田舎ならではの贅沢
2012/07/08
- 執筆者 岡峯由希子
- 所 属株式会社四万十ドラマ
ある朝、6時02分実家の父からメール。しかもうごめくウナギの動画付。
「今日は大漁 12つけて、パアヘクト。3キロ位。」
ウナギが大量よりも、お父さんが動画付のメールを送れることにびっくり。
コロバシを12本つけて、全部にウナギが入っちょったらしい。
ウナギのえさは生きた普通のミミズか、青光りする巨大なシーボルトミミズ、
由来はわからんけど地元では「かんたろう」と呼びます。
この時期になるとお父さんは暇さえあればミミズを掘っています。
地元ではコロバシと呼ばれる漁具を使い、生きたミミズを入れて水中ににころばします。
コロバシは別の呼び名で「鰻うえ」とも言うらしいですが。
写真のように木で作った四角い筒状のものが多いですが、
私のお父さんは竹を細く切って編んだ丸いコロバシを自分で作っていました。
ミミズの臭いに釣られて入ったウナギが出てこれないような仕掛けになっています。
岩の間とか、ウナギがいそうなところに仕掛けますが、
昔は岩も何もない膝くらいの水深のところでも必ず入りよったとお母さんが言いました。
お母さんが小さいころは、お小遣い稼ぎに自分でミミズを掘ってコロバシをつけてウナギを獲ったそうです。
昔に比べるとやっぱり獲れる量は減ったみたい。
今年の初物なら食べな~ってことで、実家へ。
早速お父さんがウナギをさばいていました。
慣れちゅうお父さんは簡単そうにさばくけど、相当難しいです。
●ウナギのさばき方(お父さん流)
1.バケツにウナギを入れ、そこにお酒か焼酎を入れウナギを酔わす。
2.ほろ酔いになったところで、隅に穴の開いたまな板に乗せ
ウナギのえらの辺りにキリを刺しまな板の穴にも刺して固定する。
3.うちは背開きにするので、首の辺りから包丁を入れ背骨に沿ってジョリジョリと一気に包丁を下ろす。
この時、ウナギが動かないように新聞紙やきゅうりの葉っぱなどを使って固定する。
4.はらわたを包丁で削ぎ取り、包丁を背骨にあてながら
少し上にひっぱるようにして背骨をとっていく。
5.切り身は一度白焼きにした後、タレを何度かつけながら焼く。
白焼きしたものを、わさび醤油で食べるのもお勧めです。
骨も塩コショウをして、焼くか揚げるとビールのおつまみになります。
うちではみんなそんなに食べんのに、ごっそり焼いてお皿にてんこ盛り!
なんだかあんまり有り難味を感じない。。。
お父さんは、ウナギを獲るのが趣味というか楽しみで自分ではほとんど食べません。
夏が終わるころまでウナギを獲り続けますが、そのうち家族は飽きて誰も食べなくなります。
なので欲しい人にあげたり、お客さんが来たときだけ、ウナギが登場します。
贅沢ですが、田舎の特権です。
ウナギ食べ放題がどうこうよりも、こういう環境に住んでいることが有難いというか幸せですね。
昔から比べると変わってしまったと思いますが、今の環境をずっと守っていけたらいいなと思う今日このごろでした。