではないか。
例えば、森の生態系を回復させられれば、天然のダム機能が戻り、水も浄化され、井戸の水も上水施設がなくても飲めるようになります。
地方創生を語る上で、すごく大事な切り口となる生物多様性や生態系保全。今年の島おこし実践塾では、そういったテーマで、4泊5日でみっちりと地方創生を考える機会を提供します。
詳細なスケジュールは募集要項をご参照していただくとして、簡単な紹介を。
【1日目】オリエンテーション ~対馬を知る・志多留を知る~
フィールドを歩いて回った上で、対馬市の前田氏から“課題先進地域”対馬の概要、魅力、現状と課題、そして実践塾のねらいを講義してもらいます。
【2日目】里の生物多様性と農業振興
午前中は、川口による志多留の水田と生物多様性についての講義の後に、ほ場整備されていない志多留の田んぼで水路の改善作業を行いながら、田んぼの構造や仕組みを学びます。
午後からは、田んぼが育む生物の多様性と、里地里山環境の変化による生物多様性の危機、これからの生物多様性保全や農業振興のあり方について学びます。その後、田んぼの生き物調査を行います。
【3日目】山の生物多様性と林業振興
3日目の午前中は、しいたけ栽培を通じ、里山(雑木林)の更新の仕組みを学びます。実際に超大変な作業も体験してもらいます。しいたけのありがたみがわかるはず!
午後は、森の植物調査 について講義があり、ほだ場内と有害鳥獣防護柵の外の下層植生や動物層の比較を行います。また、対馬市による獣害問題と対策について現状を教えてもらい、里山の担い手確保について語り合います。
【4日目】海の生物多様性と漁業振興
4日目の午前中は、対馬や志多留の水産業の現状と課題を学びます。資源管理や漁業のあり方について、漁師・レジデント型研究者の銭本氏の実践に学びます。
午後は釣りです!
【5日目】森里海の環境と生業の維持のために ~政策提言~
最終日は、学んだことをふまえて、島外の視点から政策提言を考えてもらい、森・里・海の関係者を招き、塾生による政策提言プレゼンテーションを行います。
4泊5日の濃密なプログラムです。大学でこの分野を勉強していなかった人も理解できる内容になっていますので、どしどし応募ください!
■開催日程
平成29年8月31日(木)~9月4日(月)4泊5日
■対象
大学生、専門学校生、大学院生、社会人等
■定員
30名
■開催地
対馬市上県町志多留・田ノ浜・伊奈地区
■必要経費
参加費:12,000円 (食費・交流会費・保険料)
※社会人参加者は 30,000 円(宿泊・食事・交流会費・保険料)
交通費:対馬までは参加者負担。対馬島内は無料
(バスでの移動となります)
■宿泊
民泊(民家へのホームステイ)
■募集期間
7月28日まで
■応募方法
自己PRや参加希望理由など以下の申込フォームより入力の上、別紙 「島おこし実践塾」参加申込書・同意書に記入し、以下の宛先までご応募下さい。選考の上、受付から2週間以内に参加の可否をご連絡いたします。定員に達し次第、募集を締め切ります。
学生実習
対馬市では、持続可能な地域社会の実現を目指し、様々な施策に取り組んでいます。その中で、現場に学び、 課題解決策をともに考え、実践することで地域に貢献し、自己の成長も促したいという学生を実習生として受け入れています。
今年は、対馬市全体が学びのフィールドです。地域の課題解決に挑む実践者かつ教育指導経験者を現地指導者にして、大学生の学びのニーズに合わせた形で研修プログラムとして設計しています。なんと14種類のプログラムが用意されています。
旅費は自己負担ですが、研修費や滞在費等は対馬市が域学連携事業の中で負担しています。
今年のテーマは、「教育」「医療・福祉・交通」「環境・産業」「起業・産業・地域づくり」です。
いくつかご紹介しましょう。
その他、教育、医療/福祉/交通、環境、ソーシャル・ビジネスなど個別具体的なテーマでの受入れています。学生実習の詳細については以下URLをご参照ください。
http://fieldcampus.city.tsushima.nagasaki.jp/student/cat/cat1/post_1.html
お問合せ先
一般社団法人MIT(ミット)
吉野 元 HAJIME YOSHINO
hajimeyoshino@mit.or.jp
携帯電話:090-1179-7613
事務所 TEL/FAX 0920-85-1755
〒817-1533 対馬市上県町志多留208