世界一のご褒美
2013/01/29
- 執筆者 横山光一
- 所 属高知県四万十町役場
みなさん、極寒の四万十からこんにちは!
いなかマガジンでも、「箸休め」的な存在になってきた四万十町役場の横山です。
今日は、「南国」と言われる高知の四万十でも雪が降っています。四万十のある高知県西部地域は、年数回ほど雪が降り、数センチほど積もることもあります。
(職場の屋上から撮影した今日の四万十。屋根がうっすら白いのは雪の影響です。)
「あぁ、寒いの苦手だから、あったかそうな四万十に移住を…。」
と思われている方がおりましたら、気をつけてください(笑)。
さて、サハラマラソン紀行も5回目です。
先日、いなかパイプの代表理事・レオくんより、
「光一くん。サハラはいつまで続くの?」
と、そろそろ終らせなさい的な発言もありましたが、もうしばらくお付き合いください。
さて、何とか3日目までクリアした横山さん。
4日目・5日目は、サハラマラソンのハイライトと言われる「オーバーナイトステージ」です。
夜通し走ってもOK。5日目の夜までにゴールすればOK。文字通り、オーバーナイト。
いつものロードブックも、いつものとおりざっくりしたイラスト。そして、
距離82.2km
もうしんどい。
夜間は迷わないように、ルートを示すものはあるらしいのですが、以前の大会では、
夜中に道を見失って隣国まで迷い込んで2週間後に保護された。
そんな心温まるエピソードも発生したとかしないとか。
まあ、人間やればできる。っと、自分に言い聞かせてスタート!
(なんとかテンションを上げようと、自分を奮い立たせている図。)
「この日の勝負は、夜だ!」
とみんなで言い合いながら、いつものメンバーとたらたら走って(歩いて)いきます。
(まだまだ余裕のシュンスケくん。)
(この日も元気なミノルさん。)
しかし、4日目ともなると、多くのランナーが何かしらのケガと戦っています。
特に多いのが、足の裏のケガ。
砂漠っと言っても、ガレ場も多いサハラでは、足の裏や指とかが擦れて水ぶくれをおこします。
イメージ的には、「靴づれ」のヒドイ版。
(シュンスケくんの足。皮がはがれまくってます。)
基本的には、バンソーコや消毒液を各自持参していますので自分で治療するのですが、あまりにひどくなった場合には、メディカルスタッフのお世話になります。
サハラマラソンでは、選手等が寝泊りするBC(ベ―スキャンプ)や、コース上にあるCP(チェックポイント)には、メディカルスタッフが常駐しているメディカルルームが存在します。
(ある日のメディカルルーム前。みんな仲良く順番待ち。)
中に入ると、様々な国の叫び声が聞こえてきます。
治療といっても、皮をはぎ、消毒をして赤チンみたいな液体を塗られるのが主です。
(お揃いのベストを着た人たちがドクターさんたち。青いシャツのおっちゃんは叫びまくってました。)
そんなメディカルにお世話になりながら、この日も50度近い酷暑のなか、テクテク歩いていき、なんとか夕方にはCP3(38.7km地点)へ。
ここからお待ちかねのナイトレース。
自分の存在を示すために、ここからはこんなものをスタッフから渡されます。
(アイドルとかのコンサートで、熱狂的ファンがふりまくっているアレです。)
これをリュックにぶら下げます。夜のレースでは、前を歩いているランナーのコレを目印にして、コースの確認をしていきます。
(夜になる少し前。明るいように思えますがカメラのフラッシュの影響です。)
イメージ的にはこんな感じ。前のランナーがわからなくなると、ちょっと発狂しそうになります。
なので、2人きりになったミノルさんと、できる限り前のランナーを見失わないように必死で歩いていきます。(はぐれたシュンスケくんは、CPで寝まくっていたようですが…。)
そして、ようやくCP5(65㎞地点)まで到着。あと17㎞ほど。しかし、時刻は午前1時。気力・体力的にも限界にきています。
これまで弱音を吐いたことのないミノルさんも、ケガの影響もありぐったり。
「光一。腹が減ったから、ここでゆっくり飯を食べないか?」
との提案を受け、これまでお世話になったミノルさんに少しでも恩返しをと、
思うことなく(笑)、
「いや、自分はもう少し頑張る。」
といって、食べかけのカロリーメイトを渡して先にスタート。
ここからは、単独での暗夜行路。気分はアラビアじゃないけど、アラビアン・ナイトです。
次のCPまでは、このレーザーを目印に進みますが、
あと少しのところで、体力の限界が来てしまい、砂漠の真ん中で座り込んでしまいます。
どれくらいの時間だったか覚えていませんが、四万十にひけをとらないサハラの星空を眺めながら、ずぅーと、「俺は何やってるんだろう…。」と思っていたことだけ覚えています。
サハラマラソンで思い出に残っていることは?
と聞かれると、リタイアを考えた2日目の山とこの夜のことを思い出します。
そんな放心状態を抜け出し、ようやく朝8時ごろにゴール。
いつものように銀のポットが迎えてくれます。
で、このゴールの後には、サハラで一番のお楽しみがあります。
そう。コーラの配給です。
サハラマラソン完走者いわく、「世界一美味しいコーラ」だそうで、これを目当てに走るランナーもいるとかいないとか。
(ここでも仲良くみんなでコーラ待ち。)
そして、テントのみんなで乾杯。
何故ビールじゃないんだ。
とおもった事を差し引いても、やっぱり世界一と思えるコーラの味でした。
そんなコーラに満足しながら、今日はここまで。
次回は、
『涙のゴール』
をお届けします。
(横山さん。あまりの美味しさに上半身ハダカになりました。)