10/20-23【高知・四万十】しまんと大人の秋休み 2017
2017/08/26
- 執筆者 吉尾洋一
- 所 属一般社団法人いなかパイプ
しまんと大人の秋休み 2017
「やりたいことだけする秋の四万十」
みんなが集ってそれぞれがやりたいことをする秋休み。
外に出て自然を堪能するもよし
地域の人と触合うもよし思い思い
一人の時間を過ごすもよし
それぞれの参加者が思い思いに過ごす3泊4日。
過ごしていると、日に日に自分や人と繋がる感覚が生まれて来ます。
好きなことをして生きる。自由な関係で人と生きる。
そんなことに挑戦している人、ヒントを見つけたい人は
一緒に秋の四万十を旅しましょう。
■開催概要■
【日 時】
10月20日(金)14:00受付
10月23日(月)12:00解散
【会 場】
シマントシェアオフィスとその周辺
(廃校になった小学校の校舎を利用した施設です)
住所:〒786-0534 高知県 高岡郡 四万十町 広瀬 583-13
TEL :0880-28-5594
【参加対象】
18歳以上で興味のある方 定員15名程度
【参加費】
38,000円 (参加費・宿泊費・食事代・保険料含む)
※参加者の希望により計画が変更になった場合は別途費用が必要な場合があります。
【申込方法】
下記事項について、事務局までご連絡ください。
内容確認ののち、事務局から参加費などをご連絡いたします。
[1]氏名(ふりがな)
[2]住所
[3]連絡先(電話・FAX、E-mail等)
[4]生年月日(旅行保険加入のため)
[5]やりたいプラン等があれば
【申込先】
しまんと大人の秋休み 事務局(担当:吉尾洋一)
E-mailアドレス:office@inaka-pipe.net(@マークを小文字に変えてメールお送りください。)
【その他】
(1)途中から参加されますと全体の流れがわからなくなりますので、スタートからの参加をお願いします。途中からの参加については担当者とご相談をお願いします。
(2)初日は14時受付、15時スタートとなります。最寄り駅(十川駅)まで、送迎いたしますので、必要な方は事前にご連絡ください。
【活動の説明】
<モーニングミーティング>
期間中唯一決まっているプログラムです。一日のプランや過ごし方、困っていること、皆と分かち合いたいことなどを話し合います。参加者全員の交流ですのでご参加お願いします。
<アクティビティ>
固定されている(やらなくてはいけない)活動はありません。スタッフが提案するプラン、参加者がモーニングミーティングで提案するプランなどを参考にその日やりたいことを各々またはグループで作ります。
場所、時間、手段により制限されていることもありますが、その範囲で一日やりたいことをして過ごします。各プランの参加は自由です。
※食事について
朝食と夕食は宿舎、または会場の学校で用意します。昼食、夕食は近隣のお店を予定している場合もあります。また、自分たちでキッチンやピザ窯を使って作ることもできます。
※持ち込みについて
やりたいことを想定した遊び道具の持ち込みも大歓迎です。
【時間の流れ】
●10月20日(金)
・高知から来られる方
「高知駅」11:39発/「十川駅」14:07着
・松山から来られる方
「松山駅」10:14発/「十川駅」13:05着
・14:00~受付開始、オリエンテーション/15:00スタート
●10月21日(土)22日(日)23日(月)
・モーニングミーティング/アクティビティ(23日は12時まで)
●10月23日(月)
・12:00解散
・高知へ帰られる方
「十川駅」 13:05発/「高知駅」15:04着
・松山へ帰られる方
「十川駅」 14:08発/「松山駅」17:26着
【スタッフ紹介】
■田中聡(fence works)
1980年東京生まれ。大阪を拠点に活動中。2010年よりfence works を立ち上げ、スタッフそれぞれが自由な雰囲気のなかで、情緒的な関わりや一体感を味わいながら、その人ならではの仕事が生まれていく非構成的な組織運営を実践中。
【ソウから一言】
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そこは別世界でした。
それが忘れられず夢中になりました。
とにかく夢中になってしまったのです。
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海を題材にした、とある映画の冒頭のセリフです。
このセリフを聞いて僕は、10歳のときに沖縄の無人島で初めて体験した自由なキャンプを思い出しました。沖縄の自然はまさに別世界で、とにかく夢中にさせられるものでした。そしてそこで出会う大人たちや、同年代の友達は今でも忘れられない思い出となっています。
時間が経っていま、日本最後の清流と呼ばれる四万十川を舞台に、自由なプログラムが展開します。タイトルは「しまんと大人の秋休み」。
深い霧を味わいながらの朝散歩。山の湧き水で入れたモーニングコーヒー。叫べばどこまでも響くやまびこ。秋は栗。やりすぎてない、ちょうど良くオシャレな道の駅でモンブランの食べ比べ。地元のおばちゃんたちの絶品ご飯。「ゴロリと寝返り打てば川に落ちるぞ気をつけろ!」の沈下橋に寝そべって星空観察&トーク。目的地までの車の移動時間はカーステで染みる曲をかけまくり、こっそり涙!朝まで続く焚き火の時間・・・青春だぁ。これは間違いなく青春だぁ!青いなぁ、青いなぁオレ。でもいいじゃない。四万十には青い時間が流れてるんだもん!
どれをとっても四万十ならではの景色、味わいが広がり、気づいたらニンマリ顔。そこで集い・出会う人びととのつながりは一生モノ。
暖かい雰囲気の中で、誰からも強制されることなく遊び、学び、それをつうじ、自分を知り、皆と調和的に生きることをおぼえていくしまんと大人の秋休み(一部、大人のための体験フリースクール案内より引用)。集まった方々でデザインされていく場を楽しみにしています。
■池澤良子(ひとことワークス)
ひとことワークス (高知県・高知市) ファシリテーター・ワークショップ企画・開催。東京ボランティア・市民活動センター専門相談員として NPO設立・運営相談・ボランティアマネジメント研修等を担当。 2012年より高知県高知市に移住。ある土地に、ある人たちと集まることで 生まれる時間やグループに関心をもち、 円坐や様々なワークショップを企画・開催中。
【リョウコから一言】
フリーキャンプとはあらかじめプログラムがなく集まった人たちで過ごし方を決めていく時間です。
3泊4日思いっきり自由に過ごしてください、といわれた時、戸惑う私がいました。しかもスタッフとして。私が何をしたいかより、何をすべきか、考える私もいました。
そんな瞬間瞬間をへて、自分と向き合い、一緒に過ごす仲間と向き合い、四万十の壮大な自然と天気とそこで生活を営んでいらっしゃる地域のみなさんがつくってくださった環境と向き合っていった時間。
去年の写真をみるとなんと豊かな時間だったろう、と思います。あの日みた景色と一緒にいた仲間たちの表情や生まれた言葉たち。克明に思い出すことができます。ご一緒するのを楽しみにしています。
■佐々倉玲於(一般社団法人いなかパイプ)
高知県幡多郡大月町生まれ。中学・高校は愛媛。大学は沖縄へ。沖縄生活12年を経て、人のご縁で高知に戻り、実家に戻らず四万十川のほとりで暮らす。田舎でなんとか仕事を成り立たせ、順風満帆な人生を歩み中。
【レオから一言】
やりたいことをする3泊4日。と言われましても、毎日やりたいことをやって生きている僕からすれば「参加したい」というモチベーションが湧かない。けれど、なぜ参加しているのかというと、ここに集まる人に会いたいからだなーと思う。
何をやるにしろ、やらないにしろ、自分の「やりたい」という意思を持って参加している人は面白い。
行動に移す前に、必ず自分の意思決定を下し、自分の意思に従って、責任を持って自分の行動を行なっていく。その行動の後に、面白くなかったからといって、誰かのせいにしたり、うまくいかなかったからといって誰かに文句言ったりすることはない。
一人ひとり自律した大人が集まって、それぞれがやりたいことを実現させていく。時に、仲間と協力し合いながら。時に、一人孤独になって。でも、仲間が常に見守っていてくれて、個人の意思決定を応援してくれる空気がある。だから、この場では、自分との戦いによる大きなチャレンジだってすることができる。
集まった大人たちが、3泊4日過ごしていく空間は、僕が「だったらいいなぁ〜」と思う理想的な社会や、地域や、コミュニティのようになっていく。
「本当に、現実社会もこうだったらいいのに」「こういう仲間たちと暮らしていけたらいいのに」と思い、3泊4日が始まったその日から、仲間たちとの別れを考えてしまい、寂しい気持ちになる。
けれども、そんな3泊4日が実現できるのだから、今の現実社会の中においても、現実離れしないながらの、自分たちが生きたい社会や地域やコミュニティがつくれるようにできるのではないかと思い始めている。
働き方を工夫して、暮らし方を工夫して、生き方を工夫して、もっと自分らしく自律的に。自立的に。
「しまんと大人の秋休み」は、ただの3泊4日のお休みであるけれど、僕にとっては新しい仲間と出会い、新しい社会をつくっていくためのチャレンジでもあると思っている。
今年はどんなチャレンジをしようか。どんな出会いがあるだろうか。楽しみだなぁ〜
■吉尾洋一(一般社団法人いなかパイプ)
高知県幡多郡生まれ。18歳まで高知で生活する。その後の都会生活・海外生活をする。10年ぶり帰った高知で、地域と関わろう!という直感で地域の活動をしているうちにいなかパイプと出会う。日々何かと何かを繋げるために活動中。
【ヨシオから一言】
昨年開催した「しまんと大人の冬休み」は想像以上に楽しい企画になりました。集った参加者が素晴らしかったのもありますが、協力していただいたスタッフや四万十のポテンシャルにもサポートされ、この場所とこの企画が大好きになりました。
詳しくは映像を見てみて下さい。その雰囲気が伝わると思います。今年は秋の四万十!人も季節も違うと全く変わった内容になると思います。どんな内容になるか今からワクワクが止まらな〜い♪
■寺嶋紀人(一般社団法人いなかパイプ)
千葉県柏市生まれ。20代は劇団に入り東京で役者活動をする。彼女が高知に行くということで自身も移住を決意。来た当初は訳もわからない日々を過ごしていたが、そろそろ移住1年を迎える今、「なんだかこの土地に引き寄せられたのかなぁ」なんて思うことが多くなってきている。
【テラから一言】
今を生きることや今を楽しむこと、それは「トコトン向き合うこと」なのだと最近気がつきました。視界、音、感触、そして気持ち。ありとあらゆる自分の感覚を逸らさず目の前にある出来事と向かい合うと「今」という世界が広がっています。
「何でもしてよいこと」が自由ではなく、「自分にある本当の気持ちの流れを知ること」が自由へのカギだということも知りました。
私は今年の夏、初めてフリーキャンプというものに参加しました。最終日、皆とお別れの挨拶の際に説明がつかない涙が突然溢れて出てきました。「わからないです、よくわからないです…」と言いながら泣き続けました。
頭では考えられない涙。ああなってこうなってここで泣くとかじゃない涙。それが本当の気持ちの部分。子どもの頃はもしかしたら自然に知っていたのかもしれません。でもそれが大人になったら埋まってしまって分からなくなってしまうのかもしれません。
だから、子どもに戻るとかそういうんじゃなくてただ「知って」ほしい。そう思うんです。
【主催】
一般社団法人いなかパイプ
(スタッフとしてフリーキャンプや非構成の場づくりに長年携わっておられる田中聡さんを迎えて開催します)
【しまんと大人の冬休み2016】
四万十で自由な時間を与えられたら人は何をするのか。参加者もスタッフも好き勝手やって企画が成立するのか。そんな試みで昨年は「しまんと大人の冬休み」を開催しました。
唯一決まっているのは、フリースクールで実践されていたミーティングをみんなで毎朝すること。みんなが制限なく自由にやったら満足度や人との繋がりが深いイベントになりました。
以下、昨年度のしまんと大人の冬休みの参加者からレポートです!
【しまんと大人の冬休み 2016 レポート】
最初に ~フリーキャンプってなに?~
主催のいなかパイプのササクラレオさん、吉尾洋一さんに「おとなの冬休み 四万十川フリーキャンプ」のお知らせをもらった時、心がぐらっと「行きたい」って方向に傾きました。
四万十川は美大時代の先生や先輩から、
「一度は行ってみて。とにかく風景がいいよ」
と言われていた場所で、なぜか昔から心惹かれる場所だったのです。
聞けばフリーキャンプとは、することは行かないとわからない、また、その日その日、集まるメンバーによってすることも変わるとのこと。
もともと、私は旅するとき、プログラムや行くところをあらかじめ決められるのは嫌いでそうされると楽しめないタイプ(学生時代の修学旅行は特に苦手だった…)。
何も決まってないなか、四万十川を旅するなんて面白そう! と不思議と惹かれ、思い切って、行くことにしました。
秘境・四万十川
早朝の便で羽田空港から高知空港へ。そこまでは約2時間ほど。乗り換えで高知市内のバスに乗ってる時、
「高知って意外と近いんだ」
と少し驚いた。
行ったことがない私にとって、四国・高知はなんだか遠い存在で、ものすごい遠いイメージがあったので、足を運ぶにはハードルが高いと勝手に思ってたのだ。
「意外と四万十川(待ち合わせの駅)まですぐに着くんじゃ…」
と思っていたら、そんなことない、ここからが遠かったのだ…。
JR高知駅から乗り換え2回、おそらく最短のルートで行けたと思うが、半日以上ずっと電車に乗っている感じだった。でも、車窓から見える景色がよく、飽きることなくずっと窓の外を眺めてしまう。
高知市内から郊外、いくつかの川を超え、ついには海が見え、四万十川の河口から川上に向かい川に沿って電車が走ってく…。景色を眺めながら、ふと朝はまだ東京にいたことがものすごく遠い時間に思えて、1日なのに随分遠くを旅しているような気分に。
待ち合わせの駅に到着したのは夕方16時くらい。朝7時の便で来たので1日のほとんどは移動の旅。だけど、不思議と疲れておらず。
あとで、他の参加メンバーに聞いたら、四万十川に来たルートはみんなバラバラ。同じ東京方面からでも愛媛経由できた方もいたり。
京都の自宅から自家用車でずっと来た人や、バスや電車を乗り継いできた来た人…。どんな風に来たのか、その旅路の話でも大盛り上がりするくらい、
四万十川って遠く、秘境なんだなあとしみじみ感じた。
四万十川沿いを走る電車はどれも可愛い!
やりたいこと・共有したいこと・困ってることミーティング
到着したその日の夕方から、
「滞在期間の4日間何をしたいか」
「みんなに共有したいこと」
「今、困っていること」
の3つのテーマで、メンバー全員でミーティング。
初めましてのメンバーもいる中で、4日間何するか?今困っていることは?って言い合うのって実は、かなりハードルが高い。無意識に気を使っているのか、少し遠慮がちに発言してしまう。
でも、メンバー1人1人がだんだん話し出すのを聞いてると、自然に自分の中で「あ、これもやりたい!」とかが湧き出て、気づいたらいっぱい発言していた。
スタッフであり司会の聡さんが、みんなの意見をそれぞれ丁寧に、かつ端的にまとめてくれる。
また、参加者だけでなく、スタッフも含めて全員、ミーティングで
「滞在期間の4日間何をしたいか」
「みんなに共有したいこと」
「今、困っていること」
を言い合う。
スタッフも参加者も垣根なく、今回の旅を自分たちなりにどう楽しくさせるか、ワイワイ。
一見すると不思議な光景。通常ならスタッフは後ろにいて、参加者をサポートするに徹し、あくまで裏方。そんなイメージがあったが、今回のフリーキャンプではそれはない。
スタッフも「これやりたい」「これに困っている」と、参加者と同じ目線で言い合う。不思議と、子どものころ、その日集まった近所の子らと「今日何して遊ぶ?」って作戦会議しているみたいな雰囲気になる。
誰が上とか下とかという関係でなく、今いるメンバー一緒に!という感じが、冒険のようなワクワク感を作っているような気がした。
※拠点は小学校の校舎。廃校になった校舎をリノベーションしてオフィス兼カフェになっている。暖炉もあって、まったりゆったり過ごせる。 滞在期間は、主にミーティングの場所として活用した。
※その日やりたいこと、困っていること、メンバーに分かち合いたいことを自由に発言していく。
みんな1人1人、自由に遊んでる!
みんな1人1人、自由に遊んでる!
初日の朝、美味しい朝ごはんを食べた後、モーニングミーティング(前日した同じやり方でミー ティング)。今日、その日にしたいことを各自思い思い伝えて行く。焚き火、川遊び、山に行く、カヌー、温 泉…きりがないくらい色々出てくる。バラバラに見えるみんなのやりたいことがちゃんとまとまるのかな~と、最初、自由に発言しつ つも、やや不安げに思ってたら、地元民であるよしおさんが
「ここにこれあるよ」
「こういうルー トなら可能かも」
とアドバイス。それを受けて、司会の聡さんがテキパキと、綺麗にパズルを組 むかのように、組み立てて行く。いつのまにかその日の段取りができていた。
初日は川で遊ぶことに。車で、みんなで川へ移動。沈下橋を通る。運転はスタッフのレオさん。ヒヤヒヤだけれども、さ すが、地元民。スイスイと通る。
沈下橋の端まできて、車を止めて、みんなで川べりで遊ぶことに。何をするか特段決めていないので、最初はみんな川べりで、それぞれ川をぼーっと眺めてたり。
でもしばらくするといつのまにか、そろそろと、それぞれ自分のやりたいことをしている。
川に石を投げて遊ぶ人、流木や落ち葉を集めて焚き火する人、賽の河原のように石の上に石を綺 麗に積む人、沈下橋で川を眺める人・・・
当の私は、最初は川で川の風景をスケッチしようと思ってたけれど、眺めているうちに、川のもっ と先に行きたくなって、ズイズイ歩いて行ってしまっていた。みんながいるところから離れて行く。少し不安だけど、自由になった気がしてどんどん歩みが止まらない。気づいたらみんなが小さく 見える距離まで来ていた。
大きな岩の上で、四万十川の水の流れを見る。木々の「ササっ」という微かな音と遠くから鳥のさえずりが聞こえる。あとは川の水の「ごおおおっ」というダイナミッ クな音。
静かで、自分が川の一部になったようで、しばらくずっと佇んで、川の音を聞いていた。
しばらく経って、ハッと気づき、「かなり時間が経ったのでは?」と少し慌てて、元のみんなが いる場所に戻った。でも、みんな特段気にしている様子はない。相変わらず、各自好きなことをしている。
何人かから
「随分遠くまで行ったね。どんな景色だった?」
と聞かれた。その様子に少し救われ た気がして、もっと自由にやっていいんだ!と思えた。一応、集団行動といえば集団行動なんだけれども、
「みんなでこうすべき」「こうしてね」みたい な圧がない。
実は、この圧を警戒していたのだと、その時気づいた。
いくら自由に過ごしていいよ、と言われても、どこかみんなの顔色や動きをみて、自分の行動を 判断する自分がいる。その自分からなかなか自由になれない。でも、この時、メンバーも全員、四万十川という自然の中で、自然に自由に気楽に過ごしている、そのことが私を自由にさせてくれるのだと気づいた。
また、スタッフの方々も、みんなを監視しているのでもない、自分を抑えてスタッフ然と仕事をし ているわけでもない、自分もこのフリーキャンプの1員として楽しみつつも、スタッフとしてこの 旅のメンバーを見守ってくれている。
その感じが自然なので、一緒にいて楽。 四万十川という自然と、メンバー1人1人の自然さが、私の不自由さをほぐしてくれて、一緒に過 ごすうちに、次第に自分が楽に、楽しく過ごしていることに気づいた。
メンバーのそれぞれのもつ力が現れてくる・・・
滞在期間中、集まったメンバーの一人一人の「やりたいこと」、「得意なこと」、「持ってるも の」が不思議とかみ合い、掛け合わせられて、想像以上のことを体験できた。
私が四万十の清流の水で、焚き火を焚きながらコーヒーを淹れたいなあと言ったら、メンバーの一 人がコーヒー道具一式持っていて、豆を焚き火で炒るところから珈琲を淹れることができたり。そうしたら、実は以前珈琲屋で働いてたという人がいて、美味しい珈琲の淹れ方を教わったり。
こんな風に、
「やりたい!」
って言ったら、自然と、できる方に動いていくのが面白い。
また、みんながいることでできたこと、楽しめたことがたくさんあった。
カヌーを持って来ている人がいたので、みんなで交代でカヌーに乗ったこと。実は滝が好きなの!という人もいて、当初は行くはずなかった山の奥の滝に行くことになり、真冬の、しとしとと冷たく降り注ぐ滝の水に触れられたこと。ヨガのインストラクターの人もいて(実はインドまで修行に行った達人!)、暖炉の火が暖かい 部屋の中、1時間ほどヨガをする時間をとったこと。
行く先々で、みんな一人一人のもつ個性というか、力がふっと現れて来て、初めの予定にはないことが実現して行く。おかげで旅が一層濃くなる。もし1人旅だったらできないことだし、友達同士の旅でも、ここまで自由にそれぞれが発揮するのって体験したことがない。
これがフリーキャンプの楽しさなのかな?と思いながらもフリーキャンプの楽しさは奥が深く、まだつかめない。行く先々で体験を通して、その人自身の力が自然にふっと出て来て、その人自身ははっきりしていく。
そんなメンバーと過ごしていると徐々に仲間になり、長年この仲間で旅してきた旅の一座のような気がしてくる。
※みんなのおかげで、焚き火で、珈琲を淹れて、みんなで飲むという夢がかなった。
※沈下橋の上で、流れ星を見る会。寒いのでみんなで毛 布持ち寄って。
四万十川の風景
四万十川の川を渡っている車中の中、メンバーの1人がポット窓の風景を眺めながら
「こういう風景を見てると、日本に希望が持てるね」
と一言つぶやいた。その声を聞いて、ハッと気づいた。
お昼ご飯でよく道の駅に行ったのだけれども、建物自体のデザインはあくまで四万十川がある背景を極力邪魔しないように、ちゃんと窓から四万十川が眺められるようにできている。風景に突如現れる商業的な看板はない。風景に浮き立つようなモダンな建物もない。
たまたま、行き先々がそうだっただけかもしれないけれども、どこに行っても四万十川が映える 景色ばかり。四万十の人々の営みの風景もまた絵になり、眺めていて飽きない。
四万十に暮らす人々が四万十川や四万十の営みを大事にしているのが、きっと風景に現れている まるでヨーロッパのアルプスの街並みの風景を眺めているようで、日本のようで日本じゃない感じがしていた。
「四万十はいい。一度は行って見たほうがいい」
という、かつていろんな人に言われた言葉の意味がわかるような気がした。四万十のお母さんが作るごちそう、四万十に集う人たちとの交流この滞在期間の4日間、朝ごはんと夜ごはんを作ってくれたのは、四万十の地元のお母さん。
「たいしたものないよ~」
とおっしゃるけれど、いやいや、どれもごちそうばかり!サワガニやイノシシ鍋など、その日に獲れた食材を使ったメニューだけでなく、しいたけのたたきいなど四万十の地元料理もあって・・・。
どれもこれもすごく美味しかった!夕食はいつも、地元の方も交えて、お酒を持ち寄っての宴会状態でいつも賑やか。また、ごはんを作ってくれたお母さんの1人がしいたけ農家で、帰り際お土産に大量のしいたけをいただいた。
自宅に戻ってから、教わったレシピで、しいたけのたたきを家で作ってみたら、家族は喜んでいた。地元の生活に直接、触れた感じがあって、嬉しかった。
※クリスマスでもあったので、夕食後サンタさんが登場し、クリスマスパーティ!
※近くの沢で獲れたという、モズクガニ。その日とれた食材を使ったごちそうばかり。
最後の焚き火
最後の晩、キャンプファイア。
次の日、早朝帰路に発つ人がおり、みんなで集まるのはこれで最後の時間。最初は賑やかに話していたけれど、次第に言葉が少なくなり、長い沈黙が続いた。火がパチパチ と音を立てる中、
「もう、これで最後なんだなあ。さみしいなあ」
と痛感して、切なくなった。また、このメンバーで揃うことはあるかもしれない、でも同じことはもう二度と起きない。子供の頃味わった、夏休みが終わる切なさが、こみ上げてくる。大人になっても、こういう思いを味わえるんだなあと、しみじみ感じた。
最後に
本当にここに書ききれないくらいの出来事がいっぱいあり・・・。どのように書こうかすごく迷いましたが、一番伝えたかったのは
「人と関わり合いながら旅ができるって本当に楽しい」
ということです。
実はこの10年くらい、旅といえば1人旅で、一人の自由気ままな旅に慣れ、
「もう一人旅しかできないかもな」
と思っていた矢先に、このフリーキャンプに出会い、行くことにしたのは自分自身にとって大きなことでした。
メンバー全員と一緒にいながらそれぞれが自由、おかげで自分も自由に楽しんでいる。それは1人旅とはまた違う自由で、1人だったら不可能だったことがいっぱい可能になったことが嬉しかったし楽しかったです。そのおかげで見れた景色がいっぱいありました。
改めて、「おとなの冬休み」のスタッフの皆さん、参加メンバーの皆さんありがとうございました!