対馬での一年間
2015/10/05
皆さま、お久しぶりです。一般社団法人MITの佐原です。これまでにない速さで時が流れ、初めて対馬に来てから一年が経過しました。
対馬に降り立った初めての日
日々の流れの中に居ると、一日も一週間も一ヶ月も本当にあっという間に過ぎていってしまったのですが、こうして思い返すと、なんだかとても長い一年間だったなあ、という感覚もあります。今回は、対馬での一年間を振り返ってみたいと思います。
胃袋を掴まれる日々―
本当に美味しいものを知ることは、自分の価値観を大きく変えることだと思います。豊富な品揃えのスーパーやコンビニで購入し食べられるものは、本当はとても限られていること。最近、ようやく分かってきたことです。
対馬に行ってから食べられるようになったものも沢山あります。例えば、イカの刺身。これまでは、私の中でイカの刺身は、「真っ白い色をしていて、無味で、噛み切れないもの」でした。ですので、自ら進んで食べたいものではありませんでした。しかし、対馬に来て新鮮な色、食感、味を知り、今ではガッチリ胃袋を掴まれております。
イカって、透明なんだ…噛み切れるんだ…美味いんだ…。
ウニもそうです。これまでは、私の中でウニは、「苦くて、臭くて、(高いのに)不味いもの」でした。ということで、完全に嫌いなものでした。しかし、対馬は私に、ウニは甘くて、濃厚で、美味しいということを教えてくれました。
痛風注意
これまで好きになれなかったものは、ただ、本当の味を知らなかっただけのことだったのです。この発見は、小さなことに思えて、とても大きなことだと思います。
対馬の晩餐
椎茸は“森のアワビ”とは、よく言ったものです。
思えばこの一年、野菜を買ったことがないのでは…
本当に梅が干されている…!
友達も掴まれた
忘れられないがんも
わかめのカーテン
人生初の仕事―
私の人生初仕事は、今後、対馬で“民泊”を推進していくために、モニターツアーを企画して実施することでした。私自身、民泊というものがどういうものなのかよく分からないまま、まずは対馬全土に点在する民泊の運営状況や、そのご家族がどんな想いでされているのかを知るため、民泊全軒のヒアリングに周りました。その後も、何度も各民泊さんのところへお伺いし、一緒に話をし、身体を動かし、自分で色んなことを体験してみることからやっていきました。その方法しか分かりませんでした。
そうして、各民泊さんの人となりやそこで出来ること、また、対馬の民泊が抱えている問題などが少しずつ分かっていきました。企画・立案、そして実施までかなり長い時間が掛かってしまったのですが、最終的に、『「民泊体験」モニターツアー 対馬を暮らす旅』という、「対馬の人の生き方や価値観に触れてほしい。」「本当に美味しいものを知ってもらいたい。」をコンセプトとした旅を形にすることができました。長崎県と対馬市の職員の方々、民泊家族の方々といった、ツアー開催に至る全ての方と協力し、やっと、創りあげた旅です。
ツアーのチラシ
実際に実施するまで、今の自分がどこまでのものを提供できるのか不安の方が大きかったのですが、参加者の方々や民泊さんの笑顔を見て、とても安心したのを覚えています。
ツアー開催中の様子
参加者来島直前(この時、緊張MAX。顔はアンパンマン。)
対馬の郷土料理「ろくべえ作り」(ベテランの民泊さんの手際の良さ。かなり心強かったです。)
イカ釣り漁師のお父さんによる「イカたたき体験」(キュートなお子様も参加して下さいました。思えば、この子にはかなり精神面で救われたと思います(笑))
「原木しいたけ狩り」(美味いしいたけを食おうと、自分自身も本気で採りました。)
現役の炭窯
最高の景色に五右衛門風呂(いつか全身で浸かってみたい…。)
これこそ川の字
吊り橋にて
みんなで食卓を囲む
お別れの時間
どこの民泊でも愛されるアイドル
集合写真(本当に、素敵な方々ばかりでした。)
生涯、忘れられないこと―
このツアーに参加してくださった方の中に、ツアー参加がきっかけで田舎で働くことを考え、現在は地域おこし協力隊として活動されている方がいらっしゃいます。その方から連絡をいただいた際は、本当に驚きました。
まだまだ何も出来ない若造ではありますが、私の仕事が誰かの人生の転換となる場をつくっていたことを知り、とても心に迫るものがありました。いざ、自分の内にある想いと、現に自分が出来ることを比較した時、あまりにも出来ないことばかりで愕然としていた私にとってこの出来事は、今後も何かでぶれそうになった時に戻れるところを与えてもらったようでした。
この一年は、とにかく、今の自分の限界を嫌という程突きつけられ、様々な場面で自分を信じることができませんでした。しかし、そんな中でもやってみたことというのは大きな意味があり、これまで気付かなかった、今後自分が出来そうなことが見えてきたような気がします。
学校を休学をして対馬に行った為、現在は復学し、学校のある新潟県の妙高市に居ます。卒業までのこの半年間は、一つでも多く、やりたいことをできることに変えられるよう、大事に、大事に使いたいです。
対馬でお世話になった全ての方々に感謝し、再び学ぶことのできることに感謝し、そして、再び努めたいと思います。