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いなかインターンシップ

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未来はいなかのユートピア

小松圭子

はたやま夢楽
小松圭子さん

 

美しい吊り橋に渓流、温泉、美味しい土佐ジロー、綺麗な廃校におしゃれな図書館、ピザ窯にプロ用の大きな燻製器もある。その話を聞いただけでも行ってみたい、住んでみたいと思う。田舎暮らしに憧れていたりする人にはまさに桃源郷だろう。

しかし、この施設や場所は実際にはほとんど使われていない、そこは限界集落だから。場所は高知県安芸市中心街から車で1時間、何度もハンドルを切る田舎独特の山道をグルグル進む、ずっと景色は山、山、山、ほんとうにこんなところに集落があるのだろうかと不安になってくる頃合いに畑山という集落があり、その中に今回インターンシップを募集している「はたやま夢楽(むら)」がある。このはたやま夢楽は、高知県の地鶏「土佐ジロー」生産の先駆者として有名な小松靖一さんが経営する会社。今でこそ高級食材となった土佐ジローもその道程は厳しかったそうです。そんな限界集落、土佐ジローと奮闘する靖一さんに惹かれて一人の新聞記者が全てを捨てて嫁いできた。
その新聞記者こと小松圭子さん、普段は、はたやま夢楽が運営する温泉宿「畑山温泉憩の家」の若女将として、宿を切り盛りしている。

きっと彼女が嫁いできてから畑山は少しづつ変化しているに違いない。彼女は地元宇和島で地域活性化に携わり、元新聞記者という情報を伝えるプロフェッショナルだ、そんな集落のキーパーソンであり希望である小松圭子さんに今回インターシップ募集に対する思いを聞いてみた。

新聞記者から限界集落へ嫁入り

-小松さんは元新聞記者だとお聞きしたのですがどうして畑山にくることになったのですか

小松さん
8年前にボランティアホリデーという事業でたまたま畑山に来たことがきっかけ。でもその前から出身地の*宇和島の遊子の段々畑を残すために地域活動に携わっていました、遊子で暮らしていきたいという思いから、段々畑の保存活動をかなり必死でやっていて全国各地のまちづくり、地域おこしの先進事例と言われる場所をめぐって勉強していました。千数百年という間、人が生活してきた場所を今の経済的な価値観だけで失くしてしまうのは、「おかしい」と馬鹿正直に思っていました(笑)
*遊子(ゆす)の段々畑 頂上まで石垣で出来た段々畑で「国の重要文化的景観」にも選定されていて急な山の斜面を人々が苦労してきり拓いてきた歴史の重み、壮観な造形の美に圧倒されます。


インタビューに答える小松圭子さん。畑山の魅力をよく知っている。

でも、地元に帰る道を見つけられなくて、就職して新聞記者になりました。会社からは地域活動はすべて辞めるように言われて、地域活動が全然できなくなってしまいました。

人が生活してきた場所を今の経済的な価値観だけで失くしてしまうのは、「おかしい」

今までの活動が全て否定されたような気分で、自分が何をすれば良いのかわからなくなっていました。それでも県内外の地域のイベントに手伝いに行ったりして、山形や大分の湯布院とか会社の休日に全国の農村を飛び回ってたかな。4年くらいはそういうことをしていたんだけど、心の隅に畑山のことはずっとあって毎年来ていました。

初めて来た頃、未来の夫である靖一さんは、安芸市が閉鎖する予定だった温泉宿の管理を引き受けたばかりでした。その宿が少しずつ綺麗になっていき、お客さんが綴っている記帳ノートには、いつも良いことが書かれているし、廃校になった学校には大きな図書館ができたりしてきて、限界集落の畑山ですごいことしているなと思っていました。靖一さんが畑山を少しづつ変えていくのに共感していたし靖一さんのことは気にはなっていたかな。


かなり綺麗な廃校、数年しか使われなかったそうです。ここも活用したいとのこと。

-それで畑山に来るターニングポイントは何だったんですか?

小松さん
ちょうど新聞記者の仕事も楽しいと思えるような時期で、まさか畑山に嫁ぐとは思っていなかったけど、靖一さんが「今なら来てもいいよ」とポロッと言って。

-それでそれで。

小松さん
その言葉じりを勝手にとらえて「嫁としてか従業員として来て欲しいのか」「あの言葉は嘘なのか」と問いつめて(笑)。結婚まで早かった、6月にその言葉を聞いて7月には結婚して9月には移住してた。

-え~!!!すごい!

小松さん
馬鹿だなと思ったけど(笑)2年たった今も別に後悔していることはないし、大変なこともあるけど良かったなと思うことはいっぱいある。やっぱり靖一さんが頑張っている姿には惹かれるものがあった。


土佐ジローは育てるだけじゃなくて加工までして自ら販売している

給料は良くて恵まれた環境だったけど、それに未練はなかった。

-よく決断できましたね。

小松さん
ちょうどその数カ月前に、上司が変わって、地域の伝統的な行事や農業、漁業のことを、自由に書かせてくれるようになって、仕事がとてもおもしろくなってたころでした。給料も良かったし恵まれた環境だったけど、でも、心のどこかに自分が食べる物を自分で自信を持って作りたいって思いがあって、いなかで暮らしたい想いがあったので、仕事に未練はなかった。

最初は同世代の話し相手もいないし、どうしようと思ってたけど(笑)畑山の可能性を感じていたし、やれることはたくさんあるだろうと。地元の遊子じゃなくて畑山にしたのも同じ想いで同じ方向を見れる相手を見つけたと思ったから。そういう相手を見つけるのは大変なことだなと感じていたから、そのことが決め手。靖一さんと一緒にやっていきたいと思った。それに、はたやま夢楽についてこうすれば良いなという想いもあったかな、facebookやブログを始めたのも私が来てからで、求めてる人に畑山の情報を伝えたらもっとたくさんの人が関わってくれると確信してます。


土佐ジローはスリムで男らしい鳥。元々は採卵用に開発された鳥で小松さんのご主人が食用に研究した。

-小松さんはいつもどんなお仕事をされているのですか

小松さん
1日バタバタしていて、宿の管理や土佐ジローの注文などお客さんとのやり取り、お昼はお客さんの接客、泊まりの方がいれば朝食を作ったりお見送りをしたりして日が暮れる感じ、よっぽど時間があっても草取りとか土佐ジローの卵磨きとか。本当はもっと鶏舎に行って、1日中土佐ジローを観察したり現場の手伝いをしたいんだけどな~。


ひな鳥もかわいい。

-大変そうですね、この畑山温泉憩の家(温泉宿)や土佐ジローの宣伝はしていたりするんですか?雑誌にもたくさん掲載されているようですが。

小松さん
ほとんど、こちらからはしていない。TVにでたり、漫画の題材になったりするのは、みんなあちらからきた話しだし、来てくれるお客さんもみんな満足して帰ってくれるから口コミのお客さんもけっこういるかな。そういうのは土佐ジローが中心になって広まっていったとは思う。やっぱり土佐ジローだけでなく、畑山にはいろいろな魅力が多いのもポイントだと思う。


土佐ジローの卵を洗う小松さんの義母さん。畑山はいいところでしょと何度も言われました。

-おっしゃるとおりで畑山に来てまだ数時間ですがちょっと案内してもらっただけでも素晴らしい場所だなと思いました。畑山ってどんなところなんでしょうか。

 

今まで地域おこしの先進事例と言われている場所には数多く行ったけど畑山が一番良かった

小松さん
今まで地域の先進事例と言われている場所にはたくさん行ったけど畑山が一番良かった、そのくらい素敵なところだとは思うんだけど、本当に限界集落。私の子供から私までの間に誰もいない(笑)人口60人、平均年齢72歳。落ち目に感じている人も多い。


写真に写る建物が元発電所

でも廃校を利用した図書館はオシャレになってるし、すぐ近くに出来たばかりの宿泊場所もある。元水力発電所もあって、もしかしたら小水力発電として復活できるかもしれない。それに温泉もあるし、美味しい土佐ジローもある。本当にポテンシャルはすごいところだと思う。ただ、やる人がいない。図書館は管理もままならない状態だし、宿泊所も手がまわらない。 図書館とか発電とかやりたいことは盛り沢山なんだけど。

畑山の可能性を地域の人にも伝えてもらいたい

-インターンシップ生が来たら楽しそうですね。やりたいこと、やれることがマッチしたら すごいことになりそう。

小松さん
うん。温泉の経営を手伝ってもらいながら勉強してもらえればいいし、養鶏に興味があれば土佐ジローの方を手伝ってもらっても楽しいかも。土佐ジローはうちが先駆者でその技術はすごいものがあると思う。発想の転換やアイディアでいろいろなインターン生とマッチングできるんじゃないかな?私ができないことだけでなく、畑山でやれそうなことを見つけ出してやって欲しい。

何よりも畑山の可能性をたくさんの人に伝えてもらいたい。私達が言ってしまうと手前味噌になりがちなので、インターン生の外からの目でそれを伝えていって欲しい。


学校が図書館になっている、ちょっとしたオシャレなカフェ感覚。しかしあまり使われてはない。

それにこれだけ人口が減ったなら、逆にいろんなことが出来ると思う、人口が減ってしまっての問題はあるんだけど、急に限界集落になった畑山みたいなところは先人が築いてきたものがたくさんそのまま残ってる。畑山のサイズもちょうどいい、大きすぎず自分でできるサイズだと思う。人手があって時間があれば本当になんでもできる。

同世代の若い人を10人くらい増やしたい

-インターン生に特にやってもらいたいことはありますか

小松さん
まず山の中腹にある畑山城跡に登って畑山を眺めてもらいたい、民俗学者の宮本常一さんが「はじめて行った場所では高いところに行って眺めなさい、その地域の暮らしが見える」と書いてて、なるべくそうするようにしている。城跡から見る畑山は、ほんとうに美しい。

-小松さんの今後の希望や夢を聞かせていただけませんか?

小松さん
同世代の若い人を10人くらい増やしたいかな、10人いたらぜんぜん違うと思う。最近は畑山に来てくれる人が増えてきた「ここはいいな」とか「畑山いいよ」っていてくれる若い子はいる、きっかけさえあれば住みたいという人は出てくると思う。今回は1ヶ月もあるインターンだからそのきっかけは十分に見つけられる時間はあると思う。

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分かり始めた、my いなか life ~カヌー編~
やっぱり目的がある人、やる気がある人がいいな。専門的な知識(デザイン、web)を持っている人も大歓迎、そういう知識を活かしてもらえれば嬉しい。もちろんいなかに住みたいと思っている人も。

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