まもる。つかう。そだてる。
2014/05/29
- 執筆者 松岡人代
- 所 属四万十農業協同組合
こんにちは。今回は、帰省中に出会った建物について書かせていただきます。私の地元・滋賀県甲賀市。(こう「か」市なのです) ネットをしていてたまたま見つけた「春の日マルシェ」の開催場所は旧水口図書館。滋賀県甲賀市水口町本町1(水口小学校内)
関西での手作り市の開催場所といえば。お寺・神社・屋外、京都・大津…のイメージしかなかった私。甲賀で手作り市!?と、びっくりしつつも。ひとまず行ってみることにしました。
あいにくの雨でしたが、大盛況。建物の雰囲気に一目惚れ。そして、売り物ブースではなさそうだけれど。気になるスペースを発見。
可愛さに見惚れていたら。声をかけてくださった方が。そこからこの建物が「ヴォーリズ建築」であるということや。保存会の皆さんから依頼され、活用方法を模索中であることを知りました。
「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ」アメリカ生まれ。英語教師として来日後、日本各地で西洋建築の設計を数多く行った建築家。滋賀県近江八幡市を拠点に活動。(wikipediaより)
この旧水口図書館。普通の公民館のように、借りることができます。 1回500円~。飲食持ち込みOK。市民以外の利用もOK。など。この雰囲気でその値段はお得!
そこからいろいろお話。もうひとつ見せてもらったものがこちら。
作成された「甲賀のかわら版」 http://news.kokashi.net/
地方のことを知りたい、と思ったとき。イベントというより生活情報を知りたいと思ったとき。いろいろなサイトが点在していて、どう調べたらいいのかわからない。と思っていました。
四万十町どうこう、の前に。甲賀市に住んでいたときから。5つの町が合併して、甲賀市になったということもあり。旧町でのそれぞれの特色が、まだうまく融合できていないイメージ。個性の強いものをひとつにまとめるのは…それが何であっても大変です。笑。
でもこんな風に、見せ方ひとつ。まとめ方ひとつで、使い勝手は変わるんやな、って。その他、紙質や、WEB上での情報発信に対する思い、など。マニアックなことをいっぱい話し、もう。熱がでそうなほど、テンションがあがりました。
そして。半日、貸切をお願いすることに。午前中・全館・冷暖房使用ナシ。1500円。
外観。
中に入るとこんな雰囲気。
左手ドアを開けると…
ご好意で、流してくださっていたCD。
この場所で琵琶湖よし笛コンサートをされた方のものだそうです。
友達と会って喋る。とか。子どもの誕生日パーティとか。(食べ物・飲み物持込OK!)
会議。(この雰囲気の中で行ったら素敵なアイデアが浮かびそう)
写真撮影。個展。コンサート。
ヨガとか、そういうのもいいかも。(やったことないけど)
いろいろ写真を撮っておこう。と、うろうろ。
父のカメラは、この建物の雰囲気に絶対あうはず。と、家から持参。
レトロな窓辺にぴったり。
小学校の付属図書室として建設された当時の名残を感じます。
渡り廊下として昔は繋がっていたのでしょう。ドアもかわいい。
テーブルの上に飾られている花。こころなごみます。
ひとしきり写真を撮って満足したあとは。ごろん。と、床に。
純粋に、気持ちよかったです。なにもしない、贅沢。
天井の高さ。窓から聞こえる鳥の声。時折入ってくる心地よい風。
ヴォーリズさんが大事にしたという「風の流れ」。
大事にされているのは。風だけではなくて。時間も。
古くからある建物に入ると、ほっとするのは。
それだけたくさんの人を受け入れてきているから。
包容力が桁違いだから。かも。
建物を借りたい場合の詳しいことはこちら。
公式サイト。 http://kyutosyo.exblog.jp/20670251/
利用申し込みはメールで。 m-kyutosyokan@excite.co.jp
簡易キッチンや冷蔵庫、ポット。ピアノなど備品も使用可能。
このWEBサイトに記事載せたいんです!お話きかせてもらえませんか?と、きいたのは。建物に一目惚れした、という理由がひとつ。そして、「保存」だけが目的なら、決まった日時だけ一般公開を行って。こんな風に、誰でもが使えるようにしない、ほうが良いのかもしれないけれど。そうではなくて、人が利用しながら、保存していくこのスタンスが。とても素敵だな、と思ったから。
一昨年、私はいなかパイプさんの1泊2日ツアーで初めて四万十町に来ました。そのときに、四万十川について聞かせてもらった言葉で、印象的だったこと。「水がきれいなだけなら、人が立ち入らない場所がたくさんある。けれど、人がそこで暮らして、利用しているから文化が育っていく」それが、不意によみがえって。見ただけより。触れたほうが、過ごしたほうが、感じたほうが。ずっと記憶に残ります。 一定の決まりはあるとはいえ、不特定多数に開放することは。リスクも伴うことだと思うのですが、でもそれ以上に、お互いに得るものもあるのではないかな、と。
なんとなく行ってみた春の日マルシェからのご縁。主催は旧水口図書館保存会の「稚木の会」。企画は会の一員である美容師の森田さん。美容室で最初行われていた秋の日マルシェ。お客さんに喜んで欲しい、という思いから生まれたそれは。春の日マルシェへと変化しました。この建物で行ったことで、お客さんはもちろん、出店する側のひとのテンションもあがったことが嬉しい、と。
毎月第2火曜日には、「ヴォーリズ火曜喫茶室」を開催。
次回は6月10日。13時~19時。
お代はいただかず、旧図書館への協力金としてお願いしています。
とのことです。
「地域の情報発信がしたい」「自分の住んでいる地域が好き」JAだとか、町だとか、個人だとか。そんな括りも関係なく。移住者だとか、結婚して来たとか、昔から住んでるとか、年齢とか。そんなことも関係なく。そう思っているひとは、ひそやかに、たくさんいるということを実際感じた嬉しさ。
「滋賀県民は新鮮な魚に飢えているから、おさかなマルシェをやりたい」(JA関係ないですか?でも海鮮丼になればお米とかミョウガとか使うし) 「四万十の野菜と、甲賀の野菜のコラボとかおもしろそう」広告費を極力使わずに、広告するには。インターネット上は更新が便利だけれど、お年寄り向けに紙媒体も必要。などなど。実現可能かどうか、はさておき。こんなことを、年上のひとたちと話せたことが、不思議で楽しかったのです。
「好き」「楽しみたい」「楽しんでほしい」それだけで、全てのいろんなことがクリアできるほど。世の中甘くはないけれど。でもやっぱり、そんな感情を原点にずっと持っていたい。
話を聞いて、文章を書くことが好き。ガンガンお酒飲みながら、一気に輪が広がる高知流をすごい、と思いながら。こうやって1針1針縫っていく、みたいなほうが自分の性にあう、と実感。改めて、自分の好きなことを再確認するきっかけにもなりました。
旧水口図書館。内部公開日もありますのでタイミングがあえば、ぜひ一度。建物と時間を体感してみてください。 階段の段板の下には吸音のためにもみがらが入っていること。2階のベンチは深く腰掛けられるように、少しななめになっていること。などなど。いろんなところにこめられたヴォーリズさんのこまやかな気配りについても、保存会の方から詳しく聞くことができると思います。
開館・貸館状況はこちら。
http://kyutosyo.exblog.jp/i12/