各地域のご縁をつなぐ葡萄の販売

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執筆者 小林恵子
所 属えん(縁)もたけ(竹)なわ

2019/09/27

 実りの秋。年に一度の葡萄の季節がやってきました。広島在住の小林です。

 父は岡山市で葡萄をつくる40年以上の葡萄農家です。現役時代は仕事を持ちながら、休みの日に葡萄を作る兼業農家でしたが、定年後は葡萄や野菜を主に作る生活です。
 岡山市中区の私の地域では、仕事を持ちながら、仕事が休みの日に果物や畑を作る『兼業農家』の多い地域でした。人が山に入ることで山や畑は整えられ守られていました。

 話はそれましたが、父の作る葡萄の実りの時期となりました。

 

ぶどう畑

 

 父は、『翠峯(すいほう)』という葡萄を作っています。

 

翠峯

 

 翠峰(すいほう)は、「ピオーネ」と「センテニアル」を掛け合わせた葡萄で、福岡県農業総合試験場の園芸研究所で育成されたそうです。1996年に品種登録をされています。今では福岡より岡山県のほうでたくさん作られている葡萄です。

 岡山では、温暖な気候を生かし、葡萄や桃などの果物の栽培が盛んです。岡山では、マスカット オブ アレキサンドリア、、瀬戸ジャイアンツ、シャインマスカット、、ピオーネ、オーロラブラックなど様々な種類のぶどうが作られています。

 

 私が小さいころは、葡萄や桃の農家は今より多く、果物はもらうことが多かったです。果物は買うものではありませんでした。季節季節の旬の果物をもらっていました。キズがついたり、熟れすぎていたり、出荷できないものもよくいただきましたが、かえってその方がおいしいくらいでした。ふんだんにいただけました。

 作物の物物交換もさかんで、葡萄のお返しに、びわやイチジク、梨などをいただいたりしていました。フルーツ王国おかやまと言われるだけあり、ふんだんに果物のある生活でした。

 

びわ

 

 話は戻りまして、父の作る葡萄の季節となり、今年も、これまでのリピーターの方から

「今年もブドウをお願いをしたいです」

とご連絡をいただきます。時期になったら、教えて、と言ってくださる方もおられます。

 年によってかわりますが、父の作る葡萄は、9月~11月頭あたりまでが収穫の時期となっています。ぶどうの種類や、ハウスか露地栽培か、などによってそれぞれの葡萄の時期は異なります。

 

 岡山、京都、大阪、兵庫、福岡、神奈川など他府県のリピーターの方おられます。口コミでリピーターが増えたりしています。岡山のぶどう、ということで喜んで下さる方もおられます。お店で買うと、出荷して何日か経ってからお店に並ぶこともありますが、農家に頼むと葡萄を収穫してその日に発送をするので、お店のものより新鮮だと喜んでくださいます。

 

 生産者である父は高齢のためもあり、葡萄の最盛期は特に出荷で手一杯の日々です。朝早く葡萄を山に採りに行き、箱詰めをして宅急便に出しに行きます。頭も体もめいっぱいの日々です。

 最盛期は限られていますので、その間に集中的に父の作業はあります。出荷で手一杯の中、販売にまで取り組むのは父の負担も多く、私が販売のお手伝いをしております。

 岡山、広島と実家と距離は離れましても、電話やメールでやりとりができます。買ってくださる方とも距離は離れていましてもラインなどでやりとりができます。

 

 注文受け、注文個数、お送り先のご住所、お名前、到着のご希望の日時を確認をし、実家に伝え、実家から宅急便で各地へ発送をしております。父の得意分野は40年以上こだわりを持って作り続けている葡萄作りです。

 得意ななことを生かし、メールのやり取りや、発注の確認作業などの父の不得手は手伝う。それぞれが得意分野を生かして葡萄の販売に取り組んでおります

 

 暑中見舞いも今では減ってきましたが、年に1回の葡萄の販売が、挨拶変わりにもなっています。買ってくださる方との近況報告も楽しみのひとつとなっています。久し振りの方もおられ、うれしい近況報告となっています。

 何年も買ってくださる方は、父の体調を気遣ってくださり、父の応援をしてくださいます。そのことが張り合いになっています。その年の気候によって、甘みが強かったり、葡萄の粒が大きかったり、小さかったり、色が黄色が強かったり、いろいろです。その時々の味を味わっていただけ、美味しいと言っていただけることが大きな大きな父の励み、喜びとなっています。

 

 生涯現役社会が目指されている世の中です。仕事があるから、人様に喜んでいただけることがあるから両親も元気でおられるのだと感じられます。旬の果物を通して、人とひととのご縁が結ばれ、お互いが毎年の楽しみとなっています。

 

ぶどう畑

 

 2011年に、「葉っぱビジネス」で有名な徳島県上勝町にインターンシップに行かせていただきました。ホームページからの抜粋です。

 「葉っぱビジネス」とは”つまもの”、つまり日本料理を美しく彩る季節の葉や花、山菜などを、栽培・出荷・販売する農業ビジネスのことです。 当時農協職員だった横石知二(現・株式会社いろどり代表取締役社長)が、「彩(いろどり)」と名づけて1986年にスタートしました。現在つまものの種類は300以上あり、一年を通して様々な葉っぱを出荷しています。

 

 インターンシップに参加をさせていただいていた当時私は80代の認知症の祖母の介護に関わっていました。祖母の生活は一日中こたつに入ってテレビの守り。当時の祖母は陸の孤島のような生活でなすすべもなく感じておりました。

 徳島県上勝町では、祖母と同じ年代、それ以上の年代の方が、仕事を通して笑顔で元気で暮らしておられる。そのお元気の秘訣はなにか、実際に知りたく思い、インターンシップに参加をさせていただきました。

 約1ヶ月のインターンシップを通し、おばあちゃんたちのお元気の秘訣は、日々の生活の中でたくさんのつながりがあることだと学びました。

 

人とひととのつながり
人と自然とのつながり
人とモノとのつながり
人と社会とのつながり
人とお金とのつながり
人と情報とのつながり

 

などたくさんのつながりがありました。

 売上を上げるためには、頭も体も心もつかう必要がありました。さらに仕事に喜びもありました。ご高齢の女性でもできる軽作業でありました。若い人とおばあちゃんたち。それぞれの得意分野を持ち寄って助け合っておられると感じました。
 『居場所』と『出番』と『役割』があることがお元気の秘訣であることを身をもって学びました。

 

 葡萄の販売は父にとって大きな『出番』や『役割』となっております。日々のなかでたくさんのつながりができております。直接買いに来てくださる方とのおしゃべりも楽しみとなっています。『出番』や『役割』のある場が『居場所』であると感じられています。

 得意なこと生かしあいながら、それぞれが、喜び合える。(葡萄作りは、しんどいことも多い分、収穫の喜びも大きいと感じられています)

 いなかの秋の実りに、秋の実りがつないでくれる人とのつながりに感謝の秋です。喜んで下さるからこその、出番や役割だと感じられます。元気の秘訣となっております。これからも、細くとも長く取り組めますよう取り組んでまいります。

 

長文お読みくださり、ありがとうございます。

ますます実り多き秋でありますよう。

 

秋空

 

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