一日限定食堂“ヤドカリ食堂”
2015/11/18
- 執筆者 横山萌美
- 所 属西会津町地域おこし協力隊
みなさん、こんにちは。福島県西会津町地域おこし協力隊の横山です。紅葉の美しい季節はあっという間に過ぎてゆき、待ってはくれない季節を相手に、みなさんせっせと畑の農作物を収穫、雪囲いの準備をしている姿を町のあちこちでみかけます。
会津の特産物である「身しらず柿(身不知柿)」というちょっと変わった名前の柿があるのですが、こちらも旬でとても美味しい時期を迎えています!
柿ってそこまで美味しいものというイメージが私の中になかったのですが・・会津に来て、この身しらず柿を食べて初めて「美味しい!!」と心から思ったほど、めちゃくちゃ美味しくて驚きました。
身知らず柿の名前の由来は、柿の木が重みで折れてしまうほどの大きさのたわわな実を付けることから名付けられたという説。あまりにも美味しい柿なので身の程知らずにたくさん食べてしまう人間の様が由来とされる説や、昔々身知らず柿を足利将軍に献上した所「未だかかる美味な柿を見知らず。(こんなにも美味しい柿を私はいまだかつて知らなかった)」と将軍が絶賛し、気に入って名付けたという説などがあります。また現在では皇室への献上柿としても非常に名高く、会津のみならず全国からお取り寄せのリピーターが付くほどの有名な柿です。
柿の説明が長~くなってしまったのですが、、今回は、西会津国際芸術村の木造校舎を間借り(ヤドカリ)した一日限定食堂“ヤドカリ食堂”のご紹介をします。
会津に暮らすとある、じいちゃんの言葉「遠くは近くて近くが遠い」という非常に奥深い言葉が、実は食堂の「テーマ」になっています。
そして、遠い異国の料理を地元野菜や特産物など私たちの近くにある食材を使い、近い場所で、遠く異国の料理が食べられることがコンセプトでした。
今回の食堂の店主を務めるのは、神奈川県在住のマキノアツミさん。都内でパンづくりをされています。
今年3月に初めて西会津町を訪れ、西会津国際芸術村とそのスタッフとつながり、9月にも再び西会津町を訪れ、毎回地元の食材をつくるアツミさんのおいしいパンに感動していました!そのたびに私たちは「こんなにおいしいパンが西会津で食べられるなんて幸せだぁ~」「アツミさん西会津でパン屋さん開いてくださいよ~」なんていう会話をしていました。
そんなアツミさんと芸術村スタッフの交流の中で、アツミさんの持つ「東京で自分のお店持ちたいな」という言葉と「芸術村でカフェができたらいいよね」という想いがつながり今回の一日限定食堂のアイディアが生まれました。
食堂で使われている食材(野菜)のほとんどが、芸術村スタッフであるクミさんが地元でつくっている野菜です。クミさんが育てている野菜は、多種類!!当日、食堂でも販売されていました。
カラフルな野菜たちはどれもおいしそう。ヤドカリ食堂は前日の仕込みから大忙し。アツミさんはオーブンや発酵機など様々な道具をご自分で用意、芸術村へ持ち込んで食堂がOPENできるように準備は進められました。食堂の仕込みは深夜、いや徹夜で朝まで・・!? 急ピッチで行われていたそうです。
そしてOPEN当日。アツミさんのご主人や友人ご夫妻がスタッフとして加わり、朝から仕込みや会場準備のラストスパート!
無事に11時のOPENを迎えました。
私も、OPENを待ちわびていたお客の一人です。
MENUは、、
*ベトナムサンド(ブタorトリ)
*長谷川家の山芋スープ
山芋スープは会津の郷土料理からヒントを得て、ホタテでだしをとっていて優しいお味。ほんとにおいしかった~!
*ベトナムコーヒー
*スパイシーアップル
*カボチャのポタージュ
*クミさんのコーヒー
*アツミさんのパンいろいろ
使われている野菜は、山芋・紅芯大根・にんじん(オレンジ・黄色)・玉ねぎ・紫たまねぎ・早戸ウリ・下仁田ねぎ・島とうがらし・長カボチャ・にんにくなどなど。。。どれもクミさんが丁寧に育ててきたお野菜たちで、そのお野菜たちがアツミさんの手によってさらに丁寧に作られたパンやキッシュ、スープなどに変身していく。
「地元のおいしい食材が美味しい」だけでなく、さらにお洒落に提供されると
「西会津じゃないみたい!」
そんな言葉が訪れた人々の口からこぼれるほど。そしてみんな味わうと笑顔になって。この日は、ちょうど地元で「新そばまつり」が開催されていましたが、
「新そば食べてから来ました!」
「新そばまつり行く前に来ました!」
とヤドカリ食堂と新そばまつりをはしごするお客様続出!笑 町内外から子どもから大人まで40人以上の方が「ヤドカリ食堂」を訪れ、大盛況の一日でした。そして‥早くも次回の「ヤドカリ食堂」開店を待ち望む声が聞こえてきています!
こんな風に地域で空き家や空き店舗を利活用して、「1日限定の食堂・お店」ができたら、お試しできたら面白いですよね。地方で暮らす私たちにとっても刺激となるし、楽しみながら「地元の人×ヨソモノ」が交流できるのでとってもいいですよね。
今回、ヤドカリ食堂をお手伝いしていた地元スタッフに後日、話を聞いてみたところ。
「仕込みや準備、運営など大変だったけど、やってみて本当に気持ちよかった。楽しかった~!」
「1ヵ月に1回は無理だけど、またやりたいな」
と充実感に溢れた数日間だった様でした。今後もアツミさんのように、西会津町と関わってくれる「風の人」が増えていってくれるよう“出会い”や“つながり”を日々、大切にしていこうと改めて思う機会になりました。