研修レポート:Step1:聴き、話し、進められるようになる(2015/6/18-19開催)
Step1「聴く」「話す」「進める」は梅雨空の静かな自然の中で、全国から20名弱の参加者が集りました。
テーマ別全3回シリーズの第一回目となる今回の研修は淡路島から講師の青木将幸さん(マーキー)、高知市から池澤良子さん(りょうこさん)、地元のリーダーとして四万十からは鮎市場の林大介さん(大介さん)を講師に迎えて、「聴く」「話す」「進める」ということをテーマに体験的に学ぶ参加型の研修となりました。
※開催要項はこちら>>2015/6/18-19開催Step1:聴き、話し、進められるようになる
聴き方もいろいろ
まずは講師のマーキーさん、りょうこさんから自己紹介と今回の研修のすすめ方などの説明がありました。
事前に決めていることをサクサクやるようなワークショップではなく、その場の雰囲気やみなさんとの対話を通してゆるーく進めていくということがお二人の説明や雰囲気から伝わってきて終始ゆるやかに流れていきました。
はじめはいくつかのアイスブレイクや簡単な自己紹介をしながらみんながどういったことを学びたいか意見交換をしました。
出てきた意見をまとめてみると、
●聴くテクニック
●相手から必要なことを聴き出す方法
●話し合いを進める力
ということに分かれました。
みんなの研修に参加する目的が確認できた後にまず「聴く」ということについて、その聴き方にも色々な方法があるというレクチャーを受けました。
そしてまず教えてもらったのは「傾聴」という聴き方について。
「傾聴」とは本人の思いや今の状況を聴く方法で、基本的にこちらが相手の話しに対して遮った発言はしません。傾聴するには感覚的なコツがあるようで、りょうこさんに指導してもらいながらみなさん体験しながら確認していきました。
もう一つの聴き方として「アセスメント」という方法も教えてもらいました。
アセスメントとは本来、課題を明確にするという意味があります。つまり話し手に自己決定してもらうために、課題を明確にしながら聴くという聴き方です。
話し手が自分で決めることが「自己決定する」ということですが、それを促すために、アセスメントしながら聴くことで、聴き手が話し手を支援できます。その方法についてレクチャーして頂いた後に、ペアになって、「各自が今悩んでいること」を話すという実践をしました。
冷静さを保って聴き・話すために
更に「話す」方法についても「丹田(たんでん)スペースで話す」「ヘッドバブルで話す」という状態があることを学びました。
「丹田(たんでん)」とは、おヘソの下10㎝、奥に10㎝くらいの位置を指す名前です。「丹田スペースで話す(聴く)」とは、その場所に電気が灯るとか、花が咲くというようなイメージを持ちながら、話をしたり、聴いたりすることです。この方法は、相談を受けたり、ファシリテーターの仕事をしているりょうこさん自身が実際助けられているという方法で、どんな話でも落ち着いて「話す」「聴く」ということができるそうです。この方法を実践してみながら、みんなに伝えてくれました。
多くの人は日頃「ヘッドバブルで話す」というように、頭で考え込んで話したり、頭に血が上ったように話したりすることに慣れていると思います。なので、参加者の中でも、実践しようとしたときに、最初は感覚がつかめない人もいました。しかし、参加者の中には「自分でも普段話せないような思いがけないことをここで話せた」ということに驚いて胸が熱くなっている参加者もいたり、妊娠したときの体験と重なるとシェアしてくれる人がいました。このように、感覚の違いはあるものの、それぞれの人が「丹田スペースで話す」という感覚を理解していたようでした。
聴きたいことを聴くために、問いを考える
教わった「聴く」という方法を使って、地域のリーダーと実際に話してみよう!というプログラムが2日目に組み込まれています。
淡路島に暮らし、ファシリテーターの仕事で色々な人と関わっているマーキーさんから、地域のリーダーと会話するときの視点として、「問いを考える」ということを教えてもらいました。人に話をお聴きするときに、相手が話したいと思う質問を投げかけることができれば、本質的な話を聴きだすことができます。その訓練として、明日、どういう質問をするか、みんなで「問い」を考える時間をとって初日が無事終了しました。
夜には、宿舎となった古城小学校で、地域の婦人会のみなさんが作ってくれた美味しすぎる料理を食べながら、懇親会を行い、盛り上がりました。
2日目午前は、四万十川西部漁協・鮎市場の市場長の林大介さんに来て頂きました。昨日学んだことを活かしながら、昨日考えた「問い」を大介さんにぶつけ、お話を聴く時間になりました。
ただの講演と違って「聴く」ということに留意しながら、一人ひとりが事前に「問い」を準備することで、参加者のみなさんは、いつもと少し違う意識でお話を聴くことができたのではないかと思います。
地域のリーダーからヒントを学ぶ
大介さんはボスというより、若者の話をよく聴いてくれる頼れる兄貴というタイプの地域のリーダーです。参加者からの質問にも、興味を持って受け答えてくださり、一つの質問からたくさんの話をして頂けました。大介さんはとても話し上手な人なので、大介さんの話にみんな惹き込まれていきました。
参加者の中には、地元の参加者や大介さんのこと知っている人もいましたが、それでも質問する内容や場の雰囲気によって普段と違う突っ込んだことを聴けるということを実感しました。
話の中には、四万十川の変化のこと、田舎で暮らすために外から来た人に対する意見、猫が好きでもないのに5匹も猫を飼い始めたエピソード、来年作られる道の駅をつっている現場の話、漁業の話、リーダーからみた次の世代についての意見など、参加者が聴きたいこと以上の話を話してくださいました。
その後、大介さんとの対話の振り返りを3人のグループで行いました。一人が気づいたことを伝えて、残り2人が聴き手になるという形で「話す」、「聴く」という方法も再確認しました。
振り返りをする中で、ただ大介さんが話し上手だからいっぱい話てくれたというだけでなく、大介さんとの対話のために事前に参加者が考えた「問い」や、話の間までもが、大介さんの魅力を引き出したということが言えるのではないかという声がありました。このように改めて「問いを考える」ことの大切さを体感することができました。
参加者自身の関心事を話し、聴く
午後からはここまでの研修の経験を通して、改めて今自分が深めたいと思うことや、関心があること、体験したいことなどをグループで話し合う時間がもたれました。
お題として「引っ込み思案を直したいのでそれについて話しましょう。」という引っ込み思案さんからの提案があったりしました。1日かけて時間を共有してきたので、普段は引っ込み思案で話すのが苦手な参加者も、積極的に話ができるチームになっているんだなぁと感じられ、会場にいい雰囲気の緩んだ空気が流れていました。
全国から同じような課題に直面している人達が、共通の興味あるお題について話合い、それぞれのグループで新しい発見があったり、これから帰って実際にその地域で行動に移すという具体的な取り組みも生まれたようでとても有意義な時間を過ごすことができました。
研修最後に「話す」というトレーニングの一貫で、「1分間スピーチ」を行いました。
ここでは「私の情熱」「やりたいこと」「好きなこと」などを1分間で一人づつ話をしました。話し終わった相手に全員で最大限の称賛を現す拍手を送るという日常ではあまり体験しないことをみんなで体験してみました。
普段人前で話すことが苦手な人も、ここでは全員が大勢の前で自分らしさを伝えることができたのではないかと思います。スピーチをきいていると、改めて全国から素晴らしいメンバーが集ったなぁと実感できました。そして、一人ひとりが2日間の成果を感じられる場になったと思います。
研修参加者の声
研修終了後のアンケートでは、以下のとおり、たくさんの声を頂きました。ありがとうございました!
●いままで他の研修では課題を抱えて帰ったのですが、今回はスッキリしました。(30代男性)
●楽しかった。研修にいくとたくさんの知識を得すぎ整理がつかなくなることがあるが、今回はわかりやすく「きく」ということを実践して学べた。(20代男性)
●悩んでいたことが一歩進みそうなヒントを頂けた。(30代女性)
●皆さん素直で積極的な姿勢が好まれた。(50代男性)
●心の深くまで自分のことが理解でき、相手を知ることができた(20代女性)
●話の聞き方が特に残りました。また帰って復習します。丹田は本当に習得したいです。(40代女性)
●次回の研修もぜひ誘ってください!もっと自分の伝えベタを直していきたいです。(20代女性)
●本当にありがとうございました。とても、満ちた気持ちになりました。今まで、なかなかこんな時間を持つことが出来なかったので本当に素敵な時間をいただきました。本当に、本当にありがとうございました。(20代女性)
●自分の予想をはるかに超える気づきや学び、共感、共鳴、納得のオンパレードで更にこのスタイル(講師さんのワーク+地元の方とのセッション)がとても効果的で時間配分的にも無理がなく、長すぎず短すぎず、ぼっちりでした!“満足”で終わらず、その先の一歩につなげます。(40代女性)
●研修というものはうまれて初めてでましたが、自分が段階を踏んで引き出される感じがあり、抵抗なく自分自身を表現出来るようにしていただいたというかんじがしました。(30代男性)
●最初マーキーさんりょうこさんの作る間を「いかがなものか?」と感じていたが、研修が進むにつれて、聞くということにおいて間は大事、自分の都合で破るのは違うと感じることができた。自分を振り返るいい機会になりました。二日間どうもありがとうございました。(20代男性)
次回は新しいテーマを、また新しい参加者同士で学び合うことになります。今回参加された方も、はじめての参加する方も、全国で同じような課題を持った人達と一緒に四万十の自然の中で学び合えることを楽しみにしています!(よしお)