研修レポート:Step2:事業を企て、発信できるようになる(2015/10/22-23開催)
いなかビジネスマネージャー合同研修会、Step2は「事業を企て、発信出来るようになる」というテーマで開催しました。今回も前回より更に広い地域から多方面で活躍する人達が参加です。
一番多かったのは各地で活動されている地域おこし協力隊。その他、地域と関わる商品開発や地域づくり等を各地域で奮闘し、いなかビジネスマネージャーをまさに地で行っている人や今が節目でこれから新しいことを始めるヒントをみつけたい人など、が全国から集結しました。
▲「研修中にどういうことを学んで帰りたいですか?」という質問をみんなで分かち合った時のそれぞれの声です
今回はテーマが「事業を企てる」「発信できるようになる」という2つの大きなテーマがあります。
「事業」に対しては、それぞれのフィールドで一人ひとりに想いや課題があるようで、自己表現、各地域の具体的な取り組み、考え方やしくみなど色々な「カタチを作る」ことを目的に来ているということが分かりました。
「発信」に対しては、できたものを伝達する完成したものの発信だけでなく、作る段階でのコミュニケーションを含めた「人に考えていることを伝える」ことに課題を抱えている方が多いという印象でした。
合同研修会では毎回全体のテーマはありますが、それぞれの課題をどうクリアーして行くかは各人の積極性に任されています。
ではその研修の成果はどうだったのでしょう?研修修了後、各参加者がどういう成果を得られたのか一足先に見てみます。
- ●仕掛ける側からの視点、デザイナーの視点、伝える視点、お三方それぞれの意見が聞けて充実した時間となりました。更に共通している部分が多く一貫性を感じました
- ●協力隊の参加者が多く、同じような意識を持つ人々と共に、地域で根をはるマスターの話が聞けてとても充実した一時でした。加えて文章のプロに添削してもらうという貴重な経験をもらえて満足しました
- ●知識も経験も何も無い未熟な状態で飛び込んできました。様々な知恵を紹介して頂き、良い意味で頭がいっぱいになりました。まず自分に今できることは、何よりも全ての第一歩として’気付く力’を身につけることだと思いました。本当にありがとうございました!
- ●他の地域おこしの人や講師の方の考えていることが自分の想像を越える方が多くて、刺激的でした
- ●単なる技術の話だけでなく「思い」の部分も伝えていただけたのかと思っています。
- ●前向きになれた。自分が今取り組もうと思うことが明確になった
ということで、どのようにみなさんがそれぞれのテーマを達成されていったのか、みてみましょう。
季節は秋、目の前には四万十川、廃校になったシェアオフィスと利用している小学校で毎回開催しています。
秋の四万十は雨も少なく空気と水が澄んで美しいのです。
シェアオフィス161(http://inaka-pipe.net/intern/shareoffice/)
今回の講師も3名。尾鷲からは様々な形で地域を牽引している「夢古道おわせ」の伊東将志さん、人に伝わる文章の熟達者であるフリーライター・編集者の赤羽博之さん、地域に根ざしたデザイナーの第一人者の迫田司さん、進行役はいなかパイプ・佐々倉玲於、そして、今回特別に進行サポートとして前回講師のひとことワークスの池澤良子さんも参加して下さり、豪華な面々が参加者を鍛えてくれました。
愛がある、が前提
まず各講師から、今回のテーマに合わせて自己紹介と各人の活動のプレゼンテーションをしていただきました。
伊東将志さん
「我々は勝てます」というのが、伊東さんのプレゼンテーションを聞き終えて、様々なキーワードがでた中でも一番印象に残った言葉です。
伊東さんは、尾鷲で温泉施設、夢古道おわせを運営されているだけでなく、地域の林業の課題、地域おこし協力隊の仲介支援事業など尾鷲の地域と共に幅広い活動をされています。100のありがとう風呂というイベントでは、グッドデザイン賞を受賞されたり、外から見ると、やることなすこと全てうまくいっているような、地域に頼られているツワモノプランナーですが、若い時は傲慢で失敗もよくしたそうです。様々な失敗を経験をしてもなお「我々は勝てます」と宣言している。そこに成功のヒントがありそうです。「我々は勝てます」という言葉の中には地域に対する想いが込められています。
「本当の課題がある。それに取り組まなければならない」
「情報を発信することは手段」
「それによって何を成し遂げたいか」
「1000年後も変わらないモノがある」
「壊さぬよう、崩さぬよう、護り伝える」
「一気に変えるのはむずかしい。静かにあらがいましょう」
伊東さんの言葉からは、どれも本質と向き合うということの必要性が伝わってきます。どのプロジェクトも人からの賛同も多く、情報発信に対する戦略も素晴らしいですが、そもそも人から共感されるような本質がなければうまくいかず、それこそが最も大切だと伝えてくれました。プレゼンテーションで伝えてくださった全てのプロジェクトは直接言葉では表現していなくても、「地域に対する愛」が根底にあるんだなと感じられました。
迫田司さん
「伊東さんの話しとかぶったなぁ」と迫田さんは、これから話す内容の本質が似ていることを予告しました。ただ、同じ内容をデザインの視点から伝えますと説明してプレゼンテーションが始まったので、逆に会場は迫田さんの話しに惹き込まれていきました。
迫田さんは四万十で生活して23年になる地域に根ざしたデザイナー。そんな田舎にすみながらデザインに関わってした迫田さんは、これまでは「デザイン」という仕事は誰に頼めばいいかわからない、頼んだところでどれがいいのかわからない。そもそもデザインって何?というデザインをとり扱えない状態にあることを示されました。「有名な先生に頼む」というのも手ですが、もうそういう時代でなくなった、デザインはデザイナーだけのものではなく、みんなでつくりあげていけものだと明言しました。
迫田さん自身の経験からこれからは1つの地域に1つのデザイナーが必要になるという確信を得て、2011年「地・デザイン・ジャパン」という活動が始めました。
そんな地域に根ざした活動をされている地・デザイナーの迫田さんからみると「今デザインは葉っぱのデザインばかりで、根っこをデザインしていない」ように感じているようです。
葉っぱのデザインとは、見ためのデザイン。根っこのデザインとは、土の作り方や育て方を含めた見えないけれど、葉を作るための根本にあるもの。根っこが決まったら、葉っぱのデザインは自ずと決まります。
今、田舎に求められているのは、地域のことを理解し、地に根ざしたデザインができる地・デザイナーだと提言されました。伊東さんと同じく田舎のデザイナーに必要な特質も「地域の声をカタチにする=愛をもって地域と向き合う」ことなしにはできないということが迫田さんの言葉からも伝わってきました。
2人から愛の大切さを切実に伝えられ、会場がほんわかしてきたところで、赤羽さんが登壇です。そして、まさかの「私もカブってます」という宣言からはじまりました。
赤羽博之さん
「相手はあなたの文章を読みたいと思っていない」と、赤羽さんも先の2人と同じく、相手に配慮して対話することをライターの視点で伝えてくれました。
迫田さんはプレゼンテーションの中で「伝わらないことを前提にすべきだ」という言葉を使ってデザインの難しさや心構えを表現されましたが、フリーライターである赤羽さんも迫田さんと同意見だそうです。それは「読み手はあなたの活動内容を全く知らない」ことが原因だと教えてくれました。そこで、相手が知らないという視点をもって文章を書くことをすすめてくれました。その視点があるのとないのでは書く内容も大きく変わってくるそうです。
まず赤羽さんは「伝える側と受け取る側の間に温度差がある」ということをいつも心がけて文章を書き始める、と教えてくれました。何かを伝えようとする時、相手は自分が伝えたい内容を全く知らないことを、伝える側はついつい忘れてしまいますが、そこに気づいていると伝え方も変わり言葉を通したコミュニケーションがよりうまくいくそうです。
更に実際に文章を書くことだけでなく「先に戦略を立てる」ということをプロはやっている場合が多いとのこと。
そして何より「相手はあなたの文章を読みたいと思っていない」という衝撃の見方を伝えられました。確かに、これだけ読み物が溢れている時代にわざわざ時間を使ってその文章を読むということはよほどのことなのかもしれません。だからこそ「読み手のために書く」という配慮がないと読んでもらえないと赤羽さんはおっしゃいます。プロがそこまでハードルを上げているなら、一般の人はなおさら、相手に配慮した文章がないと読んでもらえない時代になっているのでしょう。更に、赤羽さんは文章を書く時、ラブレターを書くように「思いやりや愛に情報を載せ、読み手に届ける」ことに配慮して書いていると教えてくれました。
伊東さん、迫田さん、赤羽さんそれぞれ分野の異なる人達が、共通して伝えてくれていたことの根底にあるのは、相手に対する配慮や愛でした。その相手は場合によっては地域になり、お客になり、読み手になる。逆に言えば今回のテーマである「事業を企て、発信出来るようになる」をするには「愛」を中心に据えて、作り、発信することで相手に響くものが生まれるということがよく理解できます。
ダンディーな講師から愛を学ぶ連続講義になりました。笑
こういう歳の取り方ができたら素敵ですよね~
それぞれのカタチを考える
今回の研修のテーマの一つは「事業を企てる」。研修の最初に、みなさんで今回の研修の目標を共有しました。事業の解釈や目標は百人いれば百通りのカタチがあります。研修では、一人ひとりが研修後に取り組む活動テーマを明確になり、自信を持ってそれぞれの活動に取り組めるようにサポートがされています。参加者は、まず講師3名の活動をプレゼンテーションで聞かせてもらうことで、事業を企てる時にどういう心構えが必要かとういことがはっきりしてきたと思います。
次は講師3名との質疑応答。司会を務めてくれたのは、前回の講師ひとことワークスの池澤良子さん。りょうこさんがみんなの質問をまとめて読み上げる形式で質疑応答が進められました。
- 司会 「友達はいますか?」
- 会場 (笑)
- 伊東 「えーと、その意図はなんですかね?」
- 司会 「何かをしようと思い立ったとき誰を巻き込むか、もしくは自分で動いてから人を動かすか」
- 伊東 「そうですね。僕は課題や問題にチャレンジするのが好きなんですけど、そういうときは、自分が考えたアイデアを、普通の人にぶつけてみてどう反応あるかを大事にしてます」
- 伊東 「友達はいますよ。友達はいま~す!!」
- 会場 (笑)
- 伊東 「いますが。そういうことに友達とやるやらないは関係ないですね」
- 司会 「デザインの価格の決め方を具体的に教えて下さい」
- 迫田 「これ難しいよね。大先生とか、会社のロゴマークに1000万くらいもらいますからね。でもギョーっと思うけど、会社っていうのは一つの人格なんです。その会社が、ロゴマークを例えば30年使います。会社のロゴマークって、その人格まで全て決めるんですよね。色もなぜかとか、形もなぜかとか、何処目指すのかとか。数十年使うようなところだと、月割りで月1万円とかなんですよね。デザインをどう捉えるかというところでしょうね。デザイン料は決めにくいですよ。会社のロゴなんかの時は、相手に決めてもらいますね。その後こう言います。”それがあなたの会社の価値です”って。」
- 会場 「あ~」
- 迫田 「5万円で作ってって言われたらもちろんやりますけど、あなたの会社のロゴマークの価値は、5万円ですということになり、そしたらゼロをもう一個つけますってなります。でも本当にそういうことなんですよね。なのでケースバイケースで難しいですけど、ポイントはどのくらいのビジネスボリュームでやるのか、原価計算してどこまで稼ぎたいのか、ということでしかはじけないですね」
- 司会 「田舎の場合は、後からお金をお支払いという方とかいますが、鮎市場の場合とか最初は鮎で!とかもあるんですか」
- 迫田 「僕もはじめはそうでした。物々交換。ただ、お金をもらうより、平飼いで無投薬の土佐ジロー卵のハネ品を、毎週水曜にもってきてもらうんですよ。そのくらいの規模の養鶏だから、デザイン代3万円もらうのか、毎週すごくいい卵をもらうのがいいのか、とかね。田舎はお金はないけど、味噌は山ほどある。米は山ほどある。そういう人達は、そろそろなくなったろうって持ってきてくれる。そんなんで10年くらい生き延びましたね」
- 司会 「赤羽さんが読んだ文章、本で一番優れているモノは何ですか?」「お気に入りとか、分かりやすいっていう観点で、お答え頂いた方がいいかもしれませんね」
- 赤羽 「えーとですね。正直に申し上げますと、私、実はこういう商売をやっておきながら、全国でベスト10に入るのではないかと思ってるんですけど、本を読んでないんですよ」
- 会場 「えー!」
- 赤羽 「だから『え!赤羽さん、どうしてこういう職業やってるんですか』ってよく聞かれるんです。時々こういうご質問をいただくんですが、実はね、正直に申し上げると読んでません。もちろん仕事で必要な本は読みますが、日本人だったらこれを読んでおくべきって本あるじゃないですか、でもそういう本を私、全く読んでない。なぜっていうのは、また懇親会の時にでも話しますね」
- 会場 「えーー」「なぜー?」
- 赤羽 「え、なぜ?なぜを話したら長くなっちゃうのでね。ちょっとだけいいますと、僕の育ち方なんですよ。実は私の母親は本の虫だったんですよ。本を読むことは楽しい、楽しいと言われ続けてきたんです。子供って親がやりなさいってことと逆に行くじゃないですか。だから気が付いたら、本を読まずに育ってきちゃったんですねぇ。」
- 司会 「そんな中でも、今まで読んだ文章で一番優れているモノは何ですか?」
- 赤羽 「そうですね。明日この話をしますが、僕が意識して読んでるのは、新聞の朝刊のコラムってあるじゃないですか。各紙コラムで各紙の論説員クラスの人が、それこそ命を削って書いてるわけですよ。一つのモノをずーっと読んでいると、出来不出来が明らかに見えてくる。今日は時間切れだなとかね。それが見えてくると面白い。僕自身は日経を読んでいますが、時々涙がでるほど素晴らしいなというものがありますね。」
ここぞとばかりに参加者は、各方面の第一線で活躍されている講師陣に、興味あることをなんでも質問していきました。司会を務めてくれた池澤良子さんが、みなさんから集った趣向も意図もバラバラの質問を整理して、このお三方に振り分け、講師の本音を引き出してくれました。みなさんそれぞれの分野の異なる講師が、活躍されているフィールドの感覚と、自分たちがこれから取り組むテーマの接点を確認したようです。
1日目の終わりには、参加者は、今後自分たちがどのように事業を企画するかヒントを得て、頭の中がグルグルしたのではないでしょうか。
2日目の朝は、自己紹介や自分が取り組んでいることを3分間でプレゼンテーションするという時間が持たれました。どれだけ自分が伝えたいことを発信できるか試してみる、というようなセッションですが、さすが全国から意欲的に集ったみなさん個性豊かに自己表現されていました。
現在進行中の商品の説明をしたり
時間のない夜の間にパワーポイントでまとめていたり
阿波踊りを踊ったり
そこに、それぞれ講師は、思いつくアイデアやヒントをビシバシ与えてくれました。その後、各講師を交えてのディスカッション。参加者は自分たちのテーマの「カタチ作り」をより客観的に、明確にしていくアイデアを吸収していきました。多方面で活躍されている講師が集る場で、時代の流れを感じられるフィードバックを得て、みなさん各々の事業アイデアを精練していったようです。
人を惹き付ける発信力
1日目の講義で、ラブレターを書くように「思いやりや愛に情報を載せ、読み手に届ける」のが文章を書くときのポイント、と教えてくれた赤羽さん。とは言ってもどうやって書けば魅力あるラブレターが書けるのか、そのテクニックが気になるところですが、赤羽さんはそのために事前課題が出してくれていました。その課題の文章に、赤羽さんが1人ひとり添削をしてくれる、細やかな赤羽さんらしいセッションもありました。
赤羽さん曰く、文章を読んだら大体その人の性格やクセみたいなものが、見えてくるそうです。さすが文章を書くプロフェッショナル。みなさん自分の文章がどう添削されていたのかドキドキだったことでしょう。
更にそれぞれの文章をみんなで共有して見ながら、赤羽流の分かりやすい文章を書く7つのポイントを紹介してくれました。一人ひとりの文章を紹介しながら、その7つのポイントが全て説明できてしまう、というくらいそのポイントはみなさん引っかかりやすいチェックポイントのようです。ここで全てを細かく紹介は出来ませんが、そのポイントだけ紹介します。(詳しくは赤羽さんの著書より)
1.短く書く
2.重複を省く
3.文末でリズムを生む
4.ポイントを絞る
5.具体的に書く
6.句読点は考えて打つ
7.客観視する
どうですか?自分が文章を書く時、よく見落としてしまいそうな項目はありますか?
課題の文章は150文字で「私の好きな食べ物について」自己紹介をするように表現するというもの。添削されることが分かっていたので、みなさん結構慎重に書いている人が多かったと思います。それだけ慎重に書いていると、ポイントだけみても「今回の自分の文章は自信がある!」と思う人もいたと思いますが、なんらかのところでみなさん赤ペン添削を受けていました。
赤羽さん曰く、元の文章が悪いというのではなく、赤羽流の7つのポイントでみると、まだ魅力的になる要素があるそうです。実際に一つひとつ文章をみんなで読んでみると文章を客観視できて、直した方がいいと納得できるのです。自分の文章を客観視するのは慣れないと難しいですが、他人の文章は明らかに分かったりします。
赤羽さんの添削が、具体的にどういうものだったか一つ例文を紹介します。
「誰もが感動する食べ方。それは「食べないこと」です。これを一度でも経験した人はこの食事の価値を知っています。まず少しずつ量を減らし一日でも全く食べない状態を作ります。そしてゆっくりと量を増やします。重湯、おかゆ、そして白米。それらがこれまで食べた何よりも美味しい食べ物であったことに誰もが感動します。」
これは「6.句読点は考えて打つ」のところで紹介されました。最初赤羽さんはその文書のいいところをほめてくれます。この文章の場合の時は、「思わず読者が「え?」とおもう見事な書き出しーー。」という具合に。プロのライターにほめられると、他の人にほめられる以上に上がります!笑
その後、しっかり課題を指摘されます。
「『全体のリズム感』がこの文章の課題です。」
「音読したときに、やや単調に聞こえます。」
この指摘を受けて自分の文章を音読などしたことなかった自分はギック!としました。見返した文章ですが、確かに読んでみるとやはり単調です。
具体的な方法として
・文末リズムへの配慮
・句読点の打ち方
の2つの改良をアドバイスしてもらいました。
“誰もが感動する食べ方。それは「食べないこと」です。”
↓
“誰もが感動する食べ方、それは「食べないこと」です。”
句読点は小学校の事業の時、適当に学んだのが今に残っているなぁ。と納得。この修正だけでもずいぶん違いますよね。
更に文中の「それ」「これ」の指示語が多いことも指摘されました。実は、その指摘は自分の身近にいるライターにいつも言われていることだったので、注意していたのに、またやってしまった。。。と素直に受け入れざる得ませんでした。
このような参加者全員の文章を添削しながら書き方のポイントを伝えてくれ、参加者同士でより分かりやすい文章力を高めていきました。
伊東さんは、これまで色々な事業を企てて、その情報発信を全国規模で拡散することに成功しています。
例えば、夢古道おわせで企画した敬老の日の100のありがとう風呂という企画があります。この企画は敬老の日にお風呂にありがとうのメッセージを浮かべるという企画です。今では全国の温泉で、ヒノキを使ったこのイベントが広がっているそうです。イベントは、ほとんど売り物にならない小径木を加工して、価値を作り地元の林業に貢献しているということなど、突っ込むところがいっぱいあるのですが、更にすごいのは、この全国規模の情報発信やイベントの広がりに全くお金を使っていないそうです。
コレ、すごくないですか!?また伊東さんは、そのノウハウを惜しみなく教えてくれました。
例えばこの写真▼
©夢古道おわせ
この写真一枚にも色々な戦略を作っているそうです。この写真見てどういう戦略か分かりますか?伊東さんが、この写真を大切にしているいくつかのポイントです。
・敬老の日は絵になる写真がないので、敬老の日が伝わりやすい写真を撮影する
・裸で入っている写真は新聞では目を奪う
・カラーでも取り上げられやすいように、カラーで見栄えのする写真を撮影する
といったプレスリリースの戦略があるそうです。このイベントのポイントはいくつもあって、高齢者、林業、感謝など色んな方面から取り上げたくなる要素があるので一度広がると他の温泉施設から「うちもやりたい」という問合せが次々とあるそうです。
更にすごいのは、こういう写真を撮るとメディアに取り上げられやすいということを、このイベントをしてくれる他の温浴施設にもノウハウも伝え、地域を越えてこのイベントの情報発信を広げているということでした。
写真一枚とっても、このイベントの情報発信に対する戦略が細やかだとことがわかります。これに加えて、メディアに取り上げてもらうための記事の戦略も、ワークショップ形式で教えてくれました。
その戦略は、自分のネタが新聞に取り上げてもらいやすいように、あらかじめこちらで新聞記者に伝わるような見出しや文章を書いた記事を作っておくというものです。
伊東さんは、いつもこういう記事をメディア関係者のために作っているそうです。情報発信したいメディア関係者は、エサを求めて口を開けているのに、みんなそれを使ってないからもったいない!というのが伊東さんのプレスリリースのアドバイスでした。
伊東さんのプロジェクトの進め方は、まさに今回の研修テーマである「事業を企て、発信出来るようになる」ためのお手本。みなさん食い入るように吸収していました。
研修後、参加者の一人から「他の同じようなワークショップにも出たけど、そのワークショップは眠くてしょうがなかったのに、いなかパイプの研修は、なんでこんなにあっという間に終わるんだろう?」と表現してくれました。
居眠りする暇もないくらい詰め込んで、みんなで作っていくような2日間の短い研修ですが、みなさんそれぞれのテーマを達成できたという声がたくさんあり、主催者冥利に尽きます。今後、このメンバーが成長してそれぞれの地域で活躍するのが楽しみです!(よしおよういち)