漁師町のお正月準備
2013/12/31
大正町市場より発信しています、川村です。 こんにちは。
一本釣りの鰹の町といえど季節はどうにもならないもので。
食べるものに旬があるのも自然の摂理。この時期は鰹が旬ではないので、ほとんど冷凍になります。
で、生の鰹となると水揚げ量も少なく、いいお値段します、やはり。
そして、毎日寒いですね。
東京も冬は寒かったですが、
風景的には透き通った空とビル群、
コートで着ぶくれした人同士でおしくらまんじゅうの満員電車、
いかり肩で早足になり、カツカツひびくヒールの音、
朝のイメージはこんな感じだったっけ。
今は。
漁師町といえど海から車で3分ほど山のほうへ来るとすでに冬の朝は霜だらけ。
庭の芝生も植木も、通勤路の桜並木も真っ白に凍っています。
比べるとたぶん気温は同じくらいの寒さかもしれないけれど、凍ったものを見ながら、そして周りに人が全くいないとなるとこっちのほうが寒く感じてしまいます。 南国土佐なのにね。
さて師走です。
土地土地に年末年始の準備はいろいろなやり方があると思いますが。
漁師町ではお正月のお飾りの中に、”カケノイオ”というのがあります。
カケノイオ
名前の由来は”ひっかける魚(イオ)”ってところでしょうか。
対のタイをちょっとキツメの塩でしめ、からっからになるまで干したお飾り。
これをお正月の間少しずつ食べていって、鏡開きのころには無くなっている、という漁師町もあれば
「さぎちょう」とか「さぎっちょ」などと言われる、お正月のお飾りを燃やす風習のときに燃やした火で一緒にカケノイオを焼いて食べたりもします。
久礼では、というより家家で違うのですけど、
うちではこのカケノイオをさぎっちょのときにお餅と一緒に食べています。
カケノイオは食べず、さぎっちょでは別の魚を食べる家もあるそうな。
玄関などに飾る、あの注連縄のお飾りも、久礼の漁師町では年の暮れにお飾りをしたらあとは1年中かざりっぱなしの家もあります。
じゃあ、そんな家はさぎっちょで何を燃やしているんだろう?
カケノイオとお餅を焼いて食べるだけ?
正月版BBQ?
それとも、東京では初詣に行くと、神社で古い護符や破魔矢なんかを燃やしていますよね、
アレをさぎっちょでやっているとか?
(うちではお飾りと古い護符を燃やしているので)
と、まだまだ「こうやるもの」というはっきりしたやり方を、高知へきて7年たつ私でも理解できてないのです。同じ久礼の町でも、浜(海)のほうのしきたりと郷(山)のほうとでは全然ちがうんですもん。
そして家家でまた「うちは・・・」「うちは・・・」となるので、
これまたそれぞれの風習があるようなので嫁ぎ先のしきたりに合わせる、ということになりますね。
東京にいたころは、玄関に鏡餅をひとつ飾って、ドアにそれらしいお飾りをしたらそれでOKだったのも、こちらへ来たら鏡餅は、床の間の神様、オイブツ様(恵比寿様)、仏壇、トイレ、窯(台所)、洗面、冷蔵庫、玄関と神様がいると言われている所数か所へ飾っています。
火の神様とか水の神様、センチ(トイレ)の神様へ。
それと、すぐ近くにある荒神さまなどにも鏡餅をおまつりしに行きます。
こうしてみると田舎は神様がとても身近だなぁと思うのです。
日本昔話がいつでも実感できるようなところで、そんないくつも鏡餅を作っておまつりしてとっても面倒な感じがするけれど、ちゃんと家でお餅をついて小さな鏡餅をいっぱい作っておまつりする。
せっかく田舎でくらしているのだから、これは自分の代になっても、ちゃんと続けていきたいなぁとこの時期はとくに思うのです。
新しい1年を迎える、気の引き締まる思いと一緒に。
さて、来年1月から。
中土佐町広報誌の編集委員を務めることになりました。
いなかパイプの記事も少しでも上手にかけるよう、それから大正町市場の情報発信、市場のめし屋浜ちゃんの情報発信についても、この編集委員のお仕事でどんどん記事をかくスキルを磨くことにつながったらと思っています。
中土佐町の広報誌は町のホームページでも閲覧することができるので、ぜひチェックしてみてください。
(http://www.town.nakatosa.lg.jp/index.html)
それではみなさま、よいお年を。