小さな保育園の最後の卒園式
- 執筆者 多田朋孔
- 所 属特定非営利活動法人地域おこし
2014/04/07
去る3月21日にうちの子供を預かってもらっている北原保育園の卒園式と閉園式、茶話会、北原保育園を語る会、大慰労会が行われました。
3月いっぱいで保育園が廃園になるという事で、閉園式が卒園式と合わせて行われました。
十日町市の方針としては保育園を出来るだけ民間に任せようという事で、公立の保育園を順次減らしていく考え方になっています。実態としては、私立の保育園だと採算が合う・合わないという観点からなかなかできないような事が公立の保育園では対応して頂くことが出来たりするので、保護者の方々の意見としては公立の保育園も残してもらいたいという声が多いです。
ですが、市は形式的に保護者への説明会をし、パブリックコメントを集めた上で、当初の方針は変更せず、1年間廃園にするのを遅らせるという形で対応し、2014年3月末をもって北原保育園が廃園となってしまいました。
今回は子どもが少ない田舎の1つの実態をご紹介するという事で、この北原保育園の卒園式・閉園式・茶話会・北原保育園を語る会・大慰労会について記事を書かせていただきます。
3月21日は朝から晩まで保育園一色の日でした。
朝、8:30に保育園に集合し、9:00から卒園式が行われました。
卒園式では6名の園児が卒園しました。うちの長男の和正も今年卒園となります。
園児が入場し、
舞台に並びます。
お母さんが後ろに立ち、卒園証書授与です。
これまで北原保育園は36年年間で344人が卒園しました。
卒園児による合唱では、ほろりときてしまいました。
その後、今年で閉園する事になっているため、在園時の修了証書の授与も行われました。
うちの次男の幸弘も証書をもらいました。
この日は幸弘もビシッとした格好でした。
卒園式の後は閉園式でした。
地域の方々や歴代の卒園児関係者の方々も大勢いらっしゃってました。
とても地元に密着した良い保育園であった事がうかがわれます。
市長も来て挨拶をしました。
閉園という事で、看板が取り外され、運ばれてきました。
もうこれで保育園が無くなってしまうという事になるのですが、まだ実感が持てませんでした。
閉園式が終わると、茶話会がおこなれました。これは先生方と保護者達で行いました。
茶話会では保育園の思い出の写真のスライドショーが流されました。
とても素晴らしい編集で、園児達の生き生きとした写真や、最後の年だという事で行われたキャンプ、まつだいロ・マン(24時間耐久リレーマラソン)、ありがとう北原保育園の時の写真も流れ、先生方も保護者も当時を思い出して涙を流していました。
最後の年の色々な行事では保護者の方々がそれぞれにご自分の得意分野を活かして保育園行事に関わり、そういった面も素晴らしい1年だったと思います。
先生方からもご挨拶を頂きました。
閉園が決まっている中で様々な思いを持ちながら毎日園児達と接して下さっておられたんだなあという事が感じられる皆様からのお話でした。
看板が外された後の玄関の様子です。非常に寂しくなった気がします。
その後、一旦会場を変えてラポートにて「十日町市立北原保育園思い出を語る会」が行われました。これは市長や市の職員の方々、地域の方々や歴代園長先生や現役の先生方などと父母の会の役員が参加しました。
ここでも茶話会で流したDVDを見ました。
お酒が入っていた事もあったのか、茶話会の時よりもさらに涙を流してしまいました。
その後、現役の先生方と保護者が集まって同じくラポートで部屋を変えて大慰労会が行われました。
さらに2次会はスナックにて行われ、大盛り上がりでした。
保育園は無くなってしまいましたが、先生方と保護者の有志で「わくわくきたほ」の会が結成され、今年の夏にキャンプ、10月にまつだいロ・マンに出ようという話が出てきています。
皮肉な事ではありますが、今回の閉園問題によって先生方や保護者同士の結束がある意味強いものになったという事はいろんな方がおっしゃっています。
保育園が閉園になってより遠くの保育園に預けざるを得なくなってしまうという事は仕事をしながら子育てをする父母としてはより大変になります。子育てをしやすい環境を整えるという事は若い子育て世代が中山間地で生活を続けていくためにも重要な事であり、若い人達が中山間地で生活を続けていく事が出来なくなると、今の高齢世代が頑張って耕作している土地も今後耕作放棄されていく事につながります。
全ての事は連鎖的につながっており、高齢世代の問題から若い世代の問題まで全て当事者じゃないから関係ないというわけにはいかないのが中山間地で暮らすと実感します。そして、この事は実は中山間地だけではなく、日本中ほとんどの地域で似たような状況になっていると思います。(似たような状況ではありながら各地域毎に個別で全て違った面もあり、画一的な対策は難しいと思いますが。)
なので、各地域が各地域の問題を自分事としてどのように解決していくのかを行政任せとか国任せにするのではなく、住民として行政や国にも働きかけながら現場目線で取り組む事がとても大切であると思います。
今回の閉園は一つの事実として受け止めた上で、北原保育園関係の若い人達(この辺の田舎だと保育園の保護者ぐらいの年齢はまだまだ若手です)のつながりを今後も大切にし、子供も含めてより良い地域を作っていく事ができるようにしていきたいと思います。