えん(縁)もたけ(竹)なわ ~1年を振り返って~
- 執筆者 小林恵子
- 所 属えん(縁)もたけ(竹)なわ
2017/01/09
私は、~えん(縁)もたけ(竹)なわ~ と称して、竹藪を活かして、認知症の人の居場所と出番と役割づくりに取り組んでいます。当時85歳であった岡山の祖母たちが、認知症の症状が深まった5年前。祖母たちが守ってきた山も、祖母たちが年をとり守れなくなり、荒れていき、いわゆる「放置竹林」となることを何度も何度も憂えていました。
『放置竹林』。 当時京都に住んでいた私には、まったくアウト オブ 眼中でした(ちょっと懐かしい表現ですが・・)当時の祖母たちの生活は、テレビの守り。できることが減り、やりたいことも特にないような、なんとも言われない毎日でした。日々、周りにやつあたりをし、愚痴をこぼす日々でした。これでは、ますますぼけてしまう・・。
私は思いました。竹藪を活かすことで、認知症となった祖母たちの生活も彩られるのではないか。そして、ひらめいたのが「~えん(縁)もたけ(竹)なわ~」です。
それから、約5年目となる今年ですが、サイの歩みながら、たくさんのご縁や、有り難い貴重な支えのなか、~えん(縁)もたけ(竹)なわ~に過ごせましたこと。心より、御礼を申し上げます。本当にありがとうございます。つたないながらの、今年の歩みです・・・
まずは、簡単に「竹」についてです。「竹」は生命力が強く、どんどん増え広がります。そのため、長寿や友情の象徴であるともいわれています。地元では、厄介者扱いをされている竹藪です。生命力の強い竹は、どんどん増えひろがり、管理の行き届かない竹藪。いわゆる「放置竹林」が増え広がり続けています。
竹やぶは手入れも大変ですが、竹を使うことで、竹藪は少しは片付きます。竹藪の管理がたいへんなことから、「なんぼでも竹を使ってほしい」といわれるお家がたくさんあります。
竹は個人の所有物であり、了承をいただいたうえで、使わせていただいています。(放置竹林の竹は、管理されていな竹藪の竹となりますので、曲がっていたり、竹がきれいでなかったりします。竹材店の竹のような美しく、竹細工に加工のしやすい竹とは異なりますが、さまざまの恵みをもたらしてくれます)。
私も以前は竹を厄介者扱いをしておりましたが、決して厄介者ではなく、地域の宝であることを再確認をした1年となりました。
今年は、タケノコ堀り、竹製品作り、竹藪のある山ごとを楽しむイベント「操山ワンダーランド」などを通して、竹藪と親しみ、その中で、人とひと。人と自然とのつながりができました。竹を通して人とひとがつながれば、もれなく自然ともつながります。住みよい地域となりますよう、たいへん微力ながらも取り組んでまいりました。
おおまかに1年を振り返ってみました。
冬・・・寒いので、家の中で竹製品作り、竹で、はたきや、お箸、籠、鞄作りなど・・・
3月 「操山ワンダーランド」 ~竹藪のある山、操山の山ごとを楽しむイベント~
操山で、ピクニック。タケノコパーティをしました。郷土料理のバラ寿司などを楽しみました。竹の器作りワークショップ。子どもたちに、竹に親しんでもらおうと、森の話をしながら、竹に絵をかき、オリジナルの竹の器を作りました。森林浴を楽しみました。
4月 「薬草講習」 ~竹藪のある山の山「操山」のやまごとを楽しむ企画~
美作の薬草研究科の松原ご夫妻お招きし、薬草講習をしていただきました。祖母は、竹藪が増え広がったため、それまであった野草が追いやられてしまった、と言っていました。なら、どんな野草があったのか、また、どのように活用されてきていたのか知りたいと思い、薬草講習をお願いをしました。薬草の活用には、貴重な先人たちの知恵がありました。
操山の薬草のフィールドワークをしました。山の恵みの豊かさを五感で感じるべく、薬草ジビエカレー 薬草サラダ 薬草スープを楽しみました。家の山にも、たくさんの貴重な薬草があることに驚きました。どれも同じ草に見え、雑草と感じていた私を反省をいたしました。
自然の恵みを、薬として活用をしてきた先人たちの知恵に脱帽です。薬草として使われることは今は減ってきていますが、健康ブームの今こそ薬草の力が大切であると感じました。知恵の伝承をしていく場は必要であると感じました。山からの資源は無限大だと学びました。
5月 バンコク竹ツアー
タイに住んでいる友人が、「バンコクにも竹がいろいろ活用をされていますよ」と教えてくださり、なら、どのような活用の仕方をされているのか知りたいと考え、竹ツアーと称して行ってきました。東南アジアは、地域によっては、今でも竹文化が色濃く残っています。日本以外のアジアでは、どのように竹の活用をされてきているのか知りたいと考え、行ってきました。
バンコクは、都市化が進み、地方に比べ、竹製品は少ないとのことでした。雑貨屋さんなどを巡りました。お店でさまざまな竹細工を見ました。。雑貨屋さんの竹製品は、素朴な味わいを感じました。地方のおばあちゃんたちが作っているのだそうです。タイの竹細工職人も、高齢化が進み、後継者が少なくなっていると伺いました。
タイも、日本と同じく、近代化によって、竹を使うことが減ってきているのだそうです。タイの王室御用達の竹製品は、繊細な細工で、気品を感じました。
7月 流しそうめん
8月 駄菓子屋さんでの、竹ビーズのアクセサリーづくりのワークショップ
子どもたちに、森のことを知ってもらいながら、竹に親しんでもらえる機会を作らせていただきました。竹ビーズは、祖母がみがいています。ちびっこたちのため取り組み、祖母の「出番」や「役割」ができました。ちびっことおばあちゃん。4世代を超えた交流ができました。
10月 西川ぬく森穴アナザーガーデンの出店
森を大切にしていくお仲間が広がりました。
竹ひご作りのワークショップを行いました。
~操山ワンダーランド~ 野点 竹で茶器を作り、操山でのお茶会を楽しみました。異世代の交流を楽しみました。
竹伐りツアーin牛窓
11月 竹と親しめる、おうちカフェの開店
異世代の交流ができ、知恵の伝承を行っていきたいと、「おばあちゃん文庫」という名まえをつけました。竹のワークショップをはじめ、随時ワークショップを行っています。
えんもたけなわを始めるきっかけとなったのは祖母です。「竹藪」「竹藪」と言っていた張本人の祖母が享年91歳で旅立ちました。
操山で山を耕し、作物を育て、操山に帰っていきました。土に生き、土に還る。日本人の生きてきた道を感じました。
~えん(縁)もたけ(竹)なわ~のおかげで、いろんな世代の老若男女のご縁がつながりました。つながりの中で、祖母は皆に見守られながら旅立つことができました。森のこと、介護のこと、コミュニティのこと、祖母は、たくさんの宿題を残して旅立ちました。
12月 「竹部」寄せていただく
家の裏の竹やぶを活用していきたいとの友人が、「竹部」を発足しました。竹ごはんをたいたり、竹を燃料にしてピザを焼いたり、竹で椅子をしたり、竹筒を使って夜シャボン玉を楽しんだり。さまざまの竹の可能性も学びました。
お世話になった方々に、竹ひごで作ったクリスマスリースや、はたきでお礼をしました。竹は、人とひととの気持ちもつないでくれます。
まだまだの歩みではありますが、周りの方々に恵まれ、取り組めましたこと、心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございます。来年も、微力ながらも取り組んでまいります。来年も、どうぞよろしくお願いいたします。