井仁の棚田で満喫ライフ!
2016/09/13
- 執筆者 友松裕希
- 所 属安芸太田町地域おこし協力隊
最近の井仁の棚田は、夕立が少しあるくらいで、まとまった雨が降らない天気が続いています。
去年は台風の影響もあったし、雨も降ったのに、今年の夏はいつもと違うのかなぁと思っていましたが、地域の人は、
「去年と同じような天気にはならない。毎年毎年、天気は違うから、米作りはその年にあった育て方をせないかん。理屈じゃなくて、経験の積み重ねが大事なんだよ。」
と言っていて、自然と付き合って生きていくということは、こういうことなんだなと思いました。
藍の栽培と生葉染め
田舎に住めば、畑はいっぱいあるし、野菜ももらえたりするので、他の人が栽培してないものをやってみようと思い、藍を栽培してみることにしました。
藍といえば「藍染め」、きれいな独特の青に染まる染物。藍がうまく育って、藍染ができたらいいなーと思って、春に種を蒔いて、苗を育て、畑に植えたら、7月初旬には足の踏み場がないくらい生い茂りました。
藍を一人では、使いきれないほどの量になったので、井仁に住むおばあちゃんや外の人に呼びかけて、藍の生葉染めの体験会をしています。
藍の葉をとって、ミキサーで藍染液にするだけなので、難しい作業はありませんが、たくさんの葉を使うため、必然と皆で協力しなければならず、参加者同士で会話をしながらの作業なので、良い交流の場にもなりました。
また、布を藍染液に浸した段階では緑色なのですが、水で洗い流すと、きれいな藍色に一瞬に変わり、皆さん驚きの声をあげます。夏の自由研究みたいで、子供たちにとっても良い体験になっています。
他にも、綿を育てており、たくさんのコットンボールができはじめました。9月~10月には収穫できそうなので、収穫して綿を使った何かができたらなと思っています。
夏も終盤になってきて、秋の植物が実りはじめました。
安芸太田町は祇園坊柿という柿の生産が日本一で、特産品となっています。糖度が高く、ノロウィルス抑制効果があるそうです。井仁の棚田にも柿の木がたくさんあります。
秋になると、柿が綺麗に橙色に色づいて、手に取って食べたくなりますが、渋柿が多く、地域の人もあまり食べようとしません。(湿度の条件が悪く、干し柿が上手くできない)実をそのままにしておくと、落ちてそのままになるので、何かできることを考えて、柿渋液を作ることにしました!
柿渋は、昔から、木材の防腐塗料や布や紙の染色に使われていました。発酵して、ちゃんとした液ができるのは2~3年かかるので、かなり気ままに待たないといけませんが、有効活用していたいです。
ホンモロコの生産
棚田の耕作放棄地の利活用として、ホンモロコの生産が行われています。ホンモロコとは、コイ科に属する淡水魚で、琵琶湖に生息しています。美味と言われ、京都の料亭で、高値で取引されています。
安芸太田町では、町内で数か所、生産されており、飲食店や学校の給食に使われていますが、まだまだ認知度が低く、販路を広げていかなければならない段階です。
ホンモロコを自分たちで利用できないかと、新しい協力隊が、パンの作り方を学び、ホンモロコバーガー作りに挑戦しています。まだ試作段階であるため、大々的に売り出すまでには至っていませんが、今後、体験イベントや地域イベントに出していきたいです。
棚田は米だけでない
棚田と言えば、米が最初に思い浮かぶかもしれませんが、他にもたくさんの宝(自然のめぐみ)があります。藍染体験の参加者の方が、
「井仁の棚田は、こうじゃないといけない(できることが決まっている)と思っていたが、藍は井仁の特産品じゃないと知ったとき、何でもありなのだな」
とおっしゃっていました。
私は、協力隊として初めて井仁に来たときは、何があるのか、何が行われているのか、わかりませんでした。最初の一年は、流れのままに活動をしていましたが、二年目になって、季節が一巡し、最初には気づかなかったことに気づき、地域や自然に対する感じ方が少しだけ深くなった気がします。
そういった気づきから、新しい価値を見出したり、新しいことを始めることは、田舎を楽しむことのひとつだと思います。地域のルールを守り、敬うことを忘れなければ、地域の人たちも関心をもってくれたり、手を貸してくれたりもします。
私がしていることは一人でもできることなので、大きなことではありませんが、小さな村で移住者として生活するためには、大事にステップであると思います。
何が最も言いたいのかよくわからなくなってきましたが、協力隊の任期は三年しかないので、三年後を見据えて動いていきたいと思います。