私らしい生き方図鑑 第2回 大崎上島の山尻集落のライフスタイル

2016/02/03

 

あけましておめでとうございます。

広島県・大崎上島で山尻シェアハウスChikaraを運営しているマッツンです。

 

神峰山

 

 シェアハウスでは、元旦から神峰山に登ってご来光を見る「初日の出ツアー」を開催しました。大崎上島のシンボルでもある神峰山からは、山頂から中四国山脈がパノラマで見渡せ115の島々がうかがえる多島美を有しています。

 

初日の出ツアー

 

 元旦の天候は、快晴。島の方々でも10年に一度といわれる絶景は、素晴らしい一年の幕開けを予感させました。北海道、千葉、広島、仙台、愛媛、香川、大阪、台湾… シェアハウスの住人や、島に移住先を探しに来た方、正月休みで島に遊びに来た方々など17名の方に参加していただきました。

 

初日の出ツアー

 

 みんなが宿泊したシェアハウスは、神峰山の麓にある山尻(やまじり)という集落で運営させてもらっています。山尻集落(大崎上島のチベットとして親しまれている)は、島の中でも4番目に小さな限界集落。商店も自販機もない、この集落。実は、ぼくの生まれ育った集落でもあります。

 

大崎上島マップ

 

歴史は古く、集落の入り口には平安時代の平家の落ち武者の墓といわれるものもあり、いい伝えでは「平家の隠れ里」ではないかともいわれています。

 

山尻

 

 離島でありながら、海が見えない集落。しかしシェアハウスはかつての船大工が建てた木造建築をリノベーションして運営しています。天井造りが船底天井といわれ、船底をひっくり反した様な作りをしており、山間にありながらも、里海の知恵が詰まっているところが大崎上島の魅力をさらに深いものにしてくれています。

 そして、かつて集落の方々も船大工達と共に建てたといわれる古民家はかつての日本の山村集落に残る「結(ゆい)」の文化を感じさせてくれます。

 

新年会

 

 正月をすぎると、シェアハウスの住人やお世話になった方々を招いて新年会を行いました。農家さんからイノシシのお肉をいただいたこともあり、この日は猪肉BBQパーティー。シェアハウス住人「ゆかちゃん(上写真中央の女性)」の24歳の誕生日も祝いました。彼女は大学を卒業後、NPOチャリティーサンタでの活動で知り合ったことをキッカケに2014年11月にシェアハウスに移住しました。島の造船関係や児童保育でアルバイトをしながら、自分の豊かなライフスタイルを模索しています。

 

猪肉BBQパーティー

 

 仙台から来た現役大学生の「ましょー(上写真、一番右の男性)」は、シェアハウス近くの集落にある古民家に住んでいます。通称・山尻の妖精。2013年の東北からチャリンコ旅の途中で、大崎上島に来たことをキッカケに島に移住。島のホテルで派遣社員をしながら資金を貯め、昨年四国シーカヤック一周を制覇。超がつくほどのローコスト生活を続けながらも、宿泊先の古民家の改修を行いながら現在もフリーな生活を続けています。

 そんな彼と共に住んでいるのは「ナイザさん(下写真中央)」。もともと大阪で営業の仕事をしていた彼は、2014年11月にシェアハウスに来たことを機に移住し、6月に集落の方々の信頼を得ながら古民家を預かり独立。今は農家さんの下でアルバイトをしながら、畑も手に入れ彼が目指す「農」のスタイルを追求しています。現在ナイザ君の家には、ましょーが住み、他にも2名の方が一時的にステイしています。

 

ナイザ君の家

 

 シェアハウスでは、ご縁で海外からお客さん来ることもあり多様な価値観が交流する中で、自分たちのライフスタイルを気づいていくことができます。これはシェアハウスで不定期におこなれる餃子パーティーの様子。

 

餃子パーティー

 

 山尻集落では51名の集落ですが、定住者2名、移住者6名の若者が集落には入ってきています。

 1月中旬には集落での新年会が開かれ、移住定住者の方々も参加させていただき、Iターンの若い世代が入ることで自然と会話が生まれ新しいコミュニティの形が出来つつあります。「みなみちゃん」(写真下写真、右から三番目)も集落の空き家を借り、広島市内からの移住。

 

集落での新年会

 

 移住者が多い大崎上島において、非常に若い20代、30代単身世代のIターン者が山尻集落には集まっています。彼らに共通しているのは、正規雇用の正社員として働くだけのスキルをもちながらも、所得は少なくてもから自分の好きなことをベースにして、または好きなことを見つけながらワークスタイルを築き、ライフスタイルを見つめていることです。

  そして集落単位で、ライフスタイルを受け入れてくれているおかげで、彼らは日々楽しみながら田舎暮らしを行うことができます。最近では、集落で仕事を受け取り若い世代の仕事づくりとしてイノシシの柵の設置や竹やぶの間伐などもやらせてもらうようになりました。

 

新しいライフスタイル

 

 限界集落に住み始めたIターンの若年層と、集落にもともと住む高齢者の方々との共につくる新しいライフスタイルの形。それは、従来の資本主義的な幸福論とは違った新たなHAPPYの形を大崎上島、山尻集落から発信できるように感じています。

 

 次回は、さらに個人として大崎上島で暮らしながら、私らしい生き方をされている方々を密着し紹介していきたいと思っています。

 

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【執筆者】

松本幸市(まつもとこういち):デザインオフィスふらっとらんど

 

1985年5月23日大崎上島生まれ。動物占いは黒豹。国立広島商船高専卒業後、事務職、船員、学校職員を経て2013年より独立。大崎上島の限界集落で山尻シェアハウスChikaraを運営、コミュニティをつくることをナリワイとしている。

FACEBOOK:「松本幸市」または「Matsumoto Koichi」で検索。

問い合わせ:kamizima1985@gmail.com

 

【写真提供】

金澤佑(フリーアライブ)・小林達也(個人)

 

 

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