四国お遍路の四方山ばなし
- 執筆者 和田玲子
- 所 属シェアハウス土佐指南家
2022/10/06
女性専用の民泊&へんろ宿「シェアハウス土佐指南家」おかみのReiです。
四国に生まれ育ったので、いつかは四国お遍路をしてみたいとは思っていましたが、トントン拍子で実現したことに、自分自身が一番驚いています。
近くの第30番札所「善楽寺」を訪れ、四国遍路の始め方などを聞き、丁寧に教えて頂いたのが3年前のこと、そのご縁から今に至っています。勢いに任せ走った感じもありますが、かけがえのない時間となっています。
今回は1200年以上の歴史を持つ四国遍路で、興味をもったいろいろについて、お話していきます。
お遍路の参拝
オミナエシの景色
始めてみてわかったこと
●服装や巡礼方法など決まり事が多いかと思っていましたが、意外と自由度が高くマイペースでできる○1番から順番に88番まで続けて全か所を参拝しないといけないといった決まりはなく、自分のペースに合わせて選択できる。
●巡礼に必要な物も、絶対の決まりがなく、少しずつ取り入れるなどの自由さがある。
●お接待という文化があり、実際に励ましの言葉と果物・飲料水・菓子などの差入れをいただくことを体験して、驚きとともに感謝の気持ちでいっぱいとなった。
●へんろ道を歩きやすいように草刈り、表示板などをはじめ道の整備をしてくださる地元の方々の善意に感謝しかないことを実感した。
●『般若心経』に心打たれ、西遊記で登場する三蔵法師が翻訳した経典が原書と知りさらに興味をもつようになる 。
お遍路を始めて、心落ち着くときがあります。それは、無心に読経しているとき、中でも『般若心経』が心にスーッと入ってくるように感じます。
『般若心経(はんにゃしんぎょう)』とは?
正式名は『般若波羅蜜多心経(はんにゃはらみったしんぎょう)』です。
真実や本質を見抜く力により、悟りの境地に至るための大切な教えといわれています。
葬儀や法要の際に、よく聞いたことがあるのではないでしょうか。
『般若心経』の経本
『般若心経』を開いて
『般若心経』の考え方は、全ての人が悟りの境地に辿り着くための教えである大乗仏教に属します。
全ての物事は変化し続けることを前提として、変化し続けたとしても物事の本質が存在することは変わらないことから、物事に執着しすぎず、価値観に捉われ過ぎず、物事の本質に目を向けることが重要だと説いています。
そして、「空(くう)」と「般若(はんにゃ)」の2つの思想について説かれています。
「空」とは単に「からっぽ」ということでなく、「実体がない(定まった形がない)」という意味。個別の物事に捉われ過ぎず、執着しないことで悟りの境地に至ることができると説いています。
「般若」とは様々な修行を積んだ結果、得られた悟りのこと、「仏の智慧(ちえ)」という意味。
「智慧」とは世の中の在り方や現象の深い知識を表し、時代によって変化しない普遍的なもの。学問のように学ぶものではなく、自分自身の中にあり気づくものともいわれています。
仏教では人は、もともと「仏の智慧」を授かり生まれてくるといわれていますが、生きていく上で生じる煩悩により、「智慧」を見失ってしまいがちになります。
読経
人の苦しみの原因になるともいわれる煩悩は、端的に欲望や欲求、妄念などを示す言葉としても使われます。
108あるといわれる煩悩を祓うため、除夜の鐘を108回鳴らす というように、はるか昔より人は煩悩に悩まされてきたというわけです。鐘の音を聞くと、心が癒やされていきます。
修行を積んでいなくても、鐘の音を聞くと煩悩を抑える力が授かれるともいわれています。自分の欲望と向き合い制御することで、煩悩に惑わされずに、人生を切り開いていきたいものです。鐘の音を聴いて、心穏やかに過ごすようにしていきたいと思います。
参拝に欠かせないもの
西遊記に登場する三蔵法師と『般若心経』は関係がある?
西遊記に登場する三蔵法師のモデルとして有名な僧侶の玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)が、インドから中国に持ち帰った『大般若経』が『般若心経』の原書といわれています。
彼はサンスクリット語から漢語に翻訳して、その数は600巻にも及びました。その600巻のエッセンス、仏教の真髄となる教えが『般若心経』の300字弱に凝縮されて簡潔に説いた教典だといわれています。
西遊記の三蔵法師と関係があることを知って、さらに興味がわいてきました。
江戸時代には文字が読めない人のために、『般若心経』の内容を絵で表現した「絵般若心経」が作られ、人々に親しまれていたようです。
この絵文字をモチーフにした手ぬぐいが個人的にお気に入りで、壁掛けにして毎日眺めています。
絵般若心経の手ぬぐい
絵般若心経のエコバック
『般若心経』について、インターネットなどでも詳しく解説されているので、興味をもたれた方は、ぜひ調べてみてください。読経の動画などもあり、より身近に感じることができます。夜のリラックスタイムで、歌の調べのように読経を楽しむこともいいですね。
『般若心経』が1500年以上前から読まれてきたお経で、現代にも通じているという奥深さを感じています。煩悩から解き放たれることは、至難の技ではありますが、古代から続く悩みでもあり、自分一人だけではないと思うと少し気持ちが軽くなります。
集中して読経していると、無心となることができ、心穏やかに過ごすことができます。
個人的には、お遍路を通して自分の悩みが、ちっぽけに感じるようなことが増えてきて、気持ちがだんだんと落ち着いてくるようになり、険しいへんろ道を歩く原動力になっています。
無心に山道などを歩き、時間をかけて寺院に無事に到着できたという達成感は、心を満タンにしてくれます。どんなに疲れてヘトヘトになっても不思議と、また行きたいと思っています。
本堂
寺院での眺め
コロナ感染予防で思うように外出ができない、ストレスがたまりやすい時だからこそ、物事に執着しすぎていないかチェックしながら、心のメンテナンスをしていきたいと思います。
肩に力が入りすぎず、時にはきれいな景色を見て深呼吸してリラックスしていきましょう。
今年中に、88か所全てを巡る予定で、その様子などを引き続き伝えていきます。
GoとReiの四国お遍路の体験談など、詳しくはコチラもご覧ください。
●土佐指南家HP https://10347n8.com