島暮らし1年生、人との繋がり方
- 執筆者 上野仁美
- 所 属Nurse and Craft 合同会社
2021/01/12
島暮らしが私の生活に加わってもうすぐ1年経ちます。スタートした時は新しくできた会社の繋がりのみでした。
今では、出会うと手を振ってくださったり、
「いってらっしゃい」
「今日はどこ行くの?」
「おかえんなさい」
と声をかけてくださったりが日常で、私の車が見えないと心配されるのが当たり前な生活になっています。
そんな地域の方々と私も「はじめまして」からスタートしました。この1年どうやって仲良くなっていったのかを綴らせてもらうことにします。
友達が島に遊びに来てくれた時も、おじいちゃんによる案内がいつの間にか始まっていました。
引っ越して数ヶ月はチャンス!
借りた島の家の大家さんは、島外在住。引っ越し前の内見時に、まずお隣さんを紹介してもらいました。
お隣さんはみかん農家さん。引っ越してくると、その方がご近所の数件を一緒に回ってくださり、私を紹介してくださいました。
お隣さんの力を借りるのはご近所さんまでで、ここから自分次第。もっと地域の方と知り合うために、出会う人出会う人に、
「はじめまして」
と声かけを毎回していきました。
どこからきた誰で、どこに住んでいるのか。最後に必ず
「この辺りのことはまだ分からないことばかりなので、色々教えてください」
と伝えていきました。
いきなり声をかけられた地域の人は最初不思議そうな顔や怪訝そうな顔をしておられましたが、話をしていくうちに徐々に表情が柔らかくなっていく場面を何度も見たような気がします。
わざわざ島にやって来る人は珍しい存在なため、あちらから
「何しにここへ来たの?」
と聞かれること大多数。ありがたいことに、相手から興味や関心を持っていただくことができ、繋がりがそこから生まれました。
ご近所さんによるご近所案内。「こんなところに興味があるの」と驚かれました。
田舎だけど都会
住んでいるのは、大長という集落。ここは島の中でも家がかなり密集した所で、田舎だけど都会。敷地があれば最大限に家が建っていて、庭や車庫がある家は珍しいです。
我が家も車庫がないため、徒歩数分くらいの広い所に車を置いています。
駐車場がないことは、買い物などをした後の荷物がある際は特に不便ですが、島暮らし1年生の私にとってはラッキーだったとつくづく思います。それは、車と家の間を嫌でも歩かないといけないため、その間に必然と色んな人と出会うことができたからです。
また、車を停めている場所が、商店やJA、まちづくりセンターなどの近くで、島の中心部にあたるため、より人と繋がりやすい状況だったことも幸いでした。
ここは大長のまちの人の日向ぼっこスポット。ここに座ってひと休憩すれば、誰かと会えます。
車より自転車、自転車より徒歩
田舎暮らしには車が欠かせません。車は目的地から目的地まですっと行けてしまうため、人と出会うことは必然的に少なくなります。だから私は人と繋がるために、自転車を使います。出会う人に挨拶がしやすく、必要があれば、止まってお話もできます。
島の集落は一つ一つが密集しているため、徒歩や押し車の人がたくさんおられます。
もっと地域の方と距離を縮めやすいのは、地域の方と同じように歩くこと。それに、道草と寄り道がしやすいので、徒歩の方がやっぱりベストかなと思います。
この日の寄り道。いつもの通勤路に魚売りの行商のおばあちゃんを発見。朝の1日のスタートが楽しいです。
名前が覚えられない!!
ある程度出会う人が増えてくると、この人は出会ったことがある人かな、なんという名前だったかな、などなど疑問がわいてきます。そして、集落内では同じ苗字が多いため、より厄介です。そこで、ゼンリンの地図を使ってどこの誰々さんなのか覚えるようにしていきました。
出会った人には地図上の家に印をつけていきます。どこのお家のどなたか分かった方が、イメージしやすく分かりやすいかなと思います。しかし、紙の地図は常日頃アップデートしていないため、亡くなった方の名前のままであったり、奥さんの名前までは書いていなかったりと苦戦します。
これについては、仲良くなった方から、少しずつ情報を教えていただきながら、顔と名前を一致させアップデートをしていきました。徐々に知り合いが増えるのが地図で目に見えて把握できるので、喜びや楽しみも大きいです。
この日は出会ったおばあちゃんについて行きました。道中に原爆の話をたっぷりと。
島暮らし2年生に向けて
この1年いろんな方と出会う中で感じたのは、みんな誰かと話したい、繋がりたい、話を聞いて欲しい。これに尽きそうです。
これまでは、お祭りなど行事など集まりごとがたくさんあったようですが、私が島に来た今年はどんどんコロナ禍で地域の行事が簡素化されたり中止になったり、人と交流する機会が減ってきています。自ら繋がりを求めないと出会うことが少なくなってきているとひしひしと感じています。
これから季節が進むとどんどん寒くなり、みんな出かけること自体が億劫になったりする頃。何かほかほかできるような楽しみを作れないかなと目論んでいます。
開かずの窓になっている我が家の1階を住み開きにしてみるのも一つの手かなとか、屋台を使ってみようかなとか。また、新しいチャレンジが出来たら、報告させてもらいます。
地域の中にある飲食店は自分のことを通訳してくださる大事な存在。その一つがお好み焼きマリちゃん。