2015年を振り返って

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執筆者 小林恵子
所 属おばあちゃん文庫

2016/01/18

 

 新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。旧年中は、たいへんお世話になりました。いなかマガジンの各地域での取り組みからも、たくさんの学びや元気やわくわくをいこただきました。ありがとうございます。たくさんの支えや学びのなかで、日々過ごせましたことを心より感謝いたします。本当にありがとうございます。

 私は、岡山で、~えん(縁)もたけ(竹)なわ~竹薮を活かして、認知症の人の『居場所』と『出番』と役割作りに取り組んでいます。

 

放置竹林

 

 お百姓であった祖母たちが、これまで自分たちで守ってきた山が守れなくなりました。時代の流れだから仕方がない、と何十年も、そのままにしていました。徐々に生命力の強い竹は、山にどんどん広がり、桃畑にも竹藪は広がりつづけ、いわゆる放置竹林となりました。

 放置竹林が広がり続けると、山は竹ばかりとなり、これまで生えていたフキノトウなどの野草は追いやられ、これまで住んでいた昆虫なども住めなくなり、山の生態系が崩れます。また、山に実のなる木が減ることで、エサのなくなったイノシシやサルなどが山から降り、畑を荒らしたり、民家におりてきたりする獣害につながります。害をこうむっているのは、山に餌のなくなった、イノシシやサルなどであります。

 

 祖母たちが認知症になる5年前までは、竹藪について関心も持っていませんでした。曽祖母たちは認知症になってから、これまで心配し続けていた、胸に秘めておりましたことを話し出すようになりました。おそらく何十年も気にかけていたことです。畑のこと。山のこと。竹藪が広がり、山が荒れてきていることなどでした。寝耳に水で、あまり何度も言い出すので、私なりに竹藪のことを調べ竹細工教室に行き始めました。

 また、祖母たちは、日中やることがなく、テレビの守り。どんどんできないことが増え、わからないことも増えていきました。そんな中、「そうだ葉っぱを売ろう」の本に出会いました。徳島県上勝町の「葉っぱビジネス」についての本です。

 地域にたくさんある葉っぱを地域の資源として活用をし、おばあちゃんたちができる仕事を通して、お元気になっていらっしゃるという本でした。仕事を通して毎日が楽しいと言っているおばあちゃんたちがいる!というお話は、目からうろこ。鬱々としている祖母たちの生活の日々。闇の中から一気に光を見た思いでした。

 

 研修に行かせていただける機会に恵まれました。1月の研修を通し、お元気の秘訣は、『居場所』と『出番』と『役割』があることであると学びました。パソコン、ファックス、タブレット、たくさんの情報機器を駆使してやる気にみなぎっておられました。まだまだ数えきれないほどの工夫によって、「仕事が楽しい」「毎日が幸せや」と町の方々は生き生きと生活をされていました。家に閉じこもり、陸の孤島のようになっている祖母たちの生活とは真逆で、人と人、人と自然、人とお金、人と情報などのたくさんのつながりがありました。

 私は、地元に山もりある竹藪を使ってできることはないかと考えました。竹藪のことを調べ、竹細工を習い始めました。また、各地に竹の学びに行かせていただける機会に恵まれました。

 

それから5年たちました・・・

 

今年は、

 竹ビーズを使ったアクセサリー作りのワークショップ

 はたき作りワークショップ

 竹ペン作り

 竹かえし(昔あそび)選手権

 照明作り

 竹藪のある山ごとを楽しむ 操山ワンダーランド

 タケノコパーティ

 干しタケノコ作り

 竹伐り

 竹炭作り(畑の肥料に)

 門松作りのワークショップ

 

などに取り組みました。

 

竹ペン

 

ワークショップでは、竹を通して、人とひと(お年寄りと子供)。人と自然、祖母たちと社会とのつながりができました。

 

竹ビーズを使ったアクセサリー

 

地元の老舗百貨店「天満屋」でワークショップをさせていただける機会にも恵まれ、祖母たちの誉れとなりました。

 

竹はたき

 

 祖母たちは竹を磨き、祖母たちが話していること、森のことなどを子供たちに伝えていくことで、子どもたちに森のことを知ってもらうよう取組みました。竹を使うことで、森は守られ、森は喜ぶことを伝えていきました。なかなか自然と触れ合う機会の減っているこどもたちには、すぐには竹のこと、森のこと、ピンとこないようではありましたが、実際に手にとっている竹の話でもあり、興味はもってくれました。

 ワークショップを楽しんでくれた子どのもたちが、少しでも森に関心をもち、山や自然を自分たちで守っていこうと思ってくれるようになれば嬉しく思い、企画をしております。

 

 竹細工

 

 おばば様たちは、竹ビーズが喜んでいただけることで、人さまのお役にたてたことは、本当に大きな張り合いになり、大きな喜びになりました。竹を通して、人とひと。人と自然、人と社会とのつながりができました。竹藪も祖母たちも喜んでいるように思えました。

 今年の総収入が1万円を超えました。たかが1万円、されど1万円です。89歳の認知症のおばば様。お金が出ていくことは日常でも、お金が入ってくるということは、大きな大きな希望となります。自分の手仕事で、人様に喜んでいただけ、さらに形になって返ってくる。それも、自分の心配してやまない竹を活用して。

 

 祖母

 

 人様に山への思いを伝えながら(私が代弁しております・・)仲間を増やしながら、大きな大きな喜びになっています。(今では私の喜びにもなっております)89歳にして、さらなる一花咲かせることができましたと思っております。

 欲を出し、来年は、もう二花、三花さかせられるようになります。祖母たちが認知症になったからこその、これまで封じ込めていた竹藪への思いがあふれだし、私と竹との出会いでした。

 竹藪のある山ごとを楽しむ「操山ワンダーランド」も好評でした。

 

操山ワンダーランド

 

 竹藪に5年前から、関心をもつようになり、竹藪のある山の歴史も調べました。操山は、古墳時代から栄えていた山です。古墳が十数個、神社仏閣もあります。実は歴史あふれる、素晴らしい歴史ロマンの山であることを知りました。もっと多くの方に、楽しみながら親しんでいただきたい、とトレッキング&タケノコバーベキュー&竹細工ワークショップなどを企画しました

 

竹に親しむ

今年、多くの方に竹に親しんでもらえる機会にも恵まれました。

 

竹藪が宝となりました。

 

 力不足ですので、もっともっと楽しく親しんでいただけますよう、これからも精進してまいります!来年も、竹藪も、認知症のお年寄りたちも、地域の宝となるよう取り組んでまいります。地域と言わず、日本の、世界の宝となるよう取り組んでまいります。

 2015年は、本当にありがとうございます。人とのつながりの大切さを肌で感じた1年でした。励ましあえるお仲間の大切さをほんとうに感じた1年でした。本当に、ありがとうございます

 2016年も、どうぞよろしくお願いいたします。ますます、各地域の輝く1年でありますよう。こころより、お祈り、応援をしております。

 

おばあちゃん

 

今年も、より良い一年でありますように。

 

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