自然の恵みに感謝して
- 執筆者 和田玲子
- 所 属シェアハウス土佐指南家
2023/05/30
季節で食べたくなる山菜といえば、ゼンマイ、ワラビ、イタドリ、タケノコなど。高知市から車で1時間ほどの嶺北、土佐町の田んぼへ行って収穫します。田んぼの畦、畑の周囲に山菜が自生しています。
毎年の恵みに感謝しつつ、イタドリはポキッと音がして採るのが楽しみ。山菜は無農薬で自然の恵みそのもの、食べ方を考えた先人の知恵に脱帽です。
山菜は収穫後、すぐに下処理が必要です。今は引退していますが、かつて家族でゼンマイ収穫、乾燥、販売などをしていたという90歳のおばあちゃんに話をきくことがありました。
「山をたつくって(走り回って)、ようけ(たくさん)ゼンマイを採った」
と目を輝かせて懐かしそうに言っていました。
手際よく山菜を採って、不要のわたといわれる部分などを取り除きながら袋に入れていったそうです。そして茹でて、揉んで乾燥させていきます。大量の時は、機械で揉んだり乾燥させていたそうです。
いずれにしても、多くの手作業がなされて、私たちの口に入るまでに至ることを知りました。
おばあちゃんの手は働き者の証で、指の関節やしわに年輪を感じるようでした。
そして、今は娘家族が引き継いで、自分達が食べるくらいの収穫とかつて住んでいた家かつ作業場だった所に定期的に立ち寄っているとのことでした。
「先祖様がおるき、時々は家を見に行かないかん」
とも言っていました。
ステキな話だと思います。親の働く姿を見て、子どもが自然と継承する、まさにそのような感じがしました。
山菜という食材に生産者の思いや背景などが付加されて、より一層の味わいが追加されていくような感じです。
柚果汁(ゆのす)をたっぷり使ったお寿司が大好きな私は、寿司の具材に山菜のイタドリ、タケノコなどを使っています。彩りで、錦糸卵、ピンクのすまきなども入れて、山菜五目寿司となります。
イタドリを多く採り、一度に食べきれないようなときは塩をまぶして冷凍保存しておくと便利です。長期保存ができ、食べたいときに手軽に使えます。
水につけて塩抜きを丁寧にすると、味がしみこみやすくよいということに気づきました。コリコリとした歯ごたえ、食感がたまらないイタドリです。
山菜のあく抜きが十分できてなく、調理してたらグタグタに溶けてしまったという失敗もありました。乾燥させたゼンマイを水に入れ戻すときも、2日ほど様子を見ながら、丁寧な作業をしたらよいことも経験しました。
高知の食文化は、独特で面白いと聞いたことがあります。
イタドリがその一例です。だからこそ、そのおいしさや食べ方が今後も継承されていくことを心から願っています。
柚果汁も瓶に入れて冷蔵保存していると、長期保存ができ、お寿司、酢の物、ゆずドリンクなど多様に使うことができ便利です。
少し古くなってきた果汁は、流し台や水筒の茶渋落としに使っています。水筒に入れて時間をおくと茶渋もきれいにとれ、かすかにゆずの香りがしてお気に入りです。
民泊をしていると、日本国内をはじめ、海外(中国、台湾、ドイツ、アメリカ、ニュージーランド、イタリアなど)のことを知る機会が多くあります。スマホの言語翻訳機能を活用しながら、いろいろな文化や食事のことなど交流して聞くことが楽しみになっています。
交流して会話できるのが、楽しくてつたない英語でも自信もって言うことが肝心です。単語でも相手に伝わることができたら、ものすごく嬉しくなります。
自分達が茶摘みした茶葉、絞ったゆず果汁などとともに、高知の食について話すことで、喜ばれることが多くあります。視覚、香りなど嗅覚を使うことにも繋がって面白いと感じています。
高知は自然が豊かで、山・川・海ときれいな景色も多くあるので、きれいなまま次世代へと繋げていきたいものです。お客様の大半が自然の豊かさに感動されています。
山菜やゆずなどで季節を感じることができるので、これからも収穫を楽しみながら続けていきます。
土佐指南家(とさしなんや)HPにも、おかみの四国遍路体験記や高知のおすすめなどについて紹介しています。詳しくはコチラをご覧ください。