もしものときの備え
- 執筆者 久米可奈子
- 所 属阿南市地域おこし協力隊
2019/11/14
こんにちは、四国の徳島県で地域おこし協力隊をしています。久米 可奈子です!
11月になってやっと朝晩冷え込んできましたが、こちらはまだまだ昼間はとってもあったかい。とは言っても、風は冷たくなってきてだいぶ紅葉やイチョウは色づき、早生みかんという早い時期に収穫するみかん(青いままもらったりします!)が出回り秋めいてきたなぁと感じているところです。
いただいた早生みかん
この夏から秋にかけて、大きな台風が想像できなかったくらいの被害をもたらしましたね。私も被害のあった地域には家族も友人もいて、大変な思いをしていることを聞いています。みなさまお見舞い申し上げます。
さて、今回は阿南市へ引っ越してきて驚いたことの話です。今までとは全く違う土地へ引っ越したときの「あるある」ではありますが、そのうちの1つでこれは阿南市ならではかもしれないと思ったことがあるので紹介します。
それはなにかというと防災訓練。東京で暮らしていたときは職場のビルで防災訓練が年に1回行われていたくらい(本当はもっとやってたのかもしれません)。災害時の避難経路確認や消火器やAEDの使用方法などについて講習を受けるようなものでした。
大きな震災があってからは防災ブックが配られたり防災グッズもいろんなところで見るようになっていましたが、実際に私は防災訓練に参加したことは1度もありません。
阿南市では年に1度合同防災訓練が行われるほかにも、各地域に「自主防災会」というものがあり、町内の各地区に振り分けられこれも数回集まって講習会をしたり防災訓練を行なったりしてます。
阿南市は四国の右下に位置し、東側には太平洋があります。四国で1番に朝日が昇る蒲生田岬は、幸運をもたらすだるま朝日がみえるのでも有名。魚種が豊富で水揚げ高県下一の漁港、椿泊港があり(年中美味しい魚が食べられます!)、人口約180人の離島は釣りスポットでも人気であり、阿南市の生物多様性ホットスポットにも指定されています。
山あり川あり田畑あり海ありなまちなんですが昔から台風の通り道で、例年阿南市の東岸を撫でるようにして台風が過ぎていきます。
上流が山あいの深い地域の川は、激しい雨によって氾濫することがあったり、低い土地にある田んぼは増水して冠水することもあります。今では川の堤防が完成しつつあったり、水はけをよくするよう工事が行われ年々見直されていて「ずっとよくなった」と聞きますが、それでもやっぱり台風はきます。
また日本全国心配されている大地震も、阿南市は南海トラフ地震が発生した場合津波の被害も予想されている。
いろんな災害が想定されている町で安心して住めないようにも思えますが、2年半住んでみて、危機感がある分、防災、減災の意識が強いように感じています。
何よりも防災訓練に参加してみて感じました。こんな小さな町で、約500人が集まって訓練しています。
こちらは合同防災訓練ですが、内容が豊富です。避難所開設訓練で、要配慮者や要救助者への対応手順を教わったり
起震車や煙ハウスでの体験や
ドローンによる物資の運搬
災害救助犬の出動
倒壊建物からの救出
などなど、バケツリレーや消火器による初期消火、炊き出し訓練の他に自衛隊や消防士といっしょに大規模災害を想定した訓練を行なっています。
このとき、ちょうど東京から実習に来ていた大学生も「旅行中に被災した他地区住民」として参加。学生のみんなも
「学校で避難訓練しかしたことがなかったからおどろいた」
「旅行中にまったく知らない土地で災害にあう可能性もある。旅行者としても、例えば移住者としても、地元住民が防災意識が高いのは心強いと思った」
と話ししてくれました。
学生さんたちを預かっているときや移住の下見に来た方を案内しているときのことを考えると、少しでも多く知識を持っていることは大事だなーと感じました。
どちらかというと、これまでは「いざってときはどうなるかわからない」なんてのんきに考えていたほうです。備えってどういうことをしておけばいいのかいまいちよくわからない。ただ、田舎で暮らすようになって自給自足力が高いのは強みだなーと感じます。
田舎で暮らす人をみていると、そもそも自給自足度が高い。野菜やお米を育てて蓄えているし海や川で釣りをして、山で切ってきた木で火を焚き山からひいた水で生活している人がいる。全部じゃなくてもどれかをやっているおうちが多いです。
もしも、ライフラインが途絶えてもそういう暮らしをしていればなんとかできるんだろうな。暮らし自体が「備え」になっています。
私はまだまだですが、ここでの暮らしを少しずつ覚えて自給自足力をつけていきたい。
田舎へ移住して、思いがけずに「もしものときの備え」について教わっています。