いなか暮らしの楽しみ 〜旬の山菜を食す〜

 女性専用の民泊&へんろ宿 「シェアハウス土佐指南家」おかみのレイです。

 高知市で生まれ育った私、イタドリを採ることはあったのですが、実は結婚するまでゼンマイやワラビを採って食べたことはありませんでした。

 店頭販売のゼンマイやワラビを見たこと、山菜採りに行った方より分けてもらったことはあったのですが、実際に採りに行くことがなかったのです。

 

 結婚して夫の実家での山菜採りで、初めて自生のゼンマイ、ワラビを自分の手で採りました。

 夫の実家は、高知市より北へ1時間の場所、土佐町の農家で、田畑の周囲にゼンマイ、ワラビが毎年自生します。そのため、家族での山菜採りは毎年恒例で、身近な食材となっていました。

 

ワタ付きのゼンマイ

ワタつきのゼンマイ

 

 大きなカゴや袋で採った後、その日のうちに、下処理をします。

 ゼンマイではワタという白いふわふわした部分や緑色の丸まった葉先を手で取り除き、あく取りの灰を入れた大きな鍋で茹でた後、近日中に食べるものと干しゼンマイ用に分けて処理します。

 近日中に食べる場合は、1昼夜つけ置き、水を交換しながらアク抜きをして食べます。アク抜きは食品用重曹でもOKです。

 

茹でたゼンマイ

大鍋で茹でたゼンマイ

 

 干しゼンマイはゴザの上に干します。日中は太陽光にあてて、ゴザを置いた台上で、両手で掴めるぐらいの量ずつのゼンマイを手で揉み込んでいきます。

 乾燥状況をみながら1日に数回揉んでいきます。2〜3日ほどで緑色からきれいな赤色に変化します。そしてポキッと折れるくらいまで乾燥させます。

 折った時に、しなる状態だと乾燥が十分出来ていないため、カビが生えてしまうことがあり要注意です。

 

 手間はかかりますが、手間を惜しまずに作った干しゼンマイは長期保存ができる優れた食材です。水に戻して、ゆっくりアク抜きをしたゼンマイはとても美味しいです。

 手もみ、アク抜きなどの作業工程が乾燥時の仕上がりに大きく関わってくることをやってみて実感しました。

 

天日干しのゼンマイ

天日干しのゼンマイ

 

 揚げかまぼこ(じゃこ天)や揚げ豆腐などとゼンマイの煮物が大好きになりました。

 思わず雨が続き、天日での乾燥が難しい時は扇風機を使います。揉む時間があきすぎたり、乾燥不十分で失敗したということもありました。

 家内消費なので、失敗も許されるのですが、手作業や天日のすばらしさなどを学びました。天日干し後の保管も袋を2重にして入れるようにしています。子ども達にも伝えて続けていきたいです。

 

 亡き義母は、よく夜なべでゼンマイの処理をしていました。イスに座って,ゼンマイのワタや葉先を採る作業、お鍋で茹でる作業など手際よくこなしていました。

 そんな義母は傍らで孫達の相手をしていました。小さな手でまねて作業する孫たちを見て、笑顔あふれる家族団らんの光景が懐かしく、忘れられません。孫と一緒に過ごす時間を楽しんでいた義母の優しさを思い出します。

 

ワタが取れてきたゼンマイ

ワタがとれてきたゼンマイ

 

 ゼンマイのほろ苦さは、当初は苦手だったのですが、毎年食べるようになりそれが逆に美味しいと感じるように変わりました。

 現代は味覚の中でどちらかというと苦みを味わうことが少なくなったのではないでしょうか。

 旬の物を食べると体にいいとよく聞きます。山菜の苦み成分が、体内の老廃物を排出するデトックス効果があるようです。

 いなかでは、旬の食材が手軽に入りやすく、買わなくてもご近所からのおすそ分けもあります。自然の恵みが手軽に入り、このことについては心からありがたいといつも思います。

 

 義母が2年くらい前に作っていた乾燥ゼンマイが見つかって家族で食べた時は、涙がこぼれてきました。

 いつも家族のためにと野菜を作り、山菜など保存食も丹精込めて作っていました。そんな思い出も一緒に蘇ってきたからです。

 義母もそうでしたが、いなかのおばあちゃんは若い人や子ども達に教えてと言われると、よく嬉しそうにゼンマイの保存方法や調理方法を話しています。独自の調理方法などもあり奥深いです。

 

生命力を感じるゼンマイ

生命力を感じるゼンマイ

 

 ゼンマイ、ワラビ、イタドリなどの山菜を食べる高知の文化が実におもしろいと県外の方より言われたことがあります。

 食文化には風土の違いなどがあります。お客様とそんな話で盛り上がることもよくあります。

 高知に来られた時に、風土を感じてほしい、いなかにある素敵な食文化なども知ってほしいと思います。そのためにも、もっと自分自身が日頃からアンテナを張って情報を取り込んでいかないといけません。人生は常に学ぶ事ばかりですね。

 

 ポキッといい音がして手積みしていく山菜採りの楽しみを、外で思いっきり楽しむことが、最高の気分転換にもなります。

 家族の共同作業となれば収穫はスピードアップしていきます。子ども達のお手伝いにもなっていいかと・・

 

ゼンマイと鯉のぼり

天日干しゼンマイと鯉のぼり 

 

 四季のある日本、高知での暮らしに感謝です。自然とのつきあい方を体感する工夫がいなか暮らしには多くあるように思います。

 山菜採りで遭遇する、鳥のさえずり、野花の美しさにも感動します。

 これからもゼンマイ、ワラビなどの山菜を食していなか暮らしを満喫していきます!ずっと自然の恵みがいただけるように、山菜が自生してくれることを願い、自然を大切にしていきます。

 

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    • 和田玲子