短期インターン制度は「地域みがき」に最適な制度!

 こんにちは。NPO地域おこしの福島です。

 移住・定住促進の施策として、短期インターンシップを取り入れている自治体・地域団体も多いのではないかと思います。

 十日町市でも、新潟県事業の短期インターン制度「にいがたで『暮らす・働く』応援プロジェクト」を受託し、私たちNPO地域おこしがコーディネート団体として関わっています。

 昨年度からは、事務局長多田から引き継ぎ、私がインターンコーディネーターの仕事をしています。2年が終わり、色々と感じること・思うところが出てきたので、今回はそんなお話をしたいと思います!

 

 短期インターン制度

 

地方におけるインターンシップとは?

 まずインターンシップとは、「就業体験」という意味がありますが、地域活性化界隈ではインターンシップは「お試し移住」という意味合いが強いかと思います。

 インターンシップ事業の目的は、ずばり「移住者を増やすこと」。一定期間地域に住み、田舎暮らしのよさを感じてもらったり、リアルな生活を知ってもらったりすることで、移住者を増やすためにインターンシップ制度をしているところが多いと思います。

 

 インターン期間には、半年~1年間の長期インターンと、1ヶ月の短期インターンの2種類があります。

 NPO地域おこしがコーディネートしている「にいがたで『暮らす・働く』応援プロジェクト」は1ヶ月の短期の制度。

 コーディネートは別の団体ですが、「にいがたイナカレッジ」という1年間の長期インターン生を4人受入れ地域として受け入れたこともあります。

 

1年間の長期インターン生を4人受入れ

 

 長期と短期のインターン制度を比べてみると、圧倒的に長期インターンを経験した人の方が、移住率は高いです。やはり1年間の長期となると、仕事を辞め、移住を前提としてインターンにのぞむ人が多いからです。

 一方、1ヶ月の短期インターン制度は、参加者のほとんどを長期休暇を利用して参加する大学生・大学院生が占めます。そうなると、移住を前提ではなく、社会経験の一つとしてインターンを選ぶという理由が多くなります。

 

 だからといって、短期インターン制度は意味がない、ということは私は思いません。

 確かに移住施策としてはなかなか成果が出づらいものだとは思いますが、短期インターン制度の目的を「移住促進」ではなく、「地域みがき」と捉えれば、大変効果的なものだと感じています。

 「地域みがき」とは、新しい事業や活動を興す「地域おこし」とは少し違い、地域にそもそもあるものの再発見や、現在行われている活動を再評価する動きについて、私が勝手に考えた言葉です。

 

 どんな地域に「地域みがき」が必要なのか? インターン生が入ることで、どう地域がみがかれるのか?紐解いていきたいと思います!

 

そもそも、短期インターン生受入れには「地域力」が必要!

 

 上記に書いたとおり、短期インターン制度のインターン生の多くは、都市圏に住む20代の学生です。

 田舎暮らし経験どころか、社会経験もない彼らを受け入れるのは、正直手がかかります。初めての土地にやってきて、会う人もみんな初めまして、言葉(方言)も分からない、何をしたらいいか分からない、という状態です。

 例えると、小さな子どものようなものです。受入れ地域の世話人の方には、親がわりの存在になってもらい、地域の人につなげ、仕事をイチから教えてもらわないと、インターン生たちは地域で活動、いやもはや生活していけません。(ちなみにコーディネーターである私は、姉のような存在でいたいと思ってます)

 

地域の方とインターン参加者

地域の方とインターン参加者

 

 なので、短期インターン生を受け入れるには、ある程度の覚悟や余裕がある「受入れ世話人」が必要となります。

 他にも、質の高い受入れをするための要素として、

 

●住まい(空き家や個人宅の離れ、生活ができる設備が整った集会所など)

●日々の仕事(農作業、地域行事の手伝い、加工所やレストランといった地域内施設の手伝いなど)

●交通手段(車が用意できればベスト。なければコミュニティバスなどの交通機関、世話人が送迎)

 

が必要になります。

 総合して、私は「地域力」と呼んでいますが、こういった「地域力」を備えた地域でないと、短期インターン生を受入れることは難しいと思います。

 そうなると、自然と短期インターン生を受け入れられるのは、地域おこし協力隊が活動していたり、地域活性化活動をしている地域、つまり「地域おこし」が既に行われている地域になります。

 

短期インターン生がもたらす「地域みがき」効果とは?

 

 では、既に「地域おこし」が行われている地域で短期インターン生を受入れることで、どんな効果が起こったのでしょうか?

 

地域のじいちゃんばあちゃんが生き生きする!

 

●地域のじいちゃんばあちゃんが生き生きする!

 

 まず地域のじいちゃんばあちゃんが生き生きします! これは間違いない!若いインターン生たちは、孫のような存在。一緒に農作業をしたり、地域の集まりに顔を出したりして、お年寄りたちとつなげれば、自然と交流が始まります。

 田舎あるあるな玄関前にいつの間にか置かれている野菜とか、お茶のみや夕飯に呼んでもらったり、一緒にでかけたり、家に泊めてもらったり。あれやこれや世話をやける存在がいることは、お年寄りたちにやりがいをもたらします(特にばあちゃんたち)。

 お年寄りに元気であり続けてもらうことは、地域にとって大変大事なことですよね。

 

●地域の「当たり前」になっているよさを教えてくれる

 

 今年度、短期インターン生たちには、活動終了前に活動報告会をすることを義務付けていました。

 インターン生によって多少の差はありますが、受入れ地域の方や関わった地域の方など10~30人が集まってくれました。

 インターン生には、インターンに来た理由、活動を通して感じた地域のよさ、課題について発表してもらいます。

 

地域の「当たり前」になっているよさを教えてくれる

地域の「当たり前」になっているよさを教えてくれる

 

 すると、大体どのインターン生も、地域のよさとして「自然の豊かさ」「地域の人たちの温かさ」「食の豊かさ」「農作業の楽しさ・大変さ」「方言」をあげます。これらは住んでいる人たちにとっては、日常的な「当たり前」のことばかり。

 地域にとっては「当たり前」のことでも、都市圏の若者から「良いもの」として再発見されることで、自分たちの集落が良いものであると自信を持つことができます。

 20代の男子学生インターンが、地域のお母ちゃんたちが並んでいる写真を見ながら、「この写真が一番お気に入り。地域のお母さんたちは、かっこいい」と発言したことは、私も印象的に感じました。

 

●フラットな目線で、地域の課題を見つけられる

 

 インターン生は地域の人たちと多く交流してもらうようにしています。

 地域の中にはいろいろなしがらみがあったりしますが、外からきた彼らにはそんなしがらみは関係なし。フラットな付き合いをすることができます。このことが、時に地域の課題を見つけることにつながります。

 これは、私たちNPO地域おこしで活動してもらったインターン生の事例です

 NPO地域おこしが位置する飛渡(とびたり)地区には、私たちの他に地域活性化活動を行う団体や自治組織が多数あるのですが、それぞれ独立して活動しているため、同じ地区内なのにお互いどんなことをやっているか知らなかったり、どうしてあの団体はうまくいっているんだろうと感じている、というのをインターン生が活動報告会で発表しました。

 そこで、彼女のアイディアをもとに地区内の活動団体の発表会を今度行うことになりました。これはしがらみなく団体をまたいで交流し、フラットな目線を持つインターン生だからこそ見つけられた課題ではないかと思います。

 

今後も「地域みがき」を続けていきたい!

 

 正直それぞれ小さな変化かもしれませんが、その小さなことを積み重ねることで、無理なく地域がよいものになることにつながってくるのだと思います。

 もちろん移住施策としてまったく意味がないわけではなく、短期インターン生から移住した人もいますし、移住までいたらなくても定期的に地域にかよっている卒業生もいます。ですが移住施策としては中長期的な視点が見る必要があるため、効率的な効果が必要とされる行政の制度には、もしかしたら合わないのかもしれません。

 結果として、残念ながら、十日町市は2018年度の短期インターン生の受入れをしないことになりました。

 しかし、「地域みがき」という意味合いで短期インターン制度は素晴らしいものだと認識しているので、我々NPO地域おこし独自でやれないかなぁと模索しています。ぜひ興味がある方、NPO地域おこしまでお声がけください!

 

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