大学一年生 漁村での夏休み

2016/08/24

 

 一週間漁村に滞在しながら漁業のお手伝いをする「イマ、ココ プロジェクト。」では、2014年から毎夏、東京にある武蔵野大学の学生さんの受け入れを行っています。

 武蔵野大学の一年生は、キャリアデザインの授業の一環として、夏休みの間に全員必ずフィールドスタディに参加します。参加する場所や内容は、日本国内外に多数ある、武蔵野大学と連携している企業や団体の中から生徒が自分で選びます。

  「イマココ」には毎年約100名の学生さんが参加しており、中には参加希望者が多すぎて第二希望の受入地に移動になってしまう学生さんもいるそうで、選んでもらえて嬉しい限り、と同時に、せっかくなら参加したいと思っている学生さんには全員に参加してもらって、石巻の漁村で色々なことを学び取ってもらえたらと、全員受け入れきれないもどかしさも感じています。

 

オリエンテーションの様子

オリエンテーションの様子。武蔵野大学からは毎週20人前後×5週間 = 計100人前後が夏休みを使って参加する。

 

 

 さて、武蔵野大学の学生さんの受入を始めた2014年。8月9月の全日程が終了して受け入れ漁師さんから一番多く聞こえてきた声は、「普段の参加者とは違う」というものでした。

 いくら自分で選んで参加しているとはいえ、その選択肢を用意したのはあくまでも学校側。それに対して、普段イマココに申し込んでくれる参加者は、「こういう体験をしたい」という目標があり自力で「イマココ」を探してくる人たちか、過去に参加した知り合いの話を聞いて自分もぜひ!と申し込んでくれた人たちです。そうなるとどうしても、積極性や目的意識において、違いが出てしまいますよね。漁師さんたちはそのことを言っていました。

 

 ですがその半年後、春休みの時期になると、夏にお世話になった漁師さんの所に今度は自分たちの意思で戻って来る学生が何人も出てきたんです!リピーターの割合は、もしかしたら一般の参加者より多いかもしれません。

 その時感じました。今までこういう体験、自分の知らない世界に飛び込んでみるということにアンテナを張っていなかった人ほど、初めて経験した時のインパクトは大きいもの。最初は授業の一環として「なんとなく」参加したとしても、漁村での一週間から学生たちは新しい価値観や視点を持ち帰ってくれているんだと。

 

 大学の職員の方も「自分で外に出ていける子はいい。そうじゃない子たちが外に出ていくきっかけを作り、背中を押してあげることが私たち大学職員の役割なんだ」と仰っていました。

 そしてその手応えは漁師さんたちも感じ取ってくれたようで、それ以降2015年・2016年と100名の学生を、みんなで協力して受け入れてくれています。こんな教育方針を持った大学、素敵ですよね。

 自分が高校生や大学生だった頃なんて恥ずかしながら、それこそ「もっと外の世界に触れて自分の経験値を高めよう」なんて微塵も考えていませんでした。でも普段イマココ参加者の受け入れをしていると、「就活の前に自分の世界を広げたくて一年休学してるんです」とかっていう言葉を結構頻繁に耳にするんですよね。そのたびに、「時代は変わったなぁ」とか「イマドキの若者の視点や行動力ってすごいなぁ」と感心させられるのですが、きっと今も昔も根本は一緒なんですよね。

 

 周りがどうであろうと、行動する人はするししない人はしない。10年前の私のように、行動するという選択肢すら自分の中にない人もいる。

 きっかけが何であろうと、その選択肢を自分の中にもてる人、そしてそれを行動に起こせる人が増えるのは、日本にとって、そして大袈裟に聞こえるかも知れませんが世界にとっての大きな財産になるのだろうと思うのです。

 

 大学一年生の夏休み。東京という大都会から、東北の小さな漁村へ一週間の留学の旅。最後に、今年の受入の様子を少しだけご紹介します。

 

船

 

 普段海の上で波に揺られている船が、一年に一度だけ丘に上がる日があります。もうすぐ始まる牡蠣の収穫シーズンに向けて、船底についた汚れを削ぎ落としペンキを塗りなおす大切な作業。ペンキには、汚れを付きにくくする成分が含まれているそう。

 

ワカメ漁で使うロープをまとめる作業

ワカメ漁で使うロープをまとめる作業。バラバラにならないように固く束ねるのは見ている以上に力が必要。写真の彼も全体重をかけて締めていました。

 

海と青空をバックにチーズ

海と青空をバックにチーズ☆

 

魚を捕るための網を作る

 

真剣な表情

魚を捕るための網を作る。真剣な表情です。

 

 タルをまとめる

こちらは漁師さんたちが「タル」と呼ぶ大きな「浮き」をきれいにして、次に使うときまで汚れたりバラバラにならないようまとめているところ。

 

 

 こんな感じで、夏は牡蠣やわかめの漁師さんにとって収穫・出荷シーズンではなく、そこへ向けた準備の期間。決して派手な作業ではないですがそこにはすべてに意味があります。

 さてさて、夏休みの期間は武蔵野大学以外にもたくさんの学生さんから申し込みが入るので、9月末まではほぼ満員御礼となっていますが、10月に入るといよいよ牡蠣むき&わかめの種付けシーズン到来です!

 これから本格的に忙しくなる牡蠣漁師とわかめ漁師。イマココでは10月以降も引き続き参加者大募集中です!ぜひ一度、漁村留学をしに浜へお越しください。画面の前のそこのあなた!にお会いできるのを楽しみにまっていますね。まずはこちらをご覧ください☆

7日間からの漁村留学「イマ、ココ プロジェクト。」

 

 

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