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おむすビーズのインターンシップ

 

田舎では地域交流が大切 というけれど、

 

田舎ビギナーさんが、田舎暮らしをするにあたって気になるのが、「田舎での人間関係」。

移住系のフェアでブース相談をさせて頂く際も、しばしば質問を受けます。

 

「田舎でうまく人付き合いできるか心配」

 

それもごもっともな不安なだと思います。

 

田舎暮らし

 

 

田舎暮らしの体験談の中には、

 

「地域の集まりには積極的に出た方がいい」とか、

「休みの日のたびに地域活動がある」とか、

「単身移住は警戒心を持たれることがある」とか、

「濃すぎる人間関係に疲れた」とか、

なかには「それが原因で田舎を出ることになった」

 

などというネガティブな話も聞くことも多い。 よほど人好き&コミュニケーション上手な人でない限り、これまで都会の人付き合いに慣れていた人のほとんどは上記のような話を聞いただけで気が重くなってしまうことでしょう。

 移住相談を持ち掛けて来る人のなかには、

 

「田舎でひっそりと暮らしたい」

「山手の人里離れたところで暮らしたい」

「都会の人間関係に疲れたから移住したい」

 

という声も実際多いです。果たしてそういう方には田舎暮らしは向いていないのか、いやそうは一概に言えないんじゃないか…?ということを、今回私は書いていきたいと思います。

 

 

私のがんばらない地域交流

 

 少し自分の話をします。私は土佐町に移住して約1年半。まだまだ移住者としては新米ですが、1年目と2年目では人付き合いへの姿勢が大きく変わりました。

 1年目は自分や仕事の認知度を高めるという目的もあり、いろいろなところに顔を出していました。それを続けていると着実に地域の方に顔を覚えてもらえるようになり、さらにお誘いを受ける頻度も多くなってきます。女性で単身で移住したということもあったと思いますが、周りの方々には娘のように孫のように大変手厚く面倒をみて頂きました。

 

 ところで、高知といえば酒なしには地域文化を語ることはできない、というくらい、皆お酒が大好きな県です。「一万円拾ったらもう一万円足して飲みに行くのが高知県民」という表現がありますが、これは誇張ではありません。実際に地域の方々が頷いておられましたから!!…という環境下で、私の飲酒頻度は移住前と比べてだいぶUPしたと思います。また、飲めば飲むほど地域の方から喝采が起こるので、かなり調子にのって飲んでいました。

 

地域交流

 

 

 しかし、1年くらい経った頃、私は気づいてしまいました。「そもそも自分、あまりお酒強くなかった!」と。以前に比べて、身体がお酒を受け付けなくなっていたのです。そして素面で飲み会に参加することが多くなってきてさらに気づきました。「自分、社交的に見せようと頑張りすぎているな」と。

 地域に受け入れられている感が嬉しくて調子に乗り過ぎていたのです。でも、そのペースで暮らすのはせいぜい一年が限界でした。この落差には自分でも結構悩みましたが、もう観念し、自分はお酒が弱いということを周囲の人には伝え、体力的にも気持ち的にも無理のない範囲で集まりに参加するようになりました。

 

 私も私なりに、冒頭で書いたような「地域の集まりには積極的に出た方がいい」の文言に内心かなりビビっていた人間の一人でした(後で気付きました)。だから用事もあるわけでもないのに断るのはなかなか勇気のいることだったし、人によっては賛否分かれる部分かも知れませんが、「お誘いを断ることもあります」ということも含めて、自分という人間を知ってもらうことなのではないかと今は思っています。

 

 

認知されることは大切

 

 かといって、「移住して週7で引きこもっているような生活が成り立つか?」というとそれは難しい気がします。一般的に田舎では新しく地域に入ってきた人は少なからず意識されます。それは純粋な好奇心のこともあれば、警戒心のこともあります。

 どこに住んだとしても、まず初めに自分という人間を認知してもらうことはとても大切です。近所にどんな人だかわからないような人が住んでいたら不安に思うのは当然のこと。都会のマンション暮らしなら「お隣さんを知らない」という状況はあり得るでしょうが、ずっとその土地を受け継ぎ、集落の住民全員が顔を知っている環境にそんな人が一人入ってくると、やはり違和感があります。

 また、新たな土地で誰の協力も得ずに全くの一人で生活をしていくことは非常に難しいことで、何かあったときに頼りになるのはご近所さん。警戒心を持たれるような生活をしていると、最終的に自分が困ります。

 

田舎体験

 

 現在の私は比較的インドアに暮らしていますが、もし移住直後からこの暮らしをしていたら、やっていけなかったかも知れません。最初に自分を認知してもらい、たくさんの人に知ってもらったという土台があったからこそ成り立つ現在の「インドア」だと思っています。勿論、まだまだ知ってもらうべき人々はいるし、まだ歩いていて「この人誰?」というような不思議な顔をされることもあります。だからまだ私の地域での人間関係は全然完結していません(移住してまだ1年半なので当たり前の話ですけども)。

 

 

自分の理想の暮らしは選べる、ある程度は

 

 「まずは自分を認知してもらう」というルールを守った上でなら生活スタイルは選べると思います。田舎は地域・集落によって性質がかなり異なります。かなり繋がりが濃いところもあれば、つかず離れずのところもあります。これは、移住前に地域の移住窓口に要望を伝え、しっかり確認しておくといいでしょう。

 なかには「ひっそりと暮らしたいから里から離れた山手の物件に住みたい」という人がいますが、人が少ない集落だからこそ地域の繋がりがかなり密接という場合も多いです。

 私のいる土佐町では、移住の担当の方は「二段階移住」を薦めています。まずは仮住まいできるようなアパートに住んでから地域の特性を掴んでもらい、時間をかけて自分に合う地域&物件を探すという流れがベストということです。もちろんその分経費や手間がかかるので移住者全員がそうしているわけではありませんが、それくらい地域性は重要、ということなのです。

 

土佐町

 

 

まとめ ~自分で生活を作る意識を~

 

 郷に入っては郷に従えの精神は大切ですが、そればかりだと生活疲れしてしまうことがあります。都会でも田舎でも言えることですが、自分で生活をデザインしていくという姿勢が大切だと思います。郷に従うのと、受け身でいるのは似ているようで違います。

 田舎の人は、人をよく見ています。しかも表面的な行動の部分だけではなく、その根本にある人柄、本質をよく見ている気がします。田舎での生活は「誠実さ」「正直さ」が問われるものであると言えます。自分は何がしたいのか?どうありたいのか?なぜ都会を出てここの暮らしを選んだのか?そのあたりはクリアにしておいた方が後々の暮らしがスムーズに運ぶことは、間違いありません。

 

 

 

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