民家に泊まる。それは心温まる人との出会い。
2016/05/29
- 執筆者 坪松美紗
- 所 属久志地域交流推進協議会
はいたーい!今日の記事ではいよいよ私達久志地域交流推進協議会がチカラをいれて取り組んでいるイチオシの「暮らすように泊まる、大人の民泊」のことです!説明するよりまずは私の体験談をお聞きください。
民泊とは?≒ホームステイです。え?日本国内でホームステイするの?と思った人もいると思います。意外と大人になると人の家に泊まることってなくなりますよね。自分と隣の家の人、同じ日本の人の暮らしってそんな変わらない、と思いがち。人それぞれいろいろな暮らしがあって、特に沖縄のやんばると呼ばれる北部地域は、自然と人と地域が密接な暮らしを営んでいます。そしてその地域の人の気質はびっくりするくらい近い距離感で温かく迎えてくれるのです。まるで親戚や家族のように。
民泊受入家庭の入り口には、こんな風に看板があります。
まず、こんばんは~!とお家に入ると迎えてくれる、沖縄のおかあさん。「めんそ~れ、よくきたね~あがってあがって~!」「おかあさんでもいいし、おばあと呼んでもいいからね~」あれ、ここ始めてきたところだよね?と思ってしまうくらいです。私が緊張しているように、受入家庭の方も緊張していると思ったけど、してないのかな?と思ってしまうくらい。
実際に久志地域で大人の民泊を受入している家庭は、普段多くの修学旅行生を受け入れている家庭です。元々沖縄の行事や集まりの関係で、親戚や地域の人が多く家に集まるので、人が家に来ることのハードルが低いのです。
「どこからきたの~?」「沖縄ははじめて~?」など、方言がまじりながらのおかあさんとの会話は新鮮!そんな他愛もない話をしながら、お家を案内してくれます。
「おなかへってる~?ごはんにする?ゆんたくする?」お腹が減っていた私たちは「ごはんで!」と答え、夕食の準備にとりかかります。
キッチンに移動すると、既に多くの料理が用意されていて、手書きのお品書きとレシピがあったり。「二人が来るっていうから張り切っちゃったよ~」と、うれしい言葉をかけてくれる。ここに来る前に用意してくれていた、下ごしらえのあたたかさを感じます。「ちゃんぷる~は一緒に作ろうね~」沖縄料理を一緒に作れるのも民泊の醍醐味。「うちはね、隠し味に島酒をいれるのよ~!」泡盛のことを島酒と呼ぶのか。というか!料理酒としての日本酒は聞いたことがあるが、泡盛!?と驚いたが、とてもいい香り。ああ、沖縄なんだな~と感じます。ひとつひとつの野菜も「これはね~うちの庭で取れたものでね、こっちはお隣さんからもらったのよ~」など。聞くとほとんどの食材が地域のもの。「こんな田舎だけどね、なんでもあるのよ~」と言っていたおかあさん、それってすごい。豊か。
にんじんしりしり。おかあさんの得意料理です。
「おそばも出汁からつくったよ~、これはうちだけの味だからね~」家庭の味とはこういうことです。沖縄では沖縄そばのことをそばと言うらしい。私達からするとそばというよりうどんのようです。「え~うどんじゃないさ~」と沖縄らしいやりとり。楽しい。
自家製のドレッシングに自家製のコーレーグース。全部手作り。
準備ができたら、いただきます。「沖縄ではいただきますを、くわっちーさびらって言うよ、言ってごらん」…なかなか一発では言えない。そこでまた笑いが起きる。すごく和む。そして「こんなに食べれないな…」と思っていたのに、おかあさんの手料理がおいしすぎるし、楽しいゆんたく(おしゃべり)のおかげで食が進みます。
ごちそうさまのあとは一緒に片づけ。「ふだんは洗い物全然しないんですよ~」と言いながら、民泊だからなんだかできちゃう。泊まりに来たのに不思議です。
三線に挑戦!簡単な曲は結構すぐ弾けます。
食後は会話の中で出た、三線を弾いてみる。工工四(くんくんしー)という意味不明な楽譜の読み方も教わる。漢字ばかりでこんなの楽譜じゃない!と思っていたけどちょっと弾きだすと楽しい。となりでおかあさんが歌ってくれるから、出来てる気分になります。「おかあさん歌上手ですね~」と言うと、「昔はね…」とおかあさんの若い頃の話に花が咲く。昔のアルバムを出してくれたりして。なんだか親戚のおばさんのお家に来たみたい。
昔のアルバムを見て盛り上がります。
お風呂に入って寝る準備。一緒に布団もしきます。「明日は何時にごはんにする?」早起きできないな~と思っていると「ゆっくりでいいよ~」と言ってくれる。実家に帰ってきたみたい。干したばかりのにおいがするお布団で寝ます。
朝ごはんを準備するおかあさんの姿。
翌日、起床するとキッチンにはおかあさんの姿が。「おはよ~よく寝れた?」もうこの時にはおかあさんとの関係にも慣れ、自然とお手伝い。「朝からこんなに食べれないよ~」と言うと、「沖縄の人はたくさん食べさせたくなるのよ~」「方言で食べて食べて~ってカメ~カメ~って言うから、カメカメ攻撃って言われるのよ~」なんてことも言いながら、結局量は多い。これか、カメカメ攻撃!笑
愛情とボリュームが満点な朝ごはん。完食しました。
朝からお腹いっぱい食べて、ちょっと横になって休憩。そろそろ帰る時間。「あ~もっといたかったな~」と言うと「みんなそう言って帰っていくのよ~まためんそーれよ~」と。最初から最後まで愛情たっぷりで心地よい距離感。来た時と帰る時ではお家が違って見える。なんとなくまた会いに来たいと思ってしまう、そんな民泊です。
一緒に民泊した高校時代の友人と民泊受入家庭の宮城さん。
普段からこんな暮らしをしている方々のお家にちょっとお邪魔して、普段味わえない人との関わり方、沖縄の人の暮らし方・生き方に触れることができます。民泊に来た人の声には「暮らしを楽しんでいるな~と感じた。本当に移住したくなった。」「お父さんとお酒を飲んだ時『ご縁を大切に、周りの人を大切に』と言う言葉が心に残っている。実家の両親も大切にしたい。」というような声を聞きます。受入家庭は11軒。おもてなしの心はどのお家も変わりませんが、それぞれがぞれぞれの個性を持ったお家です。これを読んでいる皆さんにも、皆さんとしかできない出会いがあります。ぜひ一度お越しください。久志地域で待っています。