2017/03/04-05開催 Step5:いなかビジネスマネジメント

 「きいて、はなして、つくる 神髄を学ぶ!」を基本コンセプトに、これまで「地域住民と場をつくる」「きいて、つないで、つくる仕事」「地域をみせる」「いなかファシリテーション」「いなかライティング」というテーマで学んできました。

 ノウハウ的なことももちろんありましたが、「きいて」「はなす」という基本的なことが丁寧にできなければ、いなかビジネスのマネージャーとして本質的なことは何もできないと考え、徹底して「きく」「はなす」ということを学んできたことになります。

 今年度最終回となる今回は、これまで学んだことを踏まえ、実際に「いなか」でプロジェクトを動かしたり、地域組織を運営したり、「いなか」に暮らす人々と関わり、地域の2番手としてマネジメントに携わるときの「現場での応用」を考える機会にしたいと思っています。

 

 どれだけマネジメントのノウハウを学んだとしても、プロジェクトによって、地域によって、やりとりする人によって、すべてが同じやり方でうまくいくということはありません。ケースバイケースで取り組んでいく必要があります。

 そんなことはわかっていても、現場でやっている者としては

 「じゃぁ、こういう場合はどうなの?」

 「こんな失敗したんだけど、このときどうすればよかったのだろう?」

いろいろなお悩みを抱えながら「こんなこと誰に聞いたらいいんだろう?」と悶々と胸に秘め、日々プロジェクトを動かしている2番手の皆さんが多いのではないでしょうか。

 

 今回の合同研修では、お一人おひとりのお悩みをみんなでお聴きしながら、みんなでそのお悩みに向き合って、解決策はでないかもしれないけれど、お一人おひとりが自分なりの解決のヒントを持って帰れるような場になればと考えています。

 今回の講師は、昨年も来て頂いた

 

近藤哲生

近藤哲生さん(有限会社ウィンアンドウィン)

http://www.wwiinn.net/

 愛媛出身。通信システム・艦船搭載システムなどの開発に従事。  苦戦するプロジェクトの立て直しを数多く経験。人を大切にする 「マネジメント」のプロ。著書「実用企業小説 プロジェクトマ  ネジメント」

 

 

 

 

 

 

 近藤さんとの出会いは、「プロジェクトマネジメントの基本を学びたい!」と思い、大学の先生に相談したときに、大学の先生が紹介して下さったいくつかの本の中に、近藤さんが執筆された本がありました。

 

 プロジェクトマネジメント

 

  小説仕立ての本だったので、その本は敬遠して簡単に読めるノウハウ本から読み進めました。借りたすべての本を読みましたが、「いなか」という現場で応用できそうなイメージが湧く内容のものはありませんでした。

 最後に手にしたのが近藤さんの本で、読んでみると読みやすく、プロジェクトマネージャーがやるべきことの本質がわかりやすく書かれてありました。

 小説ということもあり、その本に出てくるプロジェクトマネージャーにとても共感したことと、近藤さんの出身が四国・愛媛だということを知りさらに共感が増し、近藤さんがお住まいの横浜までお会いしに行きました。

 

近藤さん

 近藤さんは、パソコンなどが発達する前の時代から、大手企業の中で通信システム・艦船搭載システムなどの開発を手がけ、プロジェクトマネージャーとしてプロジェクトをマネジメントしてきた方です。

 はじめから失敗が見えていて、病人まで出てしまうような過酷なプロジェクトが多い世の中で、近藤さんはチームメンバー一人ひとりを大切に、一人も脱落者を出さないということを目指し、失敗すると言われた数々のプロジェクトを成功に導いてきました。

 近藤さんにプロジェクトマネジメントをやっていく上で、何が一番大切ですか?と尋ねると

 「チームのメンバーとよく話すことだ」

とおっしゃいました。

 その人が好きなこと、得意なこと、やりたいことを知り、そのいずれかが当てはまる仕事を割り振ることができれば、プロジェクトの中でその人が持っている力が最大限発揮されると言います。

 そしてプロジェクトチームを組み、毎日ミーティングを行い話し合う。問題が上がってくることを歓迎し、上がってきた問題について先送りせず、その場その場で解決策を考え、次回のミーティングまでに取り組むことを決める。

 プロジェクトを進めていく上で、一見当たり前のことのようだけれど、この基本的なことができないがために、発生する問題が解決できず、メンバーのモチベーションが下がり、プロジェクトが失敗していくのではないかと思います。

 研修会では、近藤さんご自身の長年の経験からくるプロジェクトマネージャーとしての姿勢や考え方を、対話の中から学びとることができると思います。

 

 今回講師として来て下さるもうお一方は、プロジェクトマネジメントという世界とは「真逆の位置」と言っていいのではないかと思いますが、カウンセリングという世界でお仕事をされてきた経験を持つ

 

橋本久仁彦さん

橋本久仁彦さん(坐・フェンス)

http://enzabutai.com/index.html

大阪出身。高校教師となりカール・ロジャーズのパーソン・センタード・アプローチに基づく「教えない授業」を実践。平成2年~13年龍谷大学学生相談室カウンセラー。平成14年プレイバックシアタープロデュースを設立。平成24年プレイバックシアタープロデュースの看板を下ろし、“目的を持たない生命体的集団”フェンスワークスの誕生に関わり、ビジョンを共有する仲間とともに活動領域の有機的拡大・深化を実験中。「きくみるはなす」プロ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 橋本さんの存在を知ったのは、10年ほど前に開催されたワークショップのフォーラムにゲストの一人として橋本さんがいらっしゃいました。

 当時「プレイバックシアター」というワークショップをされていました。そのときには、こういうファシリテーションのジャンルがあるんだなぁーというくらいで、橋本さんのことを知ることができていませんでした。

 それから約10年たって「プロジェクトマネジメントを学びたい」と学ぶ機会を探していたタイミングで、橋本さんと改めての出会うことができました。合同研修会でもお世話になっている池澤良子さんが、高知に橋本さんを招き、橋本さんが提唱する「円坐(えんざ)」という場を開いたのがきっかけとなりました。

 

円坐

 「円坐(えんざ)」では、参加した人が円になって座り、区切られた時間の中で「話したい人が、話したいことを、話したいタイミングで話す」という場がつくられます。

 決められたテーマや構成されたプログラムはなく、アイスブレイクや緊張をほぐすワークがあったり、話し易くしましょうと気を使ったファシリテートは特になかったりします。(ただ、それを特に禁止しているわけでもないので、そういうことをやりたい人がいれば行われることもあると思います。)

 緊張した状態からスタートし、長い沈黙があったりして、ポツポツと話始める人がいて、その言葉に呼応してやりとりする人が現れ、言葉のやりとりを通して一人ひとりの存在が明らかになっていく。時間が経つに連れて本質的なところで人と人が「出会う」ということが起こるような。一方で、「よくわからないなぁ」「理解できないなぁ」という違和感や、居心地の悪さを感じることもあり、怒りすら湧いてくることも。

 

 なんとも説明しにくい「円坐」ですが、「はなす」ということと「きく」ということだけに集中して、言葉のやりとりが重ねられていきます。その中で人間の価値観・世界観・感じ方など「一人として同じ人はいないという人間の多様さ」を目の当たりにする場であるように思います。

 「何かの宗教か?」なんて言う人もいるようですが、「円坐」という場に身をおくことで、気づくことや学べることがあると感じられるので、興味を持つ人も多いのではないかと思います。

 

四万十川

 いなかパイプスタッフも、橋本さんから「円坐」の考え方を学んでいるわけですが、円坐の中で橋本さんの「きく」と「はなす」ということに対する“姿勢”に感銘を受けます。

 橋本さんの存在そのものを相手に傾け、丁寧に、真剣に、言葉を受け取っていきます。このことを橋本さんは「辿る(たどる)」という言葉で表現されています。

 相手の言葉を辿った後に、その相手と言葉を交わすことで、何を伝えようとしているのかが明らかになったり、その人自身の想いが目に見えるような感覚が得られます。

 「きく」「はなす」という誰でもできる簡単なことだけれど、私達は日頃、ここまで真剣に、丁寧に、人に向き合いコミュニケーションをしているのか。そして、人を大事にできているのか。橋本さんの姿を通して、自分自身のあり方を考えさせられます。

 研修会では、橋本さんが捉えている「きく」「はなす」ということがどういうことなのか、「橋本さんとの場」を共有することで体感できると思います。

 

 橋本さんは長年カウンセラーとして経験を積まれ、近藤さんは長年プロジェクトマネージャーとしての経験を積まれ、一見すると真逆の世界で経験を積んで来られてきたわけですが、行き着いた先は「きく」「はなす」ということを本質的なところで大切にされています。

 「きいて、はなして、つくる 神髄を学ぶ!」をテーマに今年度開催してきた研修会の最終回として、最もふさわしく豪華な講師陣だと自負しています。また今回のテーマ「いなかビジネスマネジメント」を捉える上で、講師お二人の視点がヒントになるのではないかと主催者としても期待しています。

 

 なお、研修会では講師の方々が、一方的にノウハウを伝えるために講演するような場はつくりません。上記した「円坐」のように、その場に出てくるお一人おひとりの言葉に対して、講師も参加者も一緒になってみんなで向き合い、お一人おひとりのこれまで生きてきた経験を踏まえてお話できる場にしたいと思っています。

 お集まりになる人々や話す内容によって、楽しくお話する場になるかもしれませんし、シリアスな場になるかもしれません。活発な議論があったり、沈黙した時間が流れたりするかもしれません。それらすべてを「学び」と捉える研修会にしたいと思います。

 

 今回だけの参加も歓迎ですし、これまで合同研修会へ参加された方の参加も大歓迎です。研修会で学んで、現場でやってみて、うまくいったこと、うまくいかなかったことなど、ぜひ共有しに来て下さい。今回も全国各地からご参加をお待ちしています!

 

開催概要

 

日程

2017年 3/4(土)14時30開始〜3/5(日)16時終了 (1泊2日)

  • ※通える方は宿泊なしで受講もできます。
  • ※研修終了した翌日(8:30-12:00)に希望があればオプショナル視察ツアーを行います。

 

会場

シマントシェアオフィス161(旧・広井小学校)
高知県高岡郡四万十町広瀬583-13
https://goo.gl/maps/kBlhA

  • ※最寄り駅は、JR十川駅です。(駅にはお迎えにあがります)
     高知方面から 高知駅→窪川駅→十川駅14:08着
     愛媛方面から 松山駅→宇和島駅→十川駅13:05着
  • ※関東関西圏からは、夜行バスで高知駅へ来ると格安です
    高知駅→窪川駅→十川駅10:41着
  • ※飛行機でお越しの際は、高知空港か松山空港をご活用下さい松山空港には、ジェットスターやピーチが就航しています。
  • ※お住まいのところからどのルートで来ると時間に間に合うかお知らせできますので、お気軽にご相談ください。

 

対象

  • 地域の中で「いなかビジネスマネージャー」のような役割を担っている方
  • これから「いなかビジネスマネージャー」の役割を担い仕事をしていこうと考えている方
  • 地域おこし協力隊として、「いなか」で仕事をしている方
  • これから地域おこし協力隊として仕事をしたいと考えている方
  • NPO・地域団体などの地域活動で事務局を担当されている方
  • 「いなかビジネスマネージャー」や地域おこし協力隊を地域の中に増やしていきたいと考える行政職員の方

 

定員

12名(先着順・要参加申込)

 

参加費

28,000円(税込)

  • ※往復交通費・食事代等は含まれていません。
  • ※宿泊については、いなかパイプ宿舎をご利用の場合は、参加費に含まれていますが、近隣のホテル・民宿をご希望の方は、別途料金が必要になりますが、ご紹介できますのでご相談下さい。
  • ※オプショナルツアーをご希望の場合は別途参加費(2000円)が必要です。

 

Step5の流れ(予定)

【1日目】

14:00 受付開始
14:30 オープニング・セッションスタート
15:00 セッション1@室内
16:10 休憩
16:20 セッション2@室内
17:30 1日目終了→懇親会へ

【2日目】

8:30 セッション3@室内
9:40 休憩
9:50 セッション4@室内
11:00 休憩
11:10 セッション5@室内
12:20 昼食-四万十川を眺めながらお弁当
13:20 セッション6@四万十川を眺めながら
14:30 休憩
14:50 セッション7@室内
16:00 終了
  • ※研修の流れは、参加者や天候の状態に応じて、変更します。
  • ※せっかく四万十まで来て頂いくので、四万十川中流域のいなかビジネスの現場も見て頂けたらと思い、研修終了翌日午前に、オプショナル視察ツアーを開催したいと思います。ご希望の方は、申込と合わせてご希望をご連絡下さい。

 

お申込み・お問い合わせはこちら

 

主催

一般社団法人いなかパイプ http://inaka-pipe.net/inaka-pipe/

office@inaka-pipe.net Tel/fax:0880-28-5594
〒786-0534 高知県高岡郡四万十町広瀬583-13

企画協力

池澤良子(ひとことワークス) http://blog.livedoor.jp/ikezawaryoko/