ついにオープン!暮らしの宿 福のや、

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執筆者 瀬川知香
所 属NPO法人 頴娃おこそ会

2016/11/18

 

 暑い暑い夏が過ぎ、やっと秋がきた!と思ったら10月もまだ暑く・・・。今年はもしかしたら冬がこないのではないかと不安になる気候でしたが、11月半ばになりやっと心地よい涼しい風が過ぎ暑さから解放されほっとしている今日この頃です。

 夏くらいから取り組んでいた、暮らしの宿プロジェクト。今回はついにオープンした「暮らしの宿 福のや、」についてご紹介いたします。

 

暮らしの宿 福のや、

 

 このプロジェクトは、まちの課題である「空き家」と「観光」という可能性を組み合わせ、滞在型の交流拠点を整備しよう!というものです。もっというと、頴娃という町に興味があって、観光だけでない視点で頴娃に滞在してみたいという「学び」目的や、移住先を検討している方が暮らし体験をしたり、はたまた頴娃にゆっくり滞在しながらのんびりまちを見てまわりたいなど、頴娃に関心のある方の受け皿になるべく宿をつくろう!と決意し、はじまったプロジェクトです。

 

 何かの本で読んだのですが、「まちに滞在できる良い空間があるかないかで、まちの未来は大きく変わる。」というフレーズがあり、それに大変共感しました。

 従来の観光であれば日帰りでサクサク巡るだけで十分かもしれないけれど、今はそうではない。「どこに行くか(旅行)」から、「何をするか(旅)」へ文化も変わってきました。そんな旅のスタイルの変化や、まちを訪れる動機の多様化などに、柔軟に対応していける宿でありたいと考えています。

 

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 今回宿開業にあたり、開業の経緯を簡単にご紹介したいと思います。

 まず、開業にあたり役場の方などから言われたのは、「早め早めの相談が重要」ということでした。宿泊許可の取得やそれに関わる法律は非常に複雑です。毎年のように条例が変わり、「去年まではこうだったけど、今年からはこうなりました」みたいなことに多々直面しました。

 私の場合は、予想していなかったことは、自分にとって全てプラスのことでしたが、お金と時間をかけて、最後申請!というところで壁にぶち当たる人もいるようです。

 私はそんなにお金もありませんでしたし、時間もかけたくなかったので失敗する前にすべて未然に防ぎスムーズに許可取得することを目指しました。

 

 はじめに保健所に相談にいきました。最終的に宿泊許可を認可するのは保健所なので、まずはここで必要な情報を仕入れました。

 手続きなどの事務処理もそうなのですが、それ以上に大切なのは担当者との信頼関係の構築です。申請する側と受ける側、立場は違えど同じ人間。良好な関係が築ければ、基本的な事務処理以外にも有力な情報を教えてもらえたり、宿泊許可取得後も相談しやすい関係が保てます。

 私は、申請前、申請の最中、そして取得後も保健所の担当の方に気軽に連絡できています。あまりここでは触れませんが、実は当初、取得のハードルがより低い「農家漁家民宿」で申請をしていました。しかし、その担当の方が法律を調べ上げてくれ、結果として希望していた「簡易宿泊所許可」を取得することができました。運営のイメージや、考えを丁寧にヒアリングしてもらってたからこその結果だな、と今も感謝をしています。

 

 保健所以外に、消防へも相談が必要になります。実は一番の難関がこの消防です。消防の適合通知(宿泊所として十分に消防設備が完備されているという消防のお墨付きのようなもの。)を受けられなく、開業を諦める方もいるようです。

 

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 私も一番気が重かったのが、この消防です。消防設備を完璧にするには、非常灯をつけて、カーテンも防火性のものにして、スプリンクラーをつけて、、、と、考えるだけで怖いくらいお金がかかります。(もちろん安全が最優先なので必要なことです!)

 初期投資がそんなにできない私はどうしたものかと悩み、いろいろと考えた結果、客室部分よりも住宅部分が多いことを消防に認可してもらい、一般住宅の一部分だけを宿泊所として利用するスタイルで申請することとしました。消防に、このことを認めてもらえたら、消防設備の項目が少しへり、宿泊許可取得のハードルが下がります。

 

 ただ、消防法は年々厳しくなっており、私が一度目に相談した時は一般住宅としての認可は難しいと言われました。結果としては、今回は認可してもらうことができました。申請面積が比較的狭いというのが認可の決め手だったようです。

 今回はまれなケースだと思いますので、これから宿泊許可を取得しようと考えている方は、消防では苦労することをはじめから腹積もりをされてください。

 

 そして、私はまち役場にもお世話になりました。というのも、当初農家漁家民泊で申請を検討していたからです。

 鹿児島県の場合、昨年条例が変わり、農業・行業従事者でなくても農家漁家民宿を開業できるようになりました。条件として、農業や漁業、そのまちならではの体験プログラムを提供することが求められます。

 私は、郷土料理つくり体験をメニューとして提出しました。提出後は役場内で審議がされ、最終的には市長が農業・漁業従事者ではないけれど農家漁家民宿を開業していい!という許可を出します。この部分に関しても、何度も事前に役場の担当職員に相談をしていましたので、とてもスムーズに取得することができました。

 この他、決められている申請書類(建物の間取り、周辺図など)と合わせて、許可書などを保健所に提出します。鹿児島県の場合は申請料が2万3千円必要です。書類申請が通り、最後に保健所の立ち入り検査があります。

 

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 部屋やお風呂など必要な情報が掲示されているか、照明の明るさはどうか、宿泊者は十分休息できるスペースがあるなどいろいろと調査があります。これに合格して、やっと宿泊許可取得となります。

 許可証が届いたとき、嬉しい想いとやっととれたという安心感が織り交ざりました。取得した、これからが本番!いよいよ「暮らしの宿 福のや、」本格稼働です!

 

暮らしの宿 福のや、

http://kurashinoyadoishigaki-fukunoya.jimdo.com/

 

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