夏の過ごし方
2013/08/30
- 執筆者 本澤侑季
- 所 属馬路村農協
タイトルを『夏の過ごし方』としたものの、
もう夏も峠を越えて少しずつ秋の空になってきていますが・・・。
今年学んだ馬路村民の夏の過ごし方で来年の猛暑も乗り切ろうと思います!
今年の夏は、日中がとにかく暑く、そして驚く程に雨が降りませんでした。
馬路村の夏といえば、朝カラッと晴れていても昼から突然土砂降り、夜中に突然土砂降り、という風に容赦なく滝のような雨が降るのが普通なのですが、今年はいくら待っても雨が降りません。
昨年は雨が多かったこともあり、土砂崩れが頻発し悩まされましたが、雨が降りなさすぎても農作物や川に悪影響が出てしまいます。
『葉っぱが巻いてきゆうし、このままじゃあ実も縮こまる。』
と、柚子の心配をする声があちこちで聞かれました。
例年水やりをしなくても豊富な雨のおかげですくすくと成長していた柚子ですが、
土の水は乾ききり、葉も巻きかかっている状態で、村内放送からは異例の水やり推進の放送が流れました。
また、川の水も激減し、漁をする人たちからは、
『鮎が水の深いところへ行ってしもうて、いつもの場所におらん。』
という声を聞きました。そんな暑かった夏ですが、
今回は、この夏目の当たりにした馬路村民の夏の過ごし方をご紹介したいと思います。
夏の過ごし方その1: 川で過ごす
大人にとっても子どもにとっても、夏の絶好の遊び場は川です。
6月1日には鮎の友がけ漁が解禁になり、村のおんちゃんたちは毎日のように川へ入ります。
友がけ漁とは、針をつけたおとりの鮎を泳がせ、縄張りを守ろうとして向かってきた鮎がおとり鮎の針にかかって釣り上げられるという、鮎の縄張り意識を利用した漁の方法です。
いかに鮎を泳がすかがポイントだそうです。
▲朝早くから来て半日ほど川で過ごす人もいます。
8月1日は鮎のしゃくり漁が解禁します。
友がけ漁より短い竿の先には針と重りがついており、それを川の中に沈めておき、ハコビンという箱メガネで水中の鮎に狙いを定めたところで一気に釣り上げます。躊躇すると鮎を逃がしてしまうそうです。
▲右手には釣り竿、左手にはハコビン(箱メガネ)を持って水中の鮎を狙います。
そしてもちろん、子どもたちの遊び場も川です。
夏休みになると皆こぞって川へ行き、チャンやモリで魚をついたり、大きな岩から飛び込んだりします。
▲おじいちゃんの鮎釣りについて来て川魚のゴリが5匹とれたようです。
暑い夏も川で過ごすと涼しいものです。
夏の過ごし方その2: 涼しいうちに動く
この夏、村の人々の面白い習性のようなものを見つけました。
昼間の暑いうちは、畑にも道端にもほとんど人の姿が見えないのですが、
夕方5時頃涼しくなってくると、今までどこに隠れていたのだろうと疑問になるくらい、
道や田んぼ、畑、家のそばなどに人が現れます。
夕涼みをするために川辺や神社で涼んでいる人もよく見かけます。
そしてどの人も、口をそろえて『涼しくなったき出てきた。』と言います。
▲夕方4時頃、草むしりに出てきたそうです。『暑いうちは外へ出られん!』と断言。
草刈りや田畑の手入れは夕方涼しくなってから行うようですが、同様に、朝6時頃の涼しい時間帯にも田んぼや畑で人が活動しています。
どうやら、夏の暑さをうまく乗り切るには『涼しいうちに動く』が鉄則のようです。
朝夕はヒグラシの鳴き声が風鈴がわりにもなり、涼をとるにはもってこいです。
来年の夏こそは、今年学んだ『川で過ごす』と『涼しいうちに動く』の戦法で上手く猛暑を乗り切ろうと思います。
しばらく水不足が心配されましたが、ゆずも秋に向けて成長中です。