森を漉く(すく)

2017/02/24

 

 以前にもこちらでご紹介した森のはこ舟アートプロジェクトの取組み。(森のはこ舟アートプロジェクトについてはこちら)引き続き、活動を行っています。

 秋に森のはこ舟で行った「森を漉く」ワークショップでは「西会津の森に入って、森の中にある素材を採取して沢や滝の水で紙を漉く」という企画のワークショップを行いました。

 

紙を漉く

 

 出ヶ原和紙再生プロジェクトでもお世話になっているアーティストの滝澤さんが講師となってワークショップをすすめていきます。

 

滝澤徹也氏

写真は、講師を務めたアーティストの滝澤徹也氏

 

 

 まずは、集落の人に案内人になってもらい森に入り、葉っぱや苔、石、砂、きのこなど、それぞれが気になる素材を採取していきます。これらすべてが紙の素材になります。

 

素材を採取

 

素材を採取2

 

 ただ森を歩くのではなく、「これは漉けるかな?」「これは可愛い形の葉っぱだな」とか色々考えながら、素材を見つけるのはとてもわくわくする時間でもありました。

  私は苔を漉きこんでみたくて、苔を中心に採取しました。この苔、ちょろちょろ毛が生えているみたいで可愛くないですか?(笑)

 

この苔

 

 自分で気になった素材を採取し、紙の原材料にしましたが、もちろん和紙の原材料で使われる楮(こうぞ)も混ぜ合わせます。楮以外にも古民家改修で出てきた、古い稲わら畳をほぐしたものも原材料として活用させました!

 まず自然の素材である葉っぱ等は、ハサミで細かく刻んで、素材に水を少し加えたものをミキサーで更に細かくします。細かくしたものは目の細かいネットに入れて水気を硬く絞ります。

 

更に細かくします

 

水気を硬く絞ります

 

 水気を絞った後に、ボトルに詰め込んで、糊剤と水も一緒によく混ぜ合わせれば、紙の下地になります。

 

紙の下地

 

 石は粉砕して、砂のようにして紙に漉き込んだりしている方もいました。きのこや葉っぱなど形をそのまま生かしたいものは、細かくせずに使います。

 この日は生憎の雨。そして寒かった・・十分すぎるほどに自然を感じながら、午後からは川に下って、いざ紙漉きを!!! 残念ながら雨は降っているけど、紙漉きこそが一番の楽しみですから。

 

紙漉き

 

 最後まで頑張ってみよ~!!ということで、まずは、滝澤さんに紙漉きのお手本を見せてもらいます。雨が降っていて川の流れも速く、思ったようには漉くことができません。そもそも紙漉き自体もはじめての参加者が多かったので、なかなか難易度の高いワークショップとなりました(苦笑)

  素材の上に雨粒が落ちて、ドット模様のように。自然の中で漉くことのおもしろさを感じた瞬間です。晴れていたら、そのまま天日干しさせて乾燥という行程なのですが、この日は行えず晴れている日に乾燥を行いました。

 

ドット模様

 

 多くの人がイメージする真っ白な紙とは全く異なるモノだけど、自然との関係性を身近に感じながら作った紙は、絶対に同じモノは作れないので特別で貴重な一枚です。

 出来上がった紙をみると、作った日の景色や気候・みんなとの会話まで思い返せるような、完全にオリジナルの「森の紙」ができた気がします。文字を書いたり、絵を描いたりする使い方ではなく、私は木製のフレームに入れて部屋に飾ろうかなと考えています。

 

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