いま田舎民が知っておくべき『伝わる』情報の発し方

2016/12/22

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執筆者 黒田太士
所 属福田百貨店

 

 54年ぶりに都内で降雪があったという話題に持ちきりだった、11月24日。僕はその日、一面銀世界の八ヶ岳にいた。富士山と三日月が共演する朝焼けは、言葉も出ない絶景だった。

 

八ヶ岳

 

 ここ最近、頭を悩ませていることがある。長らく風車の反対活動を続けているものの、なかなか本当の情報が世の中に伝わって行かない。「本当のことをみんなが知れば、状況はあっという間にひっくり返るのに…」と思うのだけれど、その“情報をみんなに伝えること”が果てしなく難しい…。終わりのない活動に思い悩み、曇った頭を晴らすため、僕は雪の八ヶ岳へと登ったのだ。そして、この絶景を無心に眺めていたときだった。この空のように曇りひとつない心へと、澄みきった閃きが降りて来た。

 

「情報は伝えるだけでは意味がない。『伝わる』ことで初めて意味がある。」

 

これが天啓というものか、なんという真理!なんという閃き!これぞ、今の僕に必要な言葉ではないか!そしてまた、新たな言葉が…、

 

「…以上、フィクションでした(´・ε・`) by黒田」 オイッ\(  ̄■ ̄)

 

 はい、ということで、慣れないシリアスな雰囲気はここまで~。いつものゆるい雰囲気に戻って記事を進めましょ~( ̄∀ ̄)。

 ちなみに八ヶ岳(の麓)に行ったのは本当です。その目的は、アウトドア用品のトップブランド『パタゴニア社』が主催する、第5回「草の根活動家のためのツール会議in 日本」(以下、ツール会議)に参加するためでした。

 

パタゴニア社

 

 今回参加したツール会議は、ビジネスの世界で成果を出し続けているパタゴニア社が、そのマーケティングの手法に基づいて、より成果を出せる効果的な活動が出来るように、全国の環境団体を鍛えてくれるという『合宿』です。

 環境保護グループを積極支援しているパタゴニア社が、助成金という“資金面”の支援だけでなく、効果的な活動手法という“ツール”もレクチャーしてくれるというものです。(ちなみに今年度、僕が代表を務める「えひめ風車NET」の活動は『パタゴニア社』の助成を受けて活動しています。)

 なぜこのような研修が開かれるのか?講師陣の言葉を借りると、「環境保護活動に取り組む方々は“想いと行動力”は素晴らしいけれど、効果的に動けていないために“労力に見合った成果”が伴わないことが多い、そこをサポートする」ということなのです。

 

草の根活動家

 

 いなかパイプの読者さんやライターさんは、僕と同じように地方で環境活動や、地域おこしなどの「ソーシャルプロジェクト(社会的課題を解決するためのプロジェクト)」に携わられている方々が多数おられると思います。そんな皆さまと、この研修で学んだことをシェア出来ればと思い記事を書きました。

  ただ、今回のツール会議で学んだことは、とても一記事にまとめられるボリュームではないので、僕にとって衝撃の大きかったところをごく一部、かいつまんでレポートしたいと思います。

 今回のツール会議で、最初にして最大の衝撃を受けたのが、デザイナー:砥川直大さん(株式会社アサツーディ・ケイ コミュニケーション)の講演でした。

 

 砥川直大さん

 

「情報は伝えるだけでは意味がない。『伝わる』ことで初めて意味がある。」

 

 この記事の最初で書かかせて頂いた言葉は、実は砥川さんの講演の際のものです。情報は自分が『伝える』ことに意味があるのではなく、相手に『伝わる』ことにこそ意味があるというもの。なぜなら、情報が溢れる現代において、人々は逆に「情報を無視する力」が高まっているから。いくらたくさん発信しても、受け取り手の心に届かない情報は「無視」されるし、誰も共感して行動を起こしてくれません。

 

「環境活動に時間をかけても誰も見向きもしてくれないのは、誰も見向きもしてくれない方法だったから。」

 

という砥川さんの厳しいご指摘は、これまでの自分の活動を振り返ると心当たりがありまくり( ̄∀ ̄;) みなさまの活動はいかがでしょうか?

 

 そこであるべき情報発信の方法を簡単にまとめると…、問題を『簡単』に要約して『可視化』し、受け取り手が「え!そうだったんだ!」と驚く『気付き』を加え、メディアが報じたくなるような『話題性』を持たせ、環境活動にありがちな「難しさ」や「怒り」を前面に出すのをグッと堪え、誰もが聞きやすいように『話のハードル』を下げて発信する…というもの。

 

↑大事なことを書いていますが、文字で書くとクドイですね。つまりそういうことです。いくら大事なことでも、長々と説明すると伝わらない。

 百聞は一見に如かずということで、砥川さんの実例を見て頂く方がきっと正確に伝わると思います。つくば市の事例ですが、市の規模に対し巨額すぎるスタジアム建設計画に対して、なかなか市民の関心が高まらないという問題がありました。

 そこで、市民に問題の本質を一瞬で伝えた上に行動まで起こして貰うことに成功した、砥川さんが考えたナイスな手法がコチラです↓↓↓

 

 

 広く一般市民とメディアの関心を喚起した秀逸な事例です。結果的に住民投票で8割の住民が反対して、巨額スタジアムの建設計画は見直されたそうです。

 大事なのは伝える側の視点ではなく、≪受け取る側の視点≫で考えるということ。砥川さんは「相手が受け取れるサイズにする」という表現もされていました。例えるなら、相手の口に合わせて、一口サイズにお膳立てしないと食べてくれない時代…ということなんだと思います。こんなイメージですかね↓↓↓

 

一口サイズ

 

 こうすれば本質が難しい環境問題や社会問題であっても、世間は情報を受け入れてくれるということです。逆を言うと、恵方巻きのように具だくさんで長いものをそのまま全部出しても、誰も食いついてくれない時代ということなんですね。

 初日の最後にあった川島直さん(公益社団法人 日本環境教育フォーラムの理事長)の講義も、忘れてはいけない大事なポイントがたくさん。僕の心の一番響いたのは…、

 

聞き手に負荷をかけないプレゼン

 

『聞き手に負荷をかけないプレゼンを』という考え方。

 

プレゼンで大事なことは、

 ×「限られた時間にどれだけたくさん伝えるか?」ではなく、

 ○『限られた時間だからどれに絞って伝えるか?』が大事。

 

 ×「有無を言わさぬプレゼン」ではなく、

 ○『隙のあるプレゼン』が大事。

 

というお話です。最近人前で話すことが増えてきた僕にとっては、耳に痛いお言葉ばかり。これまで市長に対して行ったプレゼンも、詰め込み過ぎたんじゃないかと反省しきり(´_`。)。アレもコレもと詰め込み過ぎると、結局何も伝わらないので、伝えた気持ちをグッとこらえて、情報は必要最低限に絞って伝えましょう!

 

 

2日目。

朝一からキレッキレの砥川さん。それに輪をかけてキレッキレだったのが、坂本文武さん(大正大学地域創生学部准教授/Medical Studio代表理事)。

 

 坂本文武さん

 

「皆さんは、“プロ”であるという意識で環境問題に取り組んでいますか?“アマチュア”であるという意識で取り組んでいますか?自問自答して下さい。」

 

という投げかけから始まったその講義…。 (「え…と、別に環境活動家ではないし、プロ…じゃないよね…?ならまぁアマチュアなのか?」と、心の中で迷うワタクシ( ̄- ̄;)) そこに、まるで心の中を見透かしたように切りかかる坂本さんの言葉。

 

『社会を変えようと行動する人は、“人を巻き込む人の責任”がある』

 

ズドーン(((((≧_≦;))))) …もはや切られたというよりも、一発の弾丸で心臓を撃ち抜かれた感じ。。。中途半端に活動していた心の甘さを見透かされています(≧w≦;) 多くの人を巻き込んでいる以上、もはや成果を出すことは至上命題なのだ。甘えていてはいかんのです(≧∇≦)

 

 自分たちの活動が「“自己実現”のボランティアサークルなのか?“成果”を出すプロの活動なのか?」を、真正面から考えさせられる一発の弾丸。僕たちの活動の場合は、“自己満足”“自己実現”ではダメなんです。風車の乱開発から集落を守るという“結果”を出さなければ、活動している意味はないに等しい。だからこそ『プロ意識』を持って活動しないといけないし、結果を出さないといけない。そう強く心に刻まれた瞬間です。

 

 その他、「自分が目指したい目標ではなく、“かかわる人みんなと目指せる目標”を考える」。「ゴールのないマラソンをやってはいけない(終わりの見えない活動は疲弊する)」。などなど、他人を巻き込んで活動する上で忘れてはいけない珠玉の言葉たちを頂きました。

 

珠玉の言葉たち

 

 その後、自分たちが取り組んでいる問題を掘り下げる個別ワークを行ったのですが、例として僕のワークの内容を講評して頂く機会を得ました。坂本さんの素敵な笑顔とは裏腹に、バッサバッサと切り捨てられ、半日廃人で過ごしたのも今では良い思い出。。。

 

 この後も、本当に様々な講義やワークが繰り返され、参加者のみなさんは打ち刃物のように鍛造されていきました。

 本当は1つ1つ紹介したいのですが、『簡単に要点を絞って伝えるのが大事』という研修の記事がダラダラ長いと、「何を学んだんだ!」と、全方位からダメだしを受ける事必至です(≧w≦;) それだけはなんとしても避けなくてはいけない!でもアレもコレも削りたくない!葛藤するワタクシ(≧∇≦) 書きたいことを全部書いたら4万文字くらい行っちゃいそうです。そんな卒業論文級の記事なんて誰も読んでくれないと学んだばっかりなのにー!!(≧w≦;)

 

ぃぃい…と…いうことで、ここいらで締めのあとがきに致しましょう(^_^;)

 

 3泊4日、朝8時過ぎから夜8時過ぎまで、ぎっちり詰め込まれた内容の濃い研修。個別のワークに明け方3時過ぎまで講師の方が付き添って一緒に考えてくれるという、厳しさと優しさが入り混じった本気の研修でした。

 

本気の研修

 

 それはそれは頭が沸きまくりの日々…。54年ぶりの大雪も、沸騰した頭をクールダウンさせるための“天の采配”に違いありません(笑)。実は最初に載せた雪景色の写真は、2日目の朝に早起きして撮ったものです。こんな絶景に出会えたのはきっと頑張るみんなへのご褒美(*´∀`*)

 

絶景

 

 そしてもう一つのご褒美。今回のツール会議を主催されたパタゴニア日本支社長の辻井さんが、初日の夜の懇親会で豪華な食事を前に語られた言葉。

 

豪華な食事

 

「大きな相手に挑み、容易ではない環境活動に日々追われ、プレッシャーや孤独感を受け続けている活動家の皆さんに、この合宿の間は心の安らぎを提供できれば…。」

 

 そのような主旨の言葉を聞いて、このツール会議を開催して頂いたことを本当にありがたく感じました(;ω;`) この活動を始めてからというもの、協力者・住民・賛成派・自治会・事業者・市・議会・県庁・省庁・家庭・etc…、日々の生活を取り巻く全方位に対してアンテナを張り続けなくてはいけません。そんな毎日は自覚している以上に神経を張りつめさせていたようで、辻井さんが語られたお気持ちに心から安堵した自分がいました。

 活動をしていると様々な現実が心を疲弊させます。最近はだいぶ耐性がついて強くなってきましたが、それでもこのように理解して支援してくれる存在がいることは、とても励みになり、心からありがたいと感じます。これまでの活動の中でも、様々な方の有形無形の支援を頂いて来ましたが、その想いと期待に応えられるように、『成果を出せる活動』をしなくてはと、強く心に誓ったツール会議でした。

  今回の一番の収穫は『成果を出せる活動』へと、意識のスイッチが1つ切り替わったことです。そのためにはまず『伝わる』活動となるようにしっかりやって行きたいです。

 

伝わらないとはじまらない

 

追伸:

えひめ風車NETのtwitter始めました。ただフォロワーが0なので、かれこれ2週間程むなしく独り言をつぶやいております(´_`。)。『伝わる』前に「伝える」ことすらも出来ていない状態(;ω;`)ヤバイ。 博愛精神のある方はフォローしてやって下さい(≧∇≦)ノ

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