学ぶ

おむすビーズのインターンシップ

 私事ですが、このたび高知県土佐町から愛媛県今治市へ引っ越すことになりました。パートナーが今治市の地域おこし協力隊をする運びとなり、これを機に二人で移住することにしたのです。
 今治市といえば、ゆるキャラやタオルの産地などで有名なまちですが、今回私たちが移住するのは今治市の中でも島嶼部。岡村島というところです。
 
 今回は私の「再移住」についてのお話を書こうと思います。

 

再移住

 

 はじまりは去年の暮れ頃。私のパートナーはいつか島暮らしがしたいという夢を持っていて、その実現に向けて去年から少しずつ情報収集をしていました。
 いくつか候補地があがり、去年の暮れからいくつか視察旅行に出かけました。毎回移住者に話を聞きに行き、民泊を営んでいるおうちに宿泊しに行ったりということをしてきました。

 

今治市

 

岡村島

 

 どこも素敵なところで、行くと愛着が湧きます。私も島は大好きで、20代の頃から旅行で瀬戸内のいくつかの島を訪れたりしていました。
 海がすぐそばにあるということ、生活圏がコンパクトに集約されているということ、家や路地など景観に独特な地域性が残っているということ、猫がいっぱいいることなど、島という環境には魅力がたくさんあります。私は内陸で生まれ育ったので余計に憧れを感じるのかも知れません。
 とはいえ、私は今もう既に土佐町に移住しているし、知り合いもたくさん増えて自分なりの生活が現にそこにあるので、素敵な場所とはいえ「自分がそこに住む=引っ越す」というイメージは今ひとつ湧きませんでした。
 
 そんな感覚を抱きつつ、今年の年明けに初めて二人で岡村島を訪れました。
 私はたぶん、どちらかというと場所に対してはあまり執着がない方だと思うのですが、岡村島に来て、なんとなくしっくり来るような、なんだかここは楽しく暮らせそうだという気がしました。
 1月なのに天候は穏やかで、海は美しく青く、風景は開けていて、なんだか心が少し晴れやかになるような場所でした。

 

海は美しく青く

 

 私たちの「再移住視察ツアー」では三箇所巡りましたが、最終的にパートナーには「岡村島がいい」ということを伝えました。
 そして1月末、パートナーが岡村島の管轄である今治市の地域おこし協力隊の試験に晴れて合格。私は土佐町での暮らしを少しずつ整理して、内容が全然違った別の「田舎暮らし」を始める準備をしてきました。
 
 土佐町から出るということに関しては葛藤がありました。再移住は自分で決めたことではあったけれど、いざ町を出るということになると、たくさんの人の顔が浮かぶし、慣れ親しんだ場所を離れるのはどうしたって勇気が要るし、今まで土佐町でしてきたことがムダになるのか?とか、いろいろな思いが浮かびました。
 土佐町で暮らしたのは2年半。2年半の間にたくさんの人と知り合い、たくさんの出来事があって、ものすごく濃密な時間を過ごしたけれど、振り返ってみると2年半はすごく短い。そのタイミングで出るというのはすごく中途半端な気がしました。
 そうやって悶々としつつも時は経つ。仕事をして、家の片付けをして、新居に荷物の移動をして、少しずつ物事を前に進めました。そうしている中で浮かんできたのが、

「別に土佐町に無理に別れを告げることはないのではないか」

ということでした。
 またいつでも土佐町に来ればいい。無理に関係を絶とうとしなくていい。会いたい人にはいつでも会いに行けばいい。むしろ、両地点を行き来することでプラスが生まれるのではないか?とも思えるようになりました。
 
 実際、私たちが岡村島に移住することを周りの人に伝えると、その人はその場所がどんな場所なのか興味を持ってくれる。何人かの友人は「絶対遊びに行く!」と言ってくれる。島の名産である柑橘が欲しいと言ってくれる。
 また、「島の名産と土佐町の名産をトレードしないか」と声をかけてくれる人もいました。土佐町には土佐町の素晴らしい宝があり(お米が美味しい!)、岡村島にも素晴らしい宝がある(柑橘と海の幸!)。そのどちらも活かしていけるよう、自分が山と島のパイプになろう、そう考えています。
 
 3月。土佐町から新居の島までは片道3時間半(フェリー含む)。休日は自分たちの車にパンパンに荷物を詰め込み、朝一のフェリー便に乗って運び込み、帰りのフェリーの時刻まで新居の片付けをして、クタクタになって帰る。そして平日は仕事で、これまで自分がしてきたことの引き継ぎ、資料整理をする。合間で身近な友人たちが送別会を開いてくれる。
 土佐町最後の濃密な日々を過ごし、土佐町の桜が美しく咲くのを見届け、4月半ば、私は岡村島に移り住みました。

 

私が2年半住んだおうち
私が2年半住んだおうち、退去直前に。お世話になりました!

 

 次回は島での生活の様子をお伝えしたいと思います。

 

FacebookTwitterLine